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【cinema】『アルゴ』(試写会)

2012-10-29 00:38:02 | cinema
'12.10.23 『アルゴ』(試写会)@ワーナーブラザーズ試写室

cocoで当選♪ いつもありがとうございます! これは見たかった! けっこう試写会やってて、見て来た人の評判も良くて見たくてウズウズしてた(笑) よろこんで行って来たー♪

*ネタバレありです! 長文です(o´ェ`o)ゞエヘヘ

「1979年11月4日イランの首都テヘランのアメリカ大使館が占拠され、職員52人が人質となる事件が発生した。職員のうち6名は自力で脱出。カナダ大使の自宅に匿われている。彼らの存在をイラン側に知られることなく、脱出させるため、脱出のプロ トニー・メンデスが召集される。彼が提案した作戦とは・・・」という話で、これは実話。超おもしろかった! tweetもしたけど、ハラハラさせる手法は王道で、正攻法なのに、やっぱりドキドキしてしまう。見せ方が上手い。アメコミタッチで暴動に至るまでのイランの情勢などを見せる冒頭から引き込まれて一気に見てしまった。これは今年のBEST 10に入る作品。

この事件の真相は、18年後にクリントン大統領が解除するまで極秘扱いとされていた。そのためアメリカ国民にもほとんど知られることがなかった。極秘扱いが解除されても、トニー・メンデス自身が自伝で事件の真相を記載しているにも関わらず、あまり関心を集めることはなかったらしい。2007年にWIRED誌に掲載されたジョシュア・ベアマンの記事を、今作の製作者グラント・ヘスロヴとジョージ・クルーニーが目にして興味を持ち、映画化の話が進んだのだそう。トニー・メンデス役で監督でもあるベン・アフレックが、アメリカが国としてまとまり「カナダのみなさんありがとう」と言った時の気持ちを、記憶にとどめたいと思ったと語っているとおり、この作戦は長らく「カナダのみなさん」のおかげだと思われていた。もちろんそういう要素はあるけれど、それは何故なのか・・・ その辺りもおもしろい!

前述したとおり、女性のナレーションで、時々アメコミみたいな画を交えて、イランとアメリカの関係などを紹介する。アメリカがイランの石油の利権を握っていたこと、前々指導者がそれをイランに取り戻したこと、前国王パーレビは浪費家でコンコルドでパリから朝食を運ばせたことまで・・・ バカだね(笑) そんなパーレビを倒し、新指導者となったのがホメイニ師。←で、今ココ(笑) イランの人々はアメリカを憎んでいて、アメリカに逃れていた前国王パーレビを引き渡せとせまっていた。パーレビは末期ガンで余命わずかだったけれど、怒りに燃えたイラン国民は処刑を望んでいた。こういう映画を見る上で必要になる歴史的背景の見せ方っていろいろあると思うけど、例えば文章でつらつら書かれても読み切れなかったり、文字を追うだけで頭に入らなかったりする。写真や絵などを交えて退屈させない見せ方は良かったと思う。アメコミタッチの画などあざとさギリギリだけど、不謹慎な感じもしない。とっても分かりやすかったし、ここから引き込まれた。

そして大使館占拠! 口々に反米を叫びつつデモの列が大使館に向かって来る。しばらくは外で叫ぶだけ。それだけでも十分怖い。大使館内の人々も初めは窓から覗く余裕もあった。不謹慎にも大使館員のもみ上げの長さや、横ワケっぷりに時代考証の正しさを感じてニヤリ。でも、次第に緊迫感が・・・ 重要書類は全て焼却もしくはシュレッダーの指示が出る。混乱しつつも書類を整理していく。見ている側もドキドキ! 実際は全員(除く6名)が人質になってしまったわけだけど、何とかならないかと思ってしまう。願いもむなしく暴徒化した市民は門を乗り越えて大使館内へ侵入。どんどん凶暴化してくる。こういう映像を見ていて怖いと思うのは、デモに参加していた多くの人は、大使館を占拠しようとか、人質を取って立て篭もろうとまで考えてはいなかっただろうということ。最初に門を乗り越えた人ですら、そこまで考えての行動ではないと思う。でも、熱狂した集団のたがが外れてしまったら、歯止めがきかなくなってしまう。それが怖い。この迫力の映像はトルコのイスタンブールで撮影、カメラマンや監督のベン・アフレックも衣裳を着けて、暴徒の中に紛れ込んで撮ったのだそう。あのスーパー8で撮影。ネガが小さいため、スクリーンサイズに引き伸ばすと画像が粗くなり、当時のニュース映像っぽくなるそうで、実際のニュース映像も使っているけれど、ほとんどが新たに撮られたものだそう。そういうこだわりが随所に感じられる。ちなみに大使館の外観はイスタンブール、敷地や内部はロス北部の退役軍人管理局で撮影されたのだそう。

