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【cinema】『女王陛下のお気に入り』

2019-03-29 00:39:22 | cinema

2019.03.02 『女王陛下のお気に入り』鑑賞@TOHOシネマズ市川コルトン

 

試写会ってあったっけ? あったけどダメな日だったかもしれない。見たいと思ってムビチケ買ってあった。アカデミー賞主演女優賞受賞のニュースで母親も見たいと言うので一緒に見に行ってきた~

 

ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「18世紀初頭。没落した貴族の娘アビゲイルは、女王の側近として権勢を振るうサラを頼って宮殿にやって来る。最初は下働きの女中として真面目に働くが、女王の痛風に利く薬草を手に入れたことによりサラ付に取り立てられる。そこからアビゲイルの野望が燃え上がり・・・」というあらすじだとアビゲイルが主役のようだけれど、アカデミー賞主演女優賞はアン女王であるオリヴィア・コールマンだったし、サラのレイチェル・ワイズと共にアビゲイルのエマ・ストーンも助演女優賞にノミネートされていたから、主役ではないということなのかな?🤔 とはいえ、これは主役3人という作りなんだと思う。アン女王とサラの間には単なる側近というだけではない絶対の信頼感があったわけで、それに波風を立てたのはアビゲイルなので、あらすじとしてはこんな書き方になるかと。そして前置きが長いけどこれはおもしろかった。

 

ヨルゴス・ランティモス監督作品。監督の作品は『籠の中の少女』『ロブスター』『聖なる鹿殺し キリング・セクリット・ディア』(感想はコチラ)を見た。どちらも不思議な雰囲気の作品で、特に『ロブスター』はトンデモ設定。手放しで好きという感じではないけれど、嫌いではなかった。そういう感じ。今作も相変わらず不穏な感じだけど、監督作品の中では一番ストーリーがあったかも。まぁ、実話ベースですしね😌

 

作品について毎度のWikipediaから引用。『女王陛下のお気に入り』(じょおうへいかのおきにいり、The Favourite)は2018年のアイルランド・アメリカ合衆国・イギリス合作の歴史コメディ映画。監督はヨルゴス・ランティモス、主演はオリヴィア・コールマンが務めた。共演はエマ・ストーン、レイチェル・ワイズ、ニコラス・ホルトら。18世紀初頭のイングランドを舞台にアン女王の寵愛を奪い合う女性2人のしたたかな攻防を描いた宮廷ドラマである。第91回アカデミー賞では『ROMA/ローマ』と並び最多9部門10ノミネートを獲得し、コールマンが主演女優賞を受賞している。

 

史実及び実在人物を題材としているが、衣装には現代的な要素(デニム、モノトーン配色)等が取り入れられている。 史実ではアビゲイル・メイシャムが宮廷に上がったのが1702年頃であり、1709年のマルプラケの戦いでの損害から、1710年にマールバラ公爵ジョンとサラ夫妻が女王の信頼を損ね、ゴドルフィン首相が更迭されるまで8年余りを要している。 しかし、作中では、実在の出来事が登場するものの時間軸に触れられることはほぼ無い。またこの間、1708年に逝去したアン女王の夫ジョージ王配も登場せず、1707年の国号変更や、フランス王国等との北米大陸における戦争にも触れられていない。 当時の英国では、大蔵卿(Lord High Treasurer)が閣僚の首席(首相に相当)であった。その俗称である「首相」(Prime Minister)が使用されるのは19世紀初頭以降で、正式な官職となるのは20世紀である。しかし、作中では、「Prime Minister」の語が用いられ、その日本語字幕は「大蔵卿」となっていた。

 

