2019.11.03 『IT イット THE END "それ"が見えたら、終わり。』鑑賞@TOHOシネマズ錦糸町楽天地
テレビ放送でいいかなと思ったけど、大好きなジェシカ・チャステイン出てるし、こういう作品こそ大画面で見た方がいいかなと思い、劇場に行ってきた。
ネタバレアリです! 結末にも触れています!
「血の誓いから27年後、ルーザーズ・ブラザーズのうち1人デリーに残っていたマイクから招集がかかる。それぞれ別々の生活を送っていた仲間たちはデリーに戻ってくるが・・・」あらすじとしてはこんな感じかな。あらすじじゃないか😅 イヤ前作で一度は解決したのに再招集されたということは、仲間たちが再び立ち向かい退治するであろうことは目に見えているので。これはなかなか面白かった。ジャンルとしてはホラー映画なのだろうけど、主人公たちの成長物語でもあったりして見ていて飽きない。3時間近くある長尺だけど一気に見てしまった。
アンディ・ムスキエティ監督作品。『MAMA』、『IT / イット "それ"が見えたら、終わり』そして今作を含めて全作品見ている。『MAMA』を見て独特の感覚がおもしろくて、今回見てみようと思った理由の一つでもある。
作品について、毎度のWikipeidaから引用しておこうと思ったのだけれど、どうやら前作に追記する形で書かれていて、「キャッチコピーは、『また、会えたね。』。R15+指定。」という文言のみで、あとはキャスト紹介だけという悲しい感じになっている😢
さて、毎年恒例の今年のベスト10を今年も選出しようと考えているのだけど、なんと鑑賞済み作品の感想が今作を含めて6本書けてない💦 そのうち4本は今年公開作品なので、記事を書きたいのだけど、どう考えても間に合わない😫 しかも、あと2本新作見る予定だし。ということで、4本については簡略化した感想記事にしたいと思う。と、言いつつ毎回ダラダラ書いちゃっているけど😅 まぁ、一応断り書きとして書いておく😌
冒頭、お祭りのようなところでゲイのカップルが人目もはばからずキスをしているところから始まる。このカップルに数人の青年たちが絡み後をつけてくる。反発したエイドリアン・メロン(グザヴィエ・ドラン)は青年たちにボコボコに殴られた挙句、橋から川に落とされてしまう。彼を助けようとして岸に降りた恋人の青年は、ピエロがエイドリアンを殺すのを目撃する。今回の主人公たちは知っていたので、関係なさそうな人物についてずいぶん時間を割くなと思ったらグザヴィエ・ドランだったからなんだね🤔
このニュースを受けて、一人デリーに残り図書館司書として働いているマイク・ハンロン(イザイア・ムスタファ)はかつての仲間たちを招集する時だとばかり、ルーザーズ・ブラザーズのメンバーに連絡をする。
ビル・エンブロウ(ジェームズ・マカヴォイ)は映画の脚本家として成功しているが、結末がいつもアンハッピーなため評判が良くなく、それが原因で女優の妻との間もギクシャクしている。子供の頃太っていたベン・ハンスコム(ジェイ・ライアン)はダイエットに成功しすっかりイケメンになっており、有名建築家として成功している。リッチー・トージア(ビル・ヘイダー)はコメディアンとして成功。エディ・カスプブラク(ジェームズ・ランソン)は保険会社に勤めており、結婚して幸せに暮らしている。ベバリー・マーシュ(ジェシカ・チャステイン)は夫とアパレル企業を経営し成功しているが、夫からDVを受けている。
と、それぞれ社会的には成功しているけれど、どこか満たされないものを感じている登場人物たちは、マイクからの連絡に恐怖を感じつつもデリーに向かう約束をする。しかし、会計士として成功し結婚して幸せに暮らしていたスタンリー・ユリス(アンディ・ビーン)は、バスタブで手首を切り自殺してしまう。マイクからの電話を受けるまでに彼らの日常を映すことで、それぞれの現在の状況や抱えている問題を見せるの上手いし、ここまでの流れがよどみなく来た分、スタンリーの自殺で不穏なものがさらに広がる感じはよかった。
デリーに着いたメンバーたちは中華料理店に集まる。ベンはベバリーに熱い視線を向ける。ベンのベバリーへの気持ちが丸わかりでドキドキ💓 しばし楽しい時を過ごすけど、フォーチュンクッキーが運ばれてくると雰囲気が一変する。クッキーの中からクリーチャーが現れて襲ってくる。6人は必死に抵抗するが、それは6人にしか見えていなかった。
スタンリーの家に電話をすると、彼の妻が出てスタンリーが自ら命を絶ったと話す。それを聞き恐怖を感じたエディとリッチーは、直ぐに帰るとホテルに戻ってしまう。
一方、ルーザーズ・ブラザーズをいじめていたヘンリーは、父親を殺害して精神病院に収容されていた。そこにペニーワイズが現れて、彼を逃がしてしまう。
