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【cinema】『西遊記 はじまりのはじまり』ジャパンプレミア

2014-11-17 00:23:57 | cinema
'14.09.13 『西遊記 はじまりのはじまり』ジャパンプレミア@浅草公会堂

第7回したまちコメディ映画祭オープニング作品ということで、チャウ・シンチー監督舞台挨拶あり?と期待してチケット取ったのに・・・ なんと来日はなし。・゚・(ノД`)・゚・。 代わりに日本語吹き替え版を担当した斎藤工氏の登壇(記事はコチラ)はあったものの、やっぱり残念だった とはいえ、日本公開6年ぶりとなる新作を、いち早く見れる機会は貴重ってことで、楽しく見てきた

ネタバレありです! 結末にも触れています!

「妖怪ハンターの玄奘は、川辺の村で妖怪を捕える。師匠の教えどおり"わらべ唄三百首"を唱えるも効果はなく、女性妖怪ハンターの段に手柄を横取りされてしまう。落ち込む玄奘に師匠は「お前にはほんの少し"何か"が足りない」と言われ、修行の旅に出るが・・・」という話で、あの「西遊記」の前日譚。もちろんオリジナル(笑) これは本当にバカ映画! ホメてます!! 今回は自身は出演せず、監督に徹したことで、シンチー節炸裂という感じ。とはいえ自身は『食神』『少林サッカー』『カンフー・ハッスル』『ミラクル7号』(感想はコチラ)しか見ていないので詳しくないけど・・・ 苦手な人はダメかもしれないけれど、シンチー好きなら最高に楽しめると思う。自分は特別ファンというわけではないけど、好きな監督の1人なので楽しめた。

2013年中国で公開され、興行収入200億円超、年間興行成績1位を獲得した作品。今回の日本での配給はGOLDEN ASIA。アジア各国の興収第1位を獲得、もしくは映画賞を受賞した作品を日本に紹介するレーベルなのだそう。なるほど! 前作『ミラクル7号』から6年ぶりの日本公開作品。公式サイトにはチャウ・シンチー監督のインタヴューが載っていて、何故出演しなかったのかとの質問に、チャレンジングな企画なので100%の集中が必要だったと答えている。シンチーファンの方には出演がないのは残念かもしれないけれど、個人的にはご本人のおっしゃるとおり、監督に徹したのは良かったのではないかと思う。でも、玄奘のキャラは自身を想定して書いていたのかな?という印象。真面目で、ちょっと天然で、自分の能力に気づいていない、そして魅力的。

何故、「西遊記」を撮ろうと思ったのかとの質問には、子どもの頃からファンで、小説、映画、ドラマはほとんど見てきたと答えている。なるほど。この超有名な物語の主要キャラを、こんな形でいじれるのは愛情あってのことなんだと納得。「西遊記」は子供の頃、堺正章氏主演のドラマを見ていた。内容はほとんど覚えていないし、原作は未読なのでドラマがどこまで原作に忠実だったのかは不明。なので、漠然とお釈迦様に挑んだ孫悟空が、山に閉じ込められていたこと、天竺へ経典を求めて旅をしていた三蔵法師がそれを助け、孫悟空は旅に同行すること、他に沙悟浄、猪八戒も旅に加わることくらいしか分からない。自分の中では三蔵法師はお坊さんだったので、今作で妖怪ハンターだったのでビックリ! 今作はオリジナルだけど、どの程度原作キャラを生かしているのか分からなかったので・・・

さて、前置きが長過ぎるからそろそろ本題に入る! ネタバレありとか、結末にも触れているとか断り書きしたけれど、公開日が早い順にレビュー記事書いてたら、見てから2ヶ月も経ってしまい、細かい部分は忘れてしまったので、流し気味に・・・ でも、細部までこだわったセットとか、脚本の感じなどは、実際見た方が絶対楽しめると思う!

