10月29日、1日レンタカーで糸島市、福岡市と回った後、西鉄貝塚線で和白までやって来た。JR海の中道線と接続している駅である。この両線、元々は同じ「博多湾鉄道」という会社の路線だったという。九州西国霊場めぐり、福岡市内での宿泊は天神でも博多でもなく、和白ということになった。
2つの鉄道が接続する駅で、西鉄、JRともここで列車行き違いが可能な駅のため全体ではそれなりの広さの駅だ。しかし、ターミナル駅という雰囲気ではなく、それぞれ小ぢんまりした駅舎があるだけ。また、駅前にはロータリーや大型店が広がるわけでもなく、住宅と個人商店、コンビニが混在し、マンションも建ち並ぶ普通の住宅街である。
住宅地を抜けると県道があり、福岡和白病院の大きな建物もある。その並びにあるホテルAZがこの日の宿泊地である。九州一円を中心にチェーンがあり、今後、九州八十八ヶ所百八霊場でも利用する場面が出るだろう。
宿泊地を和白にしたのは、翌日(10月30日)のコースもある。宗像市にある第31番・鎮国寺と、すぐ近くにある宗像大社に参拝するのだが、福岡市の中心よりは多少近づいておこうと思っていた。本来なら宗像市内で手頃なホテルがあればよかったのだが、駅から離れた国道3号線沿いとか、海辺のリゾートホテルとかだったので福岡市の東部にした次第である。それにしても、客室数509とはホテルAZの中でも結構大規模で、エレベーターから客室までの距離も長い。ホテルAZということで、長期現場出張の方や、学生のクラブ活動の宿泊者も結構多い。
そして恒例の一献だが、事前の調べでは和白駅近辺は店の数が少なく、グルメサイトを見ても、徒歩20分ほどのところにある鹿児島線の福工大前駅周辺ならまだあるかなという印象だった。だからというわけではないだろうが、ホテルにはバイキング形式のレストラン(朝食会場を兼ねている)と、ファミレスのジョイフル(ただし、当日は改装工事中のため休業)があり、そして同じ敷地内には「しゃぶしゃぶ温野菜」、「かまどか」、「資さんうどん」がある。
この中で一献なら、居酒屋の「かまどか」がよさそうで、締めは「資さんうどん」かな(さすがに、一人しゃぶしゃぶ食べ放題はしんどそう)。まあ、道を挟んでファミリーマートもあるので、足りないものがあればそこで買い物をすればよい・・・と書くと、何やかんやでこのホテル回りで賄うことができることに気づく。宿泊地に和白を選んだのはそれほどはずれというわけでもなさそうだ。穴場。
そんな中、店が少ない分、宿泊者を含めて客が集中するのではと思い、「かまどか」の席を予約しておいた。ただ、その一方で気になるのが日本シリーズ第6戦である。いったんは、居酒屋をキャンセルしてコンビニで飲食物を買い込んでテレビ中継を見ようかとも考えたが、せっかくなら居酒屋料理も楽しみたい。テレビは途中から見ることにして、予約時間より早め、開店直後の時間に店に行った。
「かまどか」は別に和白オリジナルの店ではなく、なぜかホテルAZに併設されていることが多いチェーン店だそうだが、鶏料理や釜めしなどがおすすめとある。さすがに釜めしは時間がかかるので、この日は居酒屋料理メインとする。
掘りごたつのテーブルに陣取り、あれこれと注文する。単品飲み放題が当日でも注文できたので、アルコールはそちらに任せる。
秋バージョンの「厳選おつまみ」として、鴨の西京焼き、茄子の焼き浸し、鰹のユッケ風という一皿が出る。しっかりしている。
鶏料理メインということなら、焼き鳥の盛り合わせは欠かせない。
他には、ブリの胡麻和え。とろレバのネギまみれ。それぞれこってりした風味をいただく。
揚げ物では、鶏半身揚げをいただく。素揚げにしたもので、注文した時は全部食べられるか心配したが、手頃な大きさにもカットされており、各種スパイスもあり無理なくいただくことができた。
そんな飲食の最中に日本シリーズの試合開始。スマホの一球速報で試合を追いかける。とりあえず、序盤は両チーム無得点で進んでいるようだ。
他にもさまざまな料理があり、腰を据えればより楽しむことができたと思うが、日本シリーズも気になるので「かまどか」を出た。なお、向かいの「資さんうどん」をのぞいてみると、時間帯のせいか待ち客も数組いる満員御礼状態だった。そんなに人気なのだなと苦笑して、二次会の飲食物はコンビニで調達として、後は部屋にて日本シリーズを観戦することに。
その第6戦、バファローズではシリーズ2回目の先発となる山﨑福が5回無失点の好投を見せる。そして直後の6回表に杉本のタイムリーで先制。その後、第5戦にベンチから外した宇田川、山﨑颯らの好投もありリードを保ち、9回表にマクガフの悪送球、西野の犠牲フライで2点を追加し、3対0でバファローズが勝利した。これで日本シリーズ3連勝で日本一に王手がかかり、拍手喝采!!。
・・・ということは、翌30日に日本一が見られるかもしれない。それなら第7戦は試合開始からしっかりテレビ桟敷で観戦しなければ・・・行程の一部はカットして早めに帰宅しようと思う。
さて翌30日も快晴で迎える朝。ちょうど窓から見えるのは立花山だろうか。徐々に明るくなり、ちょうど山頂付近から太陽が顔をのぞかせる。この日、何かよいことがあるような予感がする。
レストランにてバイキング形式の朝食とした後、西鉄の和白から香椎まで乗る。この後、JRで鎮国寺、宗像大社への最寄り駅である東郷まで移動するのだから海の中道線に乗ればよさそうなものだが、ダイヤの関係と、西鉄、JRそれぞれの香椎駅を利用しようということからである。
2つの香椎駅と聞いて連想するのが、松本清張の「点と線」。心中に見せかけた2つの殺人が行われたのがこの香椎の海辺で、国鉄、西鉄それぞれの香椎駅も登場する。もちろん、作品当時と現在では町の様子はすっかり変わり、当時の海岸も今は埋め立てられているそうだが、名作の舞台として今も知られている。