マイクは自宅でもある図書館へビルを連れて行き、自ら調べたペニーワイズの退治方法を伝える。これあまりよく理解できなかったのだけど、以前先住民がペニーワイズ退治するためにある儀式を行のだけど、それにはそれぞれが過去の恐怖と向き合い、アイテムを手に入れる必要があるらしい。
マイクとビルがホテルにやって来て、エディとリッチーを説得。全員で儀式を行ってペニーワイズを退治するために、過去のトラウマが残る出来事があった場所に行き、アイテムを手に入れて来ることにする。ここからの展開はロールプレイングゲーム的でもあり、ホラー要素の多い部分で楽しかった。
例えば、ベバリーは以前住んでいた家に向かうと、そこには老婆が住んでおり中に入れてくれる。老婆が席を外した時に密かに隠した手紙を探し出す。27年前に受け取った詩が書かれたラブレターで、ベンが贈ったもの。すると老婆の姿が豹変して襲い掛かって来るが、なんとか脱出に成功する。この老婆のクリーチャーは監督の『MAMA』のクリーチャーを思い出して好きだった。
同じくクリーチャーに遭遇するのは薬局へ吸引器を取りに行ったエディ。地下室から母親の声が聞こえてきて、向かうと何故かそこにベッドがあり母親が寝ている。そして、その母親がクリーチャーになって襲ってくる。このクリーチャーの造形も好きだった。なんとかホテルに逃げ帰ったエディはヘンリーに頬を刺されてしまうけれど、なんとか反撃する。
ビルはあの日弟ジョージーが消えた排水溝へ来ていた。するとペニーワイズが現れて引き込まれそうになるが、なんとか振り切りジョージーが持っていた折り紙の船を手に入れる。そこにスケートボードに乗った少年が通りかかる。排水溝に近寄らないようにとビルが注意すると、少年はバスタブの下から声が聞こえると言いビルを驚愕させる😲
ビルは血でメッセージが書かれたスケートボードを発見する。あの少年の身に危険が迫っていると感じたビルは、少年を追って遊園地へ向かう。ミラーハウスに入る少年を追うも、ミラーに惑わされて近づけない。するとペニーワイズが現れて少年を食い殺してしまう。酷い😣
図書館で待っていたマイクはヘンリーに襲われてしまうが、駆けつけたリッチーがヘンリーを殺害する。ベバリー、ベン、エディもやって来る。ビルは怒りが頂点に達し一人でペニーワイズと対決すると言って、皆の制止を振り切って出て行ってしまう。気持ちは分かるが落ち着け!
しかしここはメンバーの方が落ち着いていた。ビルがあの廃墟の前に立っていると、メンバーが現れて一緒に戦おうと言う。だって儀式をして倒すってことでアイテムを集めていたのに、一人で対決するって言われてもね😅 正直この部分はいらなかったかなと思うけれど、まぁよし。
中に入るとクリーチャーたちが襲ってくるけど、何とか地下道を通って洞窟に辿り着く。それぞれのアイテムを集めて燃やして儀式を完成させるが、ペニーワイズが現れる。ペニーワイズはマイクが嘘をついていると告げる。実は先住民たちは儀式を行ったものの、ペニーワイズに逆襲されて殺害されてしまっていたのだった。なんと😲
ペニーワイズは巨大なクモのような形になって襲ってくる。これね。以前NHKで放送されたドラマ版を見ていたので、ペニーワイズが宇宙生物で巨大なクモのような形になるのは知ってたのだけど、顔の部分だけペニーワイズのままでちょっと笑ってしまって全く怖くなかった😅 でも、このペニーワイズと戦っている間にリッチーをかばってエディが亡くなってしまう。
さらにメンバーたちが手を取り合って、呪文や「お前はただのピエロだ」などと唱え始めると、役者たちが熱演すればするほどおもしろくなってしまって、ちょっと笑ってしまった😅 イヤ、もちろんいい意味で。
しかし、その儀式が功を奏しペニーワイズは小さくなっていく。小さなピエロ人形のようなサイズになったペニーワイズの心臓を取り出し、全員で掴んで握りつぶすとペニーワイズは絶命する。
すると洞窟が崩壊し始める。リッチーはエディの遺体を運び出そうとするけれど、ビルとベンが引き離し連れて行く。なんとか廃墟内に戻るけれど、水が流れ出てきて溺れそうになる。たしかここでビルはジョージーの姿を見たと思う。これで許されたってことだったような🤔 ベバリーは溺れながら諦めそうになるけれど、ベンはベバリーに愛を告白し、ベバリーを救い出す。
実はベバリーはあのラブレターをビルからだと思い込んでいて、それを知ったベンを絶望させていたのだけど、ベンのアイテムが肌身離さず持っていたベバリーからのメッセージだと知り、あの詩を送ったのはベンであることに気づくというシーンがあった。ベンの27年間の片思いが実るのはうれしいけれど、これは太ったままではダメだったのかね? まぁ太っているのは健康上よくないし、体を鍛えて美ボディを作り上げることはいいことだと思うけれど、痩せたからってイケメンになるとは限らないし🤔