冒頭、空撮のような形で川辺の村にカメラが近づいて行く。川で泳ぐ父親を見てはしゃぐ幼女。父親は明らかに溺れているのに気づいていない。気づいた時には時すでに遅く、父親は何モノかに喰われてしまう。パニックになる村人たち。そこへ現れた妖怪ハンターが、妖怪をおびき出し退治する。しかし、それを見ていたボサボサ頭の青年は、本当の妖怪はそれとは別で、まだ川の中にいると主張するけれど、誰も取り合わない。大方の予想どおり、ボサボサ頭の青年の言う通り、後から巨大な魚が現れ、川辺の村は地獄と化す。このシーンは結構長く、しかも幼い子供が犠牲になってしまったりと、意外にも衝撃的! でも、一番自分が衝撃を受けていたのは、後の三蔵法師となる青年がボサボサ頭だったこと! え?!お坊さんじゃないの?! そう、今作で玄奘は妖怪ハンターとして登場する。そして、このボサボサ頭は後に重要な意味を持つ!

玄奘の活躍もあって、何とか巨大な魚を捕える。陸に上げると人間の姿になった。どうやら、今作で言うところの妖怪は、もともとは人間だったけれど、恨みや悲しみなどにより、妖怪になってしまったということらしい。この妖怪は、子供を助けようとしたのに、誘拐犯に間違えられて殺されてしまったため妖怪化。妖怪ハンターは妖怪の魔力(?)を封じ込めなければならない。妖怪ハンターも、それぞれ独自の方法で妖怪を退治するらしく、玄奘のそれは"わらべ唄三百首"を歌い上げるというもの。要するに、童心に返すことで人間だった頃の記憶を呼び戻し、良心に訴えるってことで、性善説に基づいているのかな? ただ、即効性は薄い・・・ 徐々に、効果が現れつつあったのだけど、そこに現れた女性妖怪ハンター段が、アッサリ小さな壺のような物に妖怪を封じ込めてしまう。ここまでで時間的に10分以上はあったと思うけれど、説明的なセリフがあったわけでもなかったと思うけれど、こちらに漠然と理解させちゃうのがスゴイ! そして、この巨大な魚の妖怪が沙悟浄。あれ?沙悟浄って河童じゃなかったっけ?

妖怪退治に失敗し、傷ついた玄奘に師匠は「お前には、ほんの少し"何か"が足りなかった」と言い、修行に励むよう諭す。ここから玄奘の"何か"探しとなる。場面が変わり、1組のカップルが山奥を歩いている。見ている側からしてみれば、お世辞にもイケメンとは言えない青年を、彼女の方は終始見とれて「あなたはなんてイケメンなの」と言い続けている。バカップルだなと思っていると、岩場に不似合いな豪華な料理店が現れる。入ってみる2人。お客は誰もいない。出された料理はどれも美味しくて、ガツガツと食べ始める2人。そこに現れた店主は、満面の笑みを浮かべた美青年。このキャラ! 今作で一番好きだった! 満面の笑みを浮かべたままで、一度も表情を崩さず、しかも顔がテッカテカ! 何故、彼がこの姿をしているのかが分かると、ちょっと切ないのだけど・・・ 当然、女性は即彼に心を奪われる。そして、豹変したこの店主に殺されてしまう。実はこの店主は巨大な豚の妖怪で、人を食べていたのだった。

そこに現れた玄奘が、次々現れる店員たちと戦っていると、段が現れる。妖怪ハンターは、妖怪を退治して賞金稼ぎをしているらしい。玄奘がボロボロの服を纏っているのは、お金がないということで、要するに成功率が低いということなのでしょう。2人で競いつつ、顔テカ店主と戦うも、巨大なイノシシに姿を変え逃げられてしまう。人間だった時、不細工だったことから、妻がイケメンと浮気してしまい、それに怒って2人を殺してしまったことから、巨大な豚の妖怪になってしまったそうで、だから人間の姿の時にはイケメンだったのね・・・ でも作り物笑顔ってことか・・・ お気づきの通りこの妖怪は後の猪八戒なのですが、この時点ではまだ退治すべき妖怪で、この妖怪を倒すことが出来るのは、五指山の麓に閉じ込められている孫悟空だけだと言われた玄奘は、この狡猾で根に持つタイプだという孫悟空に会うため、五指山を目指すことになる。こうやって書くとちゃんと筋は通ってるね(笑) イヤ、だからこそめちゃくちゃな部分が面白いのだけど!