大使館占拠事件発生の知らせを受け、CIAでは人質救出へ向けて対策会議が開かれる。もちろん大使館の52人の人質についても対策を練られているはずだけど、この映画のテーマは6人の救出なので、ここからCIAで議論されることのほとんどは6人のこと。彼らが見つかってしまえば公開処刑となるであろうこと、そうなれば52人の命も危うくなってしまうことが話される。今のところ彼らの存在は知られていないけれど、イラン側は子供達を使って膨大な量の裁断された書類や写真をつなぎ合わせているため、発覚するのも時間の問題だった。これはスゴイね・・・ この会議に召集されたのが脱出のプロ トニー・メンデス。かつてイランからターゲットを脱出させた実績を買われてのこと。でも、さすがにこの状況は、彼としても名案が浮かばない。大変に困難な状況なのは分かるし、伝わってくるのだけど、プロではないので細かな部分までは分からない。飛行機に乗って脱出するということは、別人となって出国審査を通らなければならないわけで、それを短時間で6人に説明して納得させ、それぞれ別人になり切らせなければならないわけで、それは確かに大変なこと。もちろん、脱出にはさまざまな方法があるとは思うけれど、議論の場では課程は様々でも最終的に飛行機に乗せるということは共通していた。彼らが大使館員とはいえ訓練された人達ではないからなのかな? 多くはないけど、少ない人数でもないし。男女6人という人数も対策が難しかった原因かもしれない・・・ 勝手に思っただけだけど(笑)

外国語教師はどうか? 既に皆出国していて残っていない。など、結論が出ないままの日々が続く。そんな中、別居中の妻の実家にいる息子と電話をしている時、テレビのチャンネルを合わせると『猿の惑星』シリーズが(何作目かは失念・・・) そこで閃いたのが映画のロケハンということにしてはどうかということ。よく考えると、出国するからには入国していないとおかしいわけで、この時期にあえてイランに入国するような欧米人は映画関係者くらいだというのがトニーの言い分。実際にこんなにドラマチックに思いついたのかは不明だけど、彼が映画を思いついたのは、アカデミー賞受賞経験のあるジョン・チェンバースと友人であったことが大きいと言われている。チェンバースは特殊メイクの第一人者でありながら、諜報作戦に技術提供をしていたのだそう。

トニーの作戦は荒唐無稽過ぎると言われるものの、彼の作戦以上の名案もなく、直属上司ジャック・オドネルの後押しもあって採用される。まぁ、実際されたわけだから当たり前だけど、それだけ真に迫っているということ! 見せ方も上手いし、役者も上手い。当時のCIA内部なんて全く知らないけど、皆やたらとタバコ吸いまくっていたり、今ではあり得ない感じがリアル。美術担当はテレックス機とか、灰皿とか、30年前の地図とか、細部までこだわって再現したのだそう。そういうこだわりが画面にリアリティを与えて、まるで実際の記録フィルムかのような迫力を生んでいる。予算の問題などいろいろあると思うけど、やっぱり細部までこだわった画は一つ一つは見えてなくても、伝わるものがあるんだと思う。ただ、やはりこれは映画なので演出を加えていることは間違いなく、その辺りはベン・アフレックも意図的にしたと語っている。また、常に緊迫した場面が続くのを避けるため、コメディ要素も必要だと考えたが、さじ加減が難しかったと語っていて、その辺りは主にハリウッドの場面の、ジョン・グッドマンとアラン・アーキンが担うことになったとのこと。この2人のシーンは楽しかった♪

ハリウッドのシーンでは、映画製作の最初の段階を見ることができる。トニーは友人のジョン・チェンバースに今回の企画を持ち込む。チェンバースが実際は諜報活動に協力していたのは前述したけど、それは語られていなかったような・・・ 作戦には口の硬いプロデューサーが必要ってことで白羽の矢が立ったのが、レスター・シーゲル。彼は実在の人物ではなく、いろんな人物を合わせて創ったキャラだそう。まぁ、こんな人がいても不思議じゃない(笑) 早速、シーゲルの家に集まり脚本を選ぶ。イランを撮影候補地にしてもおかしくないようなSFモノってことで、選ばれたのがタイトルにもなっている『アルゴ』 ここまでの流れも王道だけど、ここでこの脚本が出てきてニヤリとしてしまう( ̄― ̄)ニヤリ ちなみに、このシーゲル宅は往年の女優ザ・ザ・ガボールが所有していたこともある邸宅が使われたのだそう。さて、脚本も決まったということで、次はこの脚本の映画化権を取らなきゃならない。よく分からないけど、エージェントがいてそこから版権を買うのかな? このエージェントとのやり取りが見事! アラン・アーキンの腕の見せ所でもある。