2015年9月、ヨルゴス・ランティモスが本作の監督に起用され、オリヴィア・コールマンとエマ・ストーン、ケイト・ウィンスレットに出演オファーが出ていると報じられた。10月、ウィンスレットの代わりにレイチェル・ワイズが起用されることになったとの報道があった。ワイズは本作をコメディ映画と規定した上で「『イヴの総て』より愉快で、性的衝動に突き動かされている作品」と評した。なお、コールマンとワイズがランティモス監督の作品に出演するのは『ロブスター』以来2回目のことである。 2017年2月、ニコラス・ホルトがキャスト入りした。当初、本作の主要撮影は2016年春に始まる予定だったが、ランティモス監督のスケジュールの都合で1年ずれ込むことになった。本作の主要撮影は2017年3月にハートフォードシャーで始まり、同年5月に終了した。

 

2018年11月23日、本作は全米4館で限定公開され、公開初週末に42万2410ドル(1館当たり10万5603ドル)を稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場19位となった。本作は2018年全米公開作品の中で、1館当たりの興行収入が10万ドルを超えた初めての作品となった。 本作は批評家から絶賛されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには96件のレビューがあり、批評家支持率は95%、平均点は10点満点で8.6点となっている。また、Metacriticには30件のレビューがあり、加重平均値は92/100となっている。 第91回アカデミー賞では作品賞をはじめとした8部門にノミネートされたが、オリヴィア・コールマンの主演女優賞のみの受賞となっている。

 

一応実話ベースだけれど、Wikipeidaにも相違点が書かれているので、ちょこちょこ設定変更していると思われる。でも、ざっと読んだ感じだとほぼほぼ忠実なのかな? とはいえ、そこはヨルゴス・ランティモス。いわゆるコスチュームプレイとは一線を画し、登場人物たちがFワードを連発したりする。当時の世情や文化などに詳しくないので、全て実在の人物なのかも分からないし、本当にあったことなのかも不明。監督の作品の中ではかなりストーリーがある方だけれど、やっぱりシーンごとの印象が強く、それらをツラツラ書いたからといって、レビューとして面白いかは分からない。また、その都度何が起きているか理解が追いつかない部分もあったり、見てから時間が経ってしまって忘れている部分もあったり。なので、全てのシーンを書けるわけではないし、順番も間違っているかも。さらに、今作は「1.ここの土は臭い」などの文言が入り、各章に分かれているようだけれど、覚えていないので章については割愛。毎度、どうでもいいと思うけれど断り書きとして書いておく😌

 

冒頭は乗合馬車の真ん中で窮屈そうなアビゲイル(エマ・ストーン)の姿から始まる。向かいのキモイ男がアビゲイルに意味ありげな視線を送ってくる。後にこの男はアビゲイルを見て自慰行為をし、さらに彼女が馬車から降りる際にお尻を触り、結果アビゲイルは地面に落ちてしまう。案内してくれた下女から皆が地面に小便をするからだと言われる😱 アビゲイルはアン女王(オリヴィア・コールマン)の側近であるマールバラ公爵夫人サラ(レイチェル・ワイズ)の縁故を頼って宮殿にやって来たのだった。後に父親の借金が原因でドイツ人と結婚した?愛人になった?と言っていたけど、実際のアビゲイルは幼い頃から宮殿に仕えていたそうなので、これは創作かな? 彼女を案内した下女は意地悪で、汚れた服を着替えるようにと部屋に通すけれど、そこにはサラがいて、汚い姿のままで会うことになる。これで心証を悪くしたのか、そもそもそういうものなのかは不明だけれど、アビゲイルは下女として働くことになる。

 

この意地悪な下女はさらに意地悪をして、食事中のアビゲイルに床を磨くように言いつけ、床磨き用の洗剤は素手で使うと手が痛むことをわざと教えない。この役この2つの場面しか出てこないから重要な役ではないし、女優さんの名前も分からないのだけど、こういう役にありがちな太っていて美しくない方が演じてる。どうして意地悪はブスと決めつけてるんだろう? 意地悪な美女もいるのに。と、ちょっと思ってしまったり😒 まぁでも、この後レイチェル・ワイズ×エマ・ストーンの美女対決があるから、美女だらけでクドイか😅

