まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

踊る家なき子

2006-09-18 | イギリス、アイルランド映画
 台風一過で、今日は朝から快晴でした。でも...恐れていた通り、また深い傷跡が残ってしまった。お