五指山を目指す玄奘は、段が捕えられ連行されているところに遭遇する。実はこれ、段とその一味のお芝居。段は玄奘に恋してしまったのだった。何とかボスである段の恋を成就させようと、手下たちはあの手この手を繰り出すけれど、修行中の身である玄奘は恋愛はご法度だと思っているし、段はあまりにも女子力が足りなかった 貼られた相手は同じ動きをしてしまう服従シールを自らに貼り、セクシーな手下に遠隔操作してもらって玄奘に迫ろうとするけれど、セクシー女性の側に問題が起こり、かえって罵声を浴びせてしまう始末。このシーンとかとってもシンチーっぽい気がする! ここは好き(笑)

そんな中、あの巨大イノシシが現れる。と、どこからともなく3人の妖怪ハンターたちがやって来る。これがまた、皆独特なキャラ(笑) カンフーの型で自分を虎のように見せることが出来る虎筋蟷螂アニキ、片脚が巨大化する足じい、そして美青年だけど虚弱体質なため、4人の不細工BBAに担がれた輿に乗っている空虚王子。アニキと足じいまではいいとして、空虚王子のキャラはどこから思いつくんだろう(笑) どうやら巨大イノシシを倒したものが、最強の妖怪ハンターだということになっているらしい。このシーンどうやって終わったんだっけ? 結局、誰も巨大イノシシを倒すことが出来ず、玄奘は1人で五指山に向かう。

途中、洞窟のようなところで追いかけてきた段とのやり取りがあったように思うのだけど・・・ 違ったっけ? 五指山には到着するまでに、ちょっとした玄奘苦悩シーンがあったような・・・ でも、段は五指山にも現れるから、ここでは別のエピソードだったんだっけ? 何かに襲われて段に助けてもらったんだっけ? イヤ、記憶を呼び戻すために、公式サイト見ながら書いてるんだけど、上のシーンから一気に五指山まで飛んでるもので・・・(o´ェ`o)ゞ

五指山の麓と言っても、簡単に分かるわけではなくて、確かヒントがお釈迦様の頭のところとかそんな感じだったような・・・ 五指山があると言われている辺りにやって来た玄奘の前に広がっていたのは、山に囲まれた湖。湖に写る山の姿と合わせると、涅槃仏のような形になる。多分そうだろうと思ったけどやっぱり! やっとたどり着いた洞窟の中にいたのは、頭の禿げたチビの老人・・・ えー!孫悟空をこんなキャラに(笑) 確かに猿っぽくはあるけども・・・ 孫悟空は狡猾だから気をつけるように言われているので、警戒しつつ悟空に巨大イノシシ退治を依頼しなければならないわけで、あの手この手を繰り広げる両者。このシーンはホント笑える! 特にこの孫悟空役の人の演技がスゴイ!! 途中から段が現れて、2人に気を使って身を隠そうとするのだけど、洞窟は狭いので結局全然隠れられないシーンとか笑った(*ノ∀゚*) だって、この人見てたらイヤでしょ(笑)