 

えーと。何の用事で行ったか忘れたけれど、ある夜アビゲイルが女王の部屋に行くと、女王は痛風で苦しんでおりサラが介抱していた。サラは生肉を持ってくるように言いつけ、肉を女王の脚に巻きつける。痛風の痛みがどんなものなのか不明だけど、生肉を巻いているということは冷やしているのかな? 生肉で治療できるとは思えない。この出来事がアビゲイルの運命を変える。アビゲイルには痛風に利く薬草に心当たりがあった。さっそく宮殿を抜け出し、勝手に馬を駆って森に入り薬草を摘む。この時、ある男性に会うのだけど、これが後に夫になるサミュエル・マシャム大佐(ジョー・アルウィン)だったよね?

 

アビゲイルは薬草をペースト状にして女王の部屋に向かう。当然、アビゲイルの身分では女王の部屋に入ることは出来ない。でも、アビゲイルは守衛を騙して中に入り込んでしまう。そして、女王の脚に薬草を塗りつける。サラに見つかり追い出され、鞭打ちの罰を受けることになってしまうが、後に女王が足の痛みがなくなったという言葉を聞き、サラはアビゲイルを女官にして自分の身近に置く。下女に意地悪されていることを話すと個室も与えられる。そしてアビゲイルは自室で高笑いをする。事前にアビゲイルとサラが対決することは知っていたので、画面に現れたアビゲイルの身分が低かったことから、成り上がっていくのだろうとは思ってはいた。ただ、最初から野心家だったのか、それとも途中から野心を持ったのか謎だった。自分が見た限りでは後者なのかなと思った。

 

で、どこからどこまでだったか忘れてしまったけれど、この一連の流れの間中ポーンポーンと定期的に鳴るちょっと神経に触る音が続く。魚眼レンズを使って廊下を歩く姿などを映す映像もあいまって、とても不安をあおられる。そういう感じは監督の他の作品にもあったけれど、今作でも効果的に使われている。

 

この当時、イングランドはフランスと戦争中だったようで、サラは戦争推進派で戦争終結を画策するウィリアム・ハーレー(ニコラス・ホルト)と対立している。不勉強で時代背景的なことがよく分からなかったし、当時のイギリス議会がどういう感じだったのかもよく分からない。この政治的対立も話を進めるカギの1つとなっているし、政治映画的要素もあるものの、主題としては3人の女性の愛憎劇という感じなので、この辺りは深く掘り下げないでおく😌 ただし、このハーレーは重要人物ではある。

 

宮殿では舞踏会が催される。痛風の女王が車いすで見守る中、マシャム大佐と激しく踊るサラ。この時の音楽ってなんだったっけ? とにかく、18世紀初頭の宮廷舞踏会でかかる音楽じゃなかったような。そして2人のダンスも結構前衛的。今作では結構こういうあえて時代考証を外したような演出がある。だんだん興が乗って滑稽な感じになってくる2人。ちょっとクスッと思っていると、すっかり蚊帳の外になってしまった女王が機嫌を損ねて退出してしまう。まぁ、痛風だから踊れないのは仕方がないとして、サラを独占されている嫉妬もあるのでしょう。

 

サラは慌てて追いかけてくる。この時、蔵書を読む許可を得ていたアビゲイルが忍んで本を読んでいたことに気づかない。サラは女王をなだめるために淫らな行為に及ぶ。どうやら女王がサラを寵愛している秘密はここにあるらしい。アビゲイルはそっと2人に見つからないように抜け出す。実際の2人もそういう関係だったのかは不明だけど、これはとっても淫靡でなかなか良い。

 

一方、ハーレーがアビゲイルに近づき、女王とサラの会話などを教えるように言う。要するにスパイになれということ。アビゲイルはこれを拒否。女王やサラへの忠誠というよりも、自分の損得を考えたように思われる。するとハーレーはアビゲイルを突き飛ばし、彼女は土手のようなところから転げ落ちてしまう。こりゃヒドイ😅 この辺りもヨルゴス・ランティモス調ではあるけれど。