敵を納得させるにはとことんやらなきゃってことで、パーティーを開いて関係者を集めたり、製作発表記者会見では衣裳を着けて特殊メイクをした俳優達に、自己紹介がてら演技をさせるなど、大々的にプロモーションを開始! 映画好きとしてはワクワクしてしまう♪ チェンバースとシーゲルの2人は架空の会社スタジオ6を立ち上げる。といっても事務所に電話を置いて、いつでも出られるように待機しているだけだけど(笑) 同時に人質6人の写真や経歴をもとに、シーゲルがそれぞれのキャラクターを設定していく。このシーンでは彼は監督、彼女は美術スタッフというような大まかなことしか見せていなけいど、後に本人達に説明する際には出身地や出身校など細かな設定がされていて驚いた。彼らはカナダ人として出国することになるので、実際には行ったことのない土地の出身者となるため、細かな部分まで決まっている感じ・・・ この辺りもおもしろかった。

ハリウッドのシーンは他のシーンとはトーンが違っている。とにかく色彩がカラフルという感じで常に晴天。スピード感は他のシーン同様あるけど、コミカルで軽い感じ。もちろん、ここで行われていることも重要だけど、とにかくジョン・グッドマンとアラン・アーキンの演技が、重過ぎず軽過ぎず絶妙。で、ハリウッドのシーンはクスリと笑えて癒される場面となっている。ここでのこだわりはチェンバースの職場がエアストリーム社のトレーラーであること、彼の愛車は'77年型キャデラック・エルドラドで、シーゲルの愛車が'75年型ロールス・ロイス。全く分からない(笑) そして、ハリウッド・シーンではズームを多用して撮影したそうで、ヘリからのズーム、車からのズームが見もの。これは'70年代に流行った手法なのだそう。しかし、あの山のHOLLYWOODのロゴ、バキバキになってた時期があったんだね・・・

さて、ようやくGOサインが出て、1980年1月25日ハリウッド作戦決行! ついつい、うっかりしてしまうけど、失敗したら6人の命はないってことは、当然ながらトニー・メンデスも命がけってことなんだよね・・・ 今さらながら、こういう任務につく人ってスゴイと思う・・・ まずはイスタンブール入りして、イランの内部事情に詳しい人物から、出入国審査について教えてもらう。入国審査の書類は二重になっており、一枚は空港内に保管される。出国の際、パスポートと共に提示された、もう一枚と重ねて初めて出国となる。当然ながら、6人のカナダ人映画関係者の入国書類はない・・・ ただ、この辺り結構甘いらしい(笑) 2人が待ち合わせるブルーモスクが美しい!

いよいよイランへ!意外にもBritish Airで行ってたような・・・ あれ? アメリカ出る時だっけ? この時期でも行ってたんだと思った気が・・・ 「イラン領空に入りましたのでアルコールを回収させていただきます」というアナウンスが、ほのぼのしつつも緊張を誘う。そして、後の伏線でもある。イランに入ってからの当局との駆け引きも、緊迫しつつもそんなに長引かせない演出でよかったと思う。ちょっと端折るけど、いよいよカナダ大使自宅にて6名と対面。助けに来てくれたとホッとするのも束の間、カナダ人映画関係者となって明日バザールでロケハンを行うと聞き、皆動揺する・・・ バザールなどという迷宮のように入りくんだ、人の大勢いるところに行って、失敗したら取り囲まれて、そのまま殺されてしまう・・・ でも、イラン側の狙いとしては、おそらくそういう場所でボロを出さないか見てみようということだから、これは何としてもやり遂げなければならない。6人は大使宅でお客様として扱われており、食事やワインなども出されていたようで、52人の人質達に比べれば環境的には恵まれていたけれど、1歩も外に出られない、いつ見つかるか分からない恐怖は当然あったわけで、大使宅に匿われて2ヶ月以上、精神的にも肉体的にもかなり疲労していた。藁にも縋る思いで承諾する中、1組の夫婦は反対する。こんな計画が成功するはずがない・・・ 確かに、実際に6人が救出されたと知っていても、荒唐無稽な計画だと思うのだから、自分達の命がかかる計画が映画のロケハンでは・・・(笑) 実際、反対があったのかは不明だけど、こんなビックリ作戦だけどこれしかないんだから頑張れという気持ちにさせられたので、これはベン言うところの映画的盛り上げかも(笑)