玄奘は段のためにも彼女を追い帰す。そして、悟空の罠にはまって彼を解き放ってしまう。自由になった悟空は当然玄奘の言うことなど聞かない。玄奘が心配で近くに残っていた段が、悟空に立ち向かうも、全妖怪の王と呼ばれている孫悟空にはかなわない。彼女は悟空に殺されてしまう。彼を倒せば自分が妖怪の王になれると、虎アニキ、足じい、空虚王子も戦いを挑むけれど、彼らも倒されてしまう。残ったのは玄奘。段を失ったことで、彼女を愛していたことに気づいた玄奘。彼女への思いと、悲しみを受け入れ、悟空の暴走を食い止めるべく、一心に念仏を唱え始める。どんどん無の境地に入っていく。逆に猛り狂う悟空。玄奘のボサボサ頭の髪の毛を抜いていく! どんどん抜いてとうとう坊主になってしまうれど、玄奘は全く動じない。無我の境地に達したってことかな? そして、シンチーといえばの巨大な手登場! 悟空は玄奘の姿に心打たれ、殺すことは出来ないことを悟る。そして、彼に従うことを誓う。玄奘に足りなかった"何か"は、人を愛すること、そして自分の中の欲を認めること。それを受け入れ、人を救いたいと思う気持ちが、彼を最強の妖怪ハンターにしたってことかと・・・ まぁ、最強の妖怪ハンターになるってことが目標だったわけじゃないと思うけど。これはやっぱりシンチー監督からのメッセージなのだと思う。

そして、孫悟空、沙悟浄、猪八戒と共に歩き出す。沙悟浄と猪八戒は突然現れて、何故玄奘に同行するのか一切説明なかったけど、もうそういう細かい部分はどうでもいい! だって、ここで急に「Gメン'75」のテーマ曲ががが! そしてエンディング! これは一体?! 何故「Gメン'75」を?との質問に、「Gメン'75」が大好きだから。エンディングテーマにしたのはドラマの真似。三蔵法師と3人の弟子が天竺に向かうのは、「Gメン'75」で犯人をやっつけに行くイメージ。チームが完成して旅に出るのは強い部分で、段の愛情が残っていて気持ちはロマンチック。この2つが「Gメン'75」にはある!と答えているのだけど・・・ うーん・・・ 自身はこのテーマ曲と横一列でキャストが歩いているエンディングは知ってるけど、ドラマの内容は知らないからよく分からない・・・(o´ェ`o)ゞ

キャストは公式サイトにも4人しか載ってないのだけど、段のスー・チー良かった! 恋に一途なのに不器用でカワイイ。でも、彼女への愛情が玄奘の本当の力を引き出すのだから、とっても重要な役。良かったと思う。孫悟空のホアン・ボーがスゴイ! このチビで禿オヤジが孫悟空?って思わせて、でも妖怪の王なのだから狡猾でなければならない。信用できない感がスゴイのに、コミカル演技に笑っちゃう! 玄奘のウェン・ジャンも良かった! 妖怪を助けたいと考えている彼は、いい人だし生真面目。つまらない役になりがちだけど、そこはシンチーだけに彼のそういう面が笑いを誘う要素を加えている。それを理解してきちんと演じていたと思う。少し頼りない雰囲気だけど、カワイイ感じがするので人気出るかも?

とにかくスケールの大きさにビックリ! CGもCGを感じさせない部分と、あえてのCG感を出している部分があって、それが絶妙! 冒頭の沙悟浄がまだ巨大な魚だった時のデザインがスゴイ! 基本妖怪たちとのバトルシーンは、こちらもシンチーといえばのカンフー。特に段のカンフーは女性的でもありつつ、力強くてカッコ良かった! 中国っぽい自然の風景も良かった!

そういえば、孫悟空といえばの緊箍児は、実は段の変幻リングだったんだっけ? 監督インタヴューで、玄奘と段の愛情と、2人の関係を上手くつなげたいと考えて、腕輪を緊箍児にしたって語っているからそうだね

万人受けするかどうかは微妙かなぁ・・・ でもシンチー監督作品好きな人は絶対好きだと思う! スー・チー好きな方もおススメ! シンチー監督作品好きな方是非!

『西遊記 はじまりのはじまり』Official site


コメント (2)
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