 

アビゲイルとサラは鴨撃ちをする。合図をして鴨を空に放ち、それをライフルで撃つ。楽しみで鳥を撃つなよと思うけれど😔 上流家庭の出身ながらアビゲイルはそういう嗜みはなかったようで、最初は上手くできないし、鴨を撃つのも気が引けている様子。そんな中、アビゲイルはサラにハーレーからスパイになるように持ち掛けられたこと、サラと女王の関係を知っていることを話す。するとサラはアビゲイルに向けて空砲を撃つ。今度は、うっかり弾を込めてしまうかもしれないと言いながら。要するに威嚇したわけだけど、実は後に2人が鴨撃ちをするシーンがもう一度出てくる。その際は、逆にアビゲイルがサラを威嚇する。予告編でサラの顔に鴨の血がかかっているシーンがそれ。この対比はアビゲイルが宮廷のアレコレに慣れたことを表しつつ、2人の立場が逆転したことを表していてニヤリだった😀

 

サラはますます宮廷での権力を強め多忙になっていく。そのため女王のそばにはアビゲイルが控えるようになる。女王はサラのことを少々疎ましく思ってもいて、アビゲイルの気づかいに癒されていく。女王はウサギを17匹飼っているけれど、サラはそのことをよく思っていない。アビゲイルがウサギをかわいがると、女王はある告白をする。女王は子供を17人亡くしていたのだった。死産だったり流産だったり。ウサギはその子供たちの身代わりだというのだった。これは女性として辛い。しかも17人とは😣 実際のアン女王も17人のお子さんを亡くしたのだそう。世継ぎを生むために妊娠を強要された部分もあるのかな? これでは精神を病んでも仕方がない。

 

アビゲイルは同情を寄せ、ますます女王の心をつかむ。この時のアビゲイルは演技した部分もあると思うけれど、やっぱり同情はしたのじゃないかと思う。でも、後にウサギに対してビックリ行動をするので本心はどうだったのか? 巧みに心をつかんだアビゲイルは、ある日女王の足を揉みつつ女王と関係を結ぶ。女王を訪ねたサラはアビゲイルが女王のベッドに裸で寝ているのを発見し驚愕する。まぁ、サラと女王のつながりがそこにある以上、アビゲイルとしてもそういう関係に持ち込むことは女王の寵愛を得る最大の近道ではある。宮廷劇では男女の色仕掛けはよく見かけるけれど、LGBT要素を入れているのは現代的といえるのかな。もしくは史実なのか?🤔

 

翌日出し抜かれたサラはアビゲイルに怒りをぶつけ、本を投げつける。アビゲイルはその本で自分の手を打ち付けて、サラに傷つけられたことを女王に進言する。サラは女王にアビゲイルを追い出すように言うけれど、女王はアビゲイルを自分付きに取り立てていた。追い落とされて行くサラをかわいそうに感じる部分もあるけれど、それまでのサラの権勢を見るとなんとなく同情しきれない。かといってアビゲイルのやり方の強引さに、応援する気にもなれない。決していい気分ではないのに、目が離せない。やっぱりこういうドロドロは傍観者として見ているのが一番楽しいのかも。

 

サラとアビゲイルの権力争いが続く。ある日、アビゲイルはサラの紅茶に毒を盛る。これ! 読売新聞夕刊のファッション関連ページのコラムによると、この当時スカートをまくってアンダースカートを見せるスタイルが流行していたのだそう。上手く言えないのだけど、昔の飛脚とかが着物の裾をはしょるみたいな感じで、スカートを真ん中で割って、裾をまくり腰のあたりでひだを持たせて止めてある感じ。前から見ると、両脇にドレープがあるような形で、その中が大きなポケットのような感じになる。アビゲイルはそこに毒を隠している。さりげなく当時の流行を利用しているのおもしろい。