ということで、当然ロケハンに行くことになるのだけど、ここで当局の係員が待っていて、監督役の男性にカマをかけて来る。建物の中から写真も撮られている。何とかそれぞれの役をこなす6人。その時、美術担当役の女性が写真を撮った店の店主が、怒り爆発で追いかけて来る。店の写真を勝手に撮るなと怒るので、写真は差し上げますと言ってもおさまらない。アメリカ製の銃で息子が殺されと半狂乱。本当に息子さんを殺したのは"銃"じゃない。でも、そんなことは関係ないのでしょう。気持ちは分かる。イヤ、本当の気持ちは理解しきれないかもしれないけれど・・・ あわや暴動という事態に、イラン側関係者も慌てて撤収ということになる。このバザールはイスタンブールのグランバザールで撮影されたのだそう。大使宅に戻った彼らには更なる過酷な運命が・・・ 政府は方針を変更。軍事作戦に切り替えるので、トニーは直ちに帰国するようにという命令が出る。この辺り、微妙に当時のカーター大統領の支持率などに関係しているらしく、いい気持ちはしないけれど興味深くはある。顔を晒した彼らにとって、この作戦のみが命の綱。でも、要するに彼らを見捨てろということ。同じく指令を受けたカナダ大使から振舞われた酒に酔いつつ、明日の出国に備えて練習する彼らの姿に苦悩するトニー。

大使宅での6人の役者さんたちは、実際の6人と同じような環境となるよう、ケータイ、パソコンなどは持ち込み禁止、当時の音楽、ゲーム、新聞などが与えられ、1週間ほぼ缶詰状態での撮影となったのだそう。最初は退屈するだろうと思っていた彼らは、ゲームをしたりしながらお互いよく話をし、仲間になれたのだそう。まぁ、こういう裏話も王道という気もするけれど、やっぱり俳優さん自身のつながりとか、メンタルな部分とかが反映されるものなのだと改めて思う。大使宅での撮影には手持ちカメラを多用したけど、手持ちカメラであることが分からないように、手ぶれに注意したとのこと。俳優には必ずアドリブを入れるように要求し、アドリブが入るたびにカメラが動くので、緊迫感のある画が撮れたのだそう。なるほど!

トニーの泊まっているホテルの部屋から見えるテヘランの街が美しい。これは本物なのかな? イラン国内での撮影は許可が下りないだろうということで、ロケはイスタンブールで行われたとのこと。高い山に囲まれた美しい街が、こんな恐ろく悲しい状況にあるとはやり切れない・・・ トニーはこの部屋で6人分のパスポートに入国印を偽造したり、細かい作業をしたりする。これはおもしろい! 6人と別れた後、眠れぬ夜を過ごす。自分も彼らも準備は整っているのに・・・ そして、彼は決断する。

ここからは、もうホントにドキドキの連続! 大使宅、空港まで向かう道、空港内、CIA、そしてハリウッドのスタジオ6。それぞれが、それぞれの立場で奔走する。この際、イラン側の人々は敵だと思ってしまうけれど、彼らは彼らの任務を遂行しているだけのこと。立場が変われば正義も変わる。だから、当然どちらも必死。でも、やっぱりこれは6人が無事脱出する話なのだから、イラン側を次々欺いて行くことになる。全てを語ってしまったら面白くないけど、ホントにいろいろギリギリ(笑) 政府としてはこの作戦は中止したわけだから、当然6人分のチケットはキャンセルになっている。でも、6人は空港に向かってしまった! どうする?! とか、もうホントに王道で、正攻法なんだけど、ドキドキしてしまう。行く先々で足止めを食ってしまう彼らが、ある時はCIA、ある時はスタジオ6、ある時は自力ですり抜けて行くのが、心臓がバクバクするほど面白い! 意外な人物が活躍するのも( ̄― ̄)ニヤリ メヘラバード空港はオンタリオ国際空港を使用、多数のイラン人エキストラが出演して撮影された。彼らの多くは協力的で、革命当時テヘランにいたという方々は、ここは違うなどのダメ出しもしてくれたのだそう(笑) 飛行機とのチェイスは実際にあったのかな? この辺りはやっぱり映画的演出かな(笑) 車輪が上がった瞬間はもう手に汗握っちゃってたけど、見ている側にも上司のオドネルの待ったがかかって、「イラン領空を出ましたのでアルコールをサービスいたします」とのアナウンスが出た瞬間は鳥肌が立った!