イヤ別にイケメンになってもいいし、ベンが痩せたことは過去の自分のコンプレックスを克服したということではあるわけだからね。ただ、外見が不細工なのはダメってなってしまう危険性があるかなとちょっと心配になったので😌
話を戻す! 無事に廃墟から脱出したメンバーたち。すると廃墟が崩れて跡形もなく無くなってしまう。この潰れ方もなかなか面白かった。崩壊するんじゃなくて、文字通り潰れちゃう感じ。
自殺してしまったスタンリーから手紙が届いていた。27年間ずっと怯えて生きて来た自分には、もう一度ペニーワイズと戦う勇気はなく、皆の足を引っ張ってしまうと考えて自分を消すことにしたのだというものだった。この手紙を読んでいるということは、ペニーワイズを倒すことに成功したのだろうから、これからも勇気をもって生きて行ってほしいと書かれていた。
ルーザーズ・ブラザーズは解散し、それぞれデリーを去って行く。ベバリーとベンは共に生きる道を選択したようで、クルーザーで寄り添う姿が映っていたけど、DV夫とは離婚できたのか?と思ってしまったり😅 最後にビルがデリーを去るシーンで終わりだったかな? ちょっと記憶が曖昧になってしまった😵
前述したとおりドラマ版を見たことがあったので、結末はペニーワイズの正体や最終形は知っていたし、結末も分かっていたのだけど楽しめた。前作をちょっと忘れてしまっていた部分もあったのだけど、それを補完するような映像も入っていたので問題なし。
キャストは皆よかったと思う。ホラー映画での演技って軽視される傾向にあるけど、こういう作品こそリアリティを持たせる必要があるから演技力って大切だと思う。皆それぞれ27年前に虐待やいじめに合ってトラウマを抱えている役だけれど、中でもさらにゲイであることに悩んでいたリッチーのビル・ヘイダーが、弱さも嫌な面も巧みに演じていて見事。ベンのジェイ・ライアンはベバリーに向ける熱視線にドキドキした😍
ベバリーは支配的な父親に虐待されていて、夫にもDVにあってしまうけど、そういうパターンって実はよくあるのかなと思う。何故かは分からないけど。原作どおりなのか不明なのだけど、製作側には間違いなく、メンバーたちの過去のトラウマが現在にも影響しているってことを描きたかったのだと思うので、ベバリーがやっとこの負の連鎖から抜け出せたってことは重要なのかなと思うので、その辺りに説得力を持たせたジェシカ・チャステインはさすがだなと思う。
ビルのジェームズ・マカヴォイも良かったと思う。前述したとおりルーザーズ・ブラザーズのリーダーはビルなのだと思うけれど、リーダーシップを発揮しつつも、本人も弟を死なせてしまったというトラウマを抱えているため、時々暴走してしまう感じを的確に演じていたと思う。そして、忘れちゃいけいないのがペニーワイズのビル・スカルスガルド! オーディションにピエロ🤡の恰好で現れて、CG処理しようと思っていた斜視も自分で演じたのだそう😲 怖いというよりはちょっとコミカルな感じで何故か憎めない。それが正解なのか不明だけど、熱演していたことは間違いない。
どちらを先にキャスティングしたのか不明だけど、子役たちが大人の俳優たちに似ていて、つながりがとっても自然。約1名全く外見が変わっておりましたが😅 賛否あるかもだけど、監督の前作『MAMA』が好きだった自分としては、クリーチャーの造形は好きだった。特にベバリーの部屋に出現した老婆。
どの程度原作通りなのか不明なのだけど、前述したとおり製作者側の意図としては虐待やいじめがどのくらい人を傷つけるのか、そしてその人の人生にまで影響を与えてしまうのかということを描きたいのだと思うので、その辺りのことはとてもよく伝わって来た。血の誓いでつけた手のひらの傷が消えたのは、ペニーワイズを倒すミッションを終えたということだけじゃなくて、トラウマを克服したという意味なのだと思う。そして、その心の傷に向き合うのは大人になってからでもいいし、自殺を推奨しているわけではなく、向き合えないなら逃げてもいいということなのではないかと思う。
そうそう! ビルがリサイクルショップで自転車を買うのだけど、その店員役で原作者のスティーヴン・キングがカメオ出演しております😃
ホラー映画が苦手な人でも怖くないし、そんなに残虐なシーンもないので大丈夫だと思う。少年が大人になってトラウマを克服する話としてもよく出来ていると思う。前後編の完結としてとてもきれいにまとまっていると思う。まだ上演している映画館あるようなので是非是非。
『IT / イット THE END "それ"が見えたら、終わり。』公式サイト