 

毒は直ぐには効かないようで、サラは普通に帰って行く。馬で森を走っている時に毒が回ったらしく、落馬してしまう。これで死んでしまうのかと思ったら、サラは助けられる。とはいえ、しばらくの間昏睡状態となる。サラが行方不明の間、女王はサラが自分の気を引こうとしているのだろうと考えて、あえて捜索をしなかった。アビゲイルはその間に、女王からマシャム大佐との結婚の許可をもらう。しかし、新婚初夜にも体は許さないという愛のない結婚。アビゲイルにとっては結婚も地位を得る糧に過ぎないということ。おそろしや😱

 

一方、サラが助けられたのは娼館で、そこで働かされそうになる。この展開がよく分からなかったのだけど、とにかくサラは無事に宮廷に帰って来る。顔に傷を負っていたから無事というわけではないか。この顔に黒い包帯?を巻いてるのちょっとカッコ良かった😳 サラはアビゲイル追放を女王に迫り、さらに女王から自らに宛てた恋文を公開すると脅しをかける。しかし、それがさらに女王の心が離れることになる。それはそうでしょうね😅

 

女王は議会で演説し、戦争を終結することを宣言する。さらにハーレーを新首相とすることに決定。そして、サラから私室のカギを没収し彼女を宮廷から追放する。サラは扉越しに恋文は捨てたと告げるが、女王は扉を開くことはなかった。いくら追いつめられていたからと言って、脅迫するようなことをされたら信じられないよね😅 サラは賢くて強い人なので、順調に行っているときはいいんだけど、下手に出るということができないらしい。これだけ女王を傷つけてしまうと、どういえば良かったのか分からないけれど。さらにアビゲイルを落とす発言をしてしまうのは逆効果なのは間違いない。

 

フランスとの戦争の指揮を執っていたサラの夫マールバラ公爵の責任問題も絡み、サラの立場はますます悪くなる。元首相のゴドルフィン(ジェームズ・スミス)の勧めでサラは女王に和解の手紙を書こうとするが思いが募り過ぎて上手く書けない。一方で女王はサラからの連絡を待っていた。このあたり女性の心理がよく表されていると思う。素直になれないというか、変な駆け引きをしてしまうんだよね。口ではこう言ってるけど真意をくみ取って欲しいというような。男性相手だとなかなか通用しないこの手口。女性同士だとどうなのだろう。サラはむしろ男性的だったのかもしれないと思ったりもする🤔

 

サラは結局手紙を出すのだけど、アビゲイルが手を回して握りつぶしてしまう。社会通念的にやってはいけないことだし、アビゲイルの性格が悪いことを置いておいても、この辺りを想定していないサラも脇が甘いと思う。結局、サラの思いが女王に届くことはなく、失意のまま女王はアビゲイルの進言通りマールバラ公爵夫妻を国外追放にする。屋敷にやってきた兵隊たちを窓から見て、イングランドにはうんざりだからフランスへ行きましょう的な発言をするサラの毅然とした態度が印象的。サラも手放しで良い人とはいえないけれど、実質宮廷を回していたのだからやっぱりスゴイ人だったのでしょう。このセリフを負け惜しみと取るか、潔いと取るかは人それぞれだと思うけれど、自分としては前者もややありつつ後者に受け取った。やり切ったというような。このレイチェル・ワイズは見事

 

この一件で女王は一気に老け込んでしまう。顔の半分がマヒしたような状態に。実質サラの後釜として頂点に上り詰めたアビゲイルは、女王に対しての態度も適当なものになっていく。あんなにかわいがっていたウサギを踏みつけたりする。酷いぞ! ウサギに罪はないじゃないか!(*`д´) その姿を見て女王は自らの失敗を悟る。それでも、女王はアビゲイルに足を揉ませる。アビゲイルの手は上の方に伸びていく、女王の表情はうつろ。自らの過ちを悟っても、それでも一人ではいられないということ。このオリヴィア・コールマンの表情が素晴らしい