この作戦にCIAが関わっていたとイラン政府に知られたら、間違いなく52人の人質は殺されてしまうし、アメリカ自体もどのような報復を受けるか分からないということで、この作戦はカナダが行ったということになり、前述したとおりクリントン大統領が極秘扱いを解除するまで18年間封印されていた。映画の中ではトニーはオドネルから勲章を与えられると言われているけど、それを家族に見せるのも厳禁だと言われて「勲章を与えて取り上げるんですね(笑)」と笑い話で終わっているけど、実際は極秘扱いを解かれてからトニー・メンデスには改めて勲章が与えたとのこと。6人もそれぞれ外務局の仕事に戻ったのだそう。

6人の役の人は公式にも全員の紹介がされていなくて、よく分からない・・・ 公式を見てもライジェク夫妻の妻コーラ役のクレア・デュバルくらいしか知らなかった・・・ でも、ベン・アフレックによる隔絶作戦のおかげか、6人とも迫真の演技だったと思う。バザールに向かう途中で車を囲まれるシーンでは、本当に車体が揺れて怖かったので演技の必要はなかったそうだけど(笑) 上司のジャック・オドネルのブライアン・クランストンが良かった! 『ドライブ』のシャロンとは別人! 彼の板ばさみぶりとか、ラスト上官に食ってかかっての、ピンチ脱出などは王道といえばそうなのだけど、そう思いつつもドキドキさせるのが流石。既に書いたけどスタジオ6のジョン・グッドマン & アラン・アーキンのコンビが素晴らしい! もちろん、個々の演技もすごいんだけど、2人揃った時のオトボケぶりというか・・・ ラストのドキドキ場面では2人も絡んで来るのだけど、この2人のシーンこそ王道(笑) でも、なんか笑っちゃう。そういうシーンを差し込んでくるベン・アフレックの演出が素晴らしいのだけど、それは2人のオトボケ演技があってこそ。この感じは簡単に出せるものじゃないと思う。素晴らしい ベン・アフレックも良かった。自身で主役を演じながら監督する人はいるけれど、自分の役をキチンと理解しているのが分かる。主役ではありながら、決して自分が目立ってはいけない。トニー・メンデスは救出のプロなのであって、スーパーヒーローではないので、彼の活躍のみが目立ってはいけない。この辺りは監督目線もあるのかなぁ・・・

監督としては見事だったと思う。何度も書いているけど、コメディ要素の配分とか、緩急のつけ方が素晴らしい。淡々とパスポート偽造している時ですら、退屈しちゃう瞬間がない。でも、ドキドキしっぱなしでも疲れちゃう。その辺りが見事。あくまでハリウッド作戦がメインであって、その全てに関わった人が主役であるというか・・・ でも、個々にスポットを当てているわけでもなく。さり気なく家族愛も散りばめていて、ラストにはトニー・メンデスも幸せが待っている。でも、全然あざとくない。このバランス感覚はスゴイと思う。前述したとおりアメリカ人なら「カナダのみなさんありがとう」と言った時の気持ちになるんじゃないかな。当時生まれていなかったとしても(笑)

『バベル』『ブロークバックマウンテン』のカメラマン ロドリゴ・プリエト撮影の画がイイ。前述したスーパー8の粗い画像とか、手ぶれギリギリの躍動するカメラが緊迫感を煽る。前述したけど、細かいディテールにまでこだわった美術も素晴らしい。'70年代ってわりと自由で、保守的な人々でもカラフルなネクタイを着用していたそうで、当時のファッションも興味深い。大きな柄のテロテロ素材のワンピースとかカワイイ トニー・メンデスは任務中は地味なスーツを着用していたそうだけど、普段はハリス・ツイードを愛用していたそうで。映画の中でベン・アフレックも着用している。そういうのもおもしろい! って、書きたいことたくさんあるけど、きりがないのでもう止める(笑)

最後にこれだけ! エンドロールで実際の写真と、対応するシーンが並んで映し出される。これはないだろうと思っていたシーンが、実際の写真どおりでビックリ∑(゚ω゚ノ)ノ なので、エンドロールも席を立たないように!

とにかくおもしろいから見て! スパイモノ好きな方、映画好きの方是非! ベン・アフレックファンの方必見!!

『アルゴ』Official site


コメント (12)
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