まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

大阪11番「施福寺」~神仏霊場巡拝の道・29(西国三十三所の難所を行く)

2022年11月26日 | 神仏霊場巡拝の道

11月12日、南海の堺駅前からレンタカーで槇尾山口に着き、いよいよ施福寺に向かう。以前に参拝した時にはコミュニティバスであるオレンジバスで訪ねており、その時は細道を通った覚えがある。しかし今回カーナビに従って走ると、そのまま新しい道に出る。

この辺りは以前、並走する槇尾川にダムを建設する計画があり、工事も始められていたのだが、時の橋下大阪府知事の判断により中止となった。ただ、ダムに沈む予定だった細道の府道の付替工事はそのまま進められ、道路は予定通り開通した模様である。これで参道入口まで多少近くなった。

ちょうど紅葉、行楽の時季である。多くの参詣者、ハイキング客が訪ねているようで、駐車場には観光バスが2台停車していた。こちらは西国三十三所の巡拝ツアーだろう。ようやく駐車場の片隅に空きを見つける。

オレンジバスを待つ人の中を抜け、槇尾山観光センターの前から参道に入る。交通の便もそうだが、寺への徒歩でのアクセスが西国三十三所の中でもっとも厳しい札所である。「観音八丁 登れば足守の馬頭さん」の看板にもあるよう、寺までは八丁の坂である。こうして目安を示していただくとある程度先が読める。

参道入口に小屋があり、ここで入山料をいただくとある。参道や境内施設の維持のためとして今年の4月から徴収を始めたそうだ。まあ、下の駐車場が無料なので致し方ない面はあるだろう。また、施福寺は参詣者だけでなく、関西ダイトレのコースの一部としてハイキング客が訪れることが多いため、そうした人たちからも維持費を求めようということか。

まずはコンクリート造りながら急な坂を上る。仁王門までの2丁が意外に厳しい。

仁王門のところで残り6丁である。ここから自然の山道、そして石段の区間である。

ちょうど巡拝ツアーの人たちの塊が前方にいて、その後ろについて途中で止まる場面もあるため、一息つくこともできる。

愛染明王堂に到着。ここまで来ればあと一息である。初めて施福寺に来た時にはさすがにきついなと思ったが、4巡目となると体が経験を覚えているのか、思ったほど時間がかからなかったようにも感じる。

最後のコンクリートの階段を上がると境内に出る。ちょうど青空に紅葉がよく映えていて、来てよかったと思うところである。

改めて本堂の前に立つ。ちょうど西国三十三所のバスツアーは2団体来ているようだ。お勤めはツアー全員が揃ってからのようだが、納経帳を持った添乗員は先に納経所に来ており、窓口の中ではひたすら墨書、押印と手が動いている。また、個人の参詣者も多く外陣内には行列ができている。

まずは外陣にてお勤めとする。時間差で、1つ目の巡拝ツアー客からの読経が始まった。

その後は納経所の列に加わり、朱印をいただく。本堂内が500円で拝観できるが、その支払いのためにはこちらで並ぶ必要がある。拝観料500円のほかに入山料500円が加わった形だが、檀家を持たず、山道の参道、山の上の本堂を維持する寺なれば・・。そして、今回は西国三十三所の重ね印に加えて、目的である神仏霊場巡拝の道の朱印の両方をいただいたから、合計1600円納めたことになる。

本堂は元々限られた日しか開放していなかったが、いつの頃からか通年で開けているようである。また、以前は禁止だったそうだが、仏像の撮影も可能とある。少しでも入りやすいようにハードルを下げているように見えるが、それだけ寺の維持に切羽詰まっているのかもしれない。

まず、寺の本尊として中央に祀られているのが弥勒菩薩。そして向かって左手に立っているのが西国三十三所の本尊である十一面千手千眼観音である。右手の文殊菩薩と合わせて三尊がお出迎えである。

時計回りに進むと、こちらも立派な方違大観音が祀られている。ここだけで見られる観音ということで貴重なものだそうだ。方違とは、凶と出た方角を悪い方角にしないために、いったん別の方角に向かった後で、そもそもの方角に向かうという意味合いである。

本堂の裏手にはさまざまな仏像が並ぶが、弁財天、不動明王を挟んで弘法大師、伝教大師の像が祀られている。施福寺は弘法大師が剃髪し、また唐からの帰国後に滞在したこともあって元々は真言宗の寺院だったが、戦国時代に織田信長の兵火により焼失し、江戸時代に徳川家の保護を受けたことから天台宗に変わった。そのことで二人の像が残されているようだ。

最後には馬頭観音である。足腰が丈夫になるというご利益があるそうで、「足守の馬頭さんである。ここまで多くの仏像が山上に残されているのも貴重なことである。参道入口にあった「山上大堂立体マンダラ仏の世界」というのも決して誇大広告ではない。

ちょうど2組目の巡拝ツアーの方たちが本堂内に入って来たので、入れ替わるようにして本堂を出る。

昼も回っているが、遅めの昼食としよう。新大阪駅にて柿の葉寿司を購入しており、これを境内でつまむ。寺参りとともに山登りの気分も味わえるということで、こうして屋外で食事をするというのも久しぶりのように思う。

一息して下山する。石段を行き交う人たちが挨拶するのもハイキングの感覚である。

これで西国三十三所の4巡目も兼ねた施福寺行きが終わり、駐車場に戻って先に進むことにする。ここからは国道170号線まで出て、金剛寺、観心寺という南北朝の戦いにも登場する寺院へのお参りである・・・。

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