 

実際がどうだったのかは不明だけど、マールバラ公爵夫妻が失脚したこと、サラの代わりにアビゲイルが女王のお気に入りになったことは事実なのよねきっと🤔 実際のサラやアビゲイルがどういう人だったのか不明だけど、今作を見る限りでは少なくともサラはイングランドのことを考えて政治を行っていたと思う。ハーレーたちと相容れないその政策が正しかったのかは別として。でも、アビゲイルの目的は政治ではなく、自分の地位が欲しかっただけ。そういう意味で本当に必要だったのはサラということになる。女王は自分の愛憎でイングランドにとっても、自分にとっても大切な人物を失ったということなのでしょう。とても興味深い。

 

キャストはみな良かった。ハーレー役のニコラス・ホルトは出てるの忘れててビックリ😲 化粧をしているので顔が白塗り状態で、巻き毛の長髪のヅラを被っているので誰だかよく分からない😅 でも、嫌なヤツを演じていてもチャーミング。サラの夫マールバラ公役でマーク・ゲイティスが出てて驚いた。とはいえ、これはホントにチョイ役。

 

とにかく女優3人の競演がスゴイ! アビゲイル役のエマ・ストーンはアカデミー主演女優賞貰った『ラ・ラ・ランド』(感想はコチラ)より良かったと思う。最初は真面目な感じだったのに、どんどん野心むき出しになっていき、最後は本当に嫌な人になってしまう。物語はアビゲイルがのし上がる過程と共に進行するので、ストーリーを牽引する部分でも魅力的だったと思う。

 

サラのレイチェル・ワイズが良かった。最初は宮廷を牛耳っていて鼻もちならないと思っていた。アビゲイルのことも見下して鼻にもかけない感じも不愉快で、だんだん形勢が逆転してくると、ちょっと胸のすく感じすらしていた。でも、完全に失脚してからは女王に対する思いが伝わったし、この人こそ国のことを本気で考えていたのではないかと思わせた。最後のセリフは見事

 

そしてアカデミー主演女優賞を獲得したオリヴィア・コールマンがスゴイ! 今作では描かれていないけれど、アン女王はどうやら貧乏くじを引く形で女王になったらしく、分不相応だったらしい。資質も知性もないのに女王にされて、17回も妊娠して死産や流産を繰り返した。それは悲劇以外のなにものでもない。それでも立派な女王になるチャンスはあったかもしれないけれど、努力出来ることも資質や才能だから誰もがそうなれるとは限らない。その辺りのことも感じさせたし、一人の女性として女王がとってもかわいそうに感じた。それはオリヴィア・コールマンのおかげ。

 

前述したとおり、コスチュームプレイとは思えない音楽が流れたり、そうかと思えば不快な音が続いたり、魚眼レンズを多用したり、Fワードを連発したりとかなり型破り。見慣れてない方が、アカデミー賞作品賞候補だからと見るとビックリするかも? でも、ヨルゴス・ランティモス作品としては見やすいと思う。実話だけにストーリーがしっかりしてるし、衣装の件など時代考証もしっかりしつつ、斬新な変更を加えているもよう。個人的には不安を煽る音の使い方や、魚眼レンズの画はとっても好きだった。衣装やセットも好き。何より女同士のドロドロがむしろ格闘技的に描かれてたの好き。これはコメディでもあるんだよねきっと😌

 

公開してらから1ヶ月以上経ってるけど、まだ上映してる映画館はあるらしい。これは是非劇場で見た方がいいと思う。音響のいい映画館でじっくり見た方が楽しめる。エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ好きな方是非! オリヴィア・コールマンの演技は必見です!

 

『女王陛下のお気に入り』公式サイト

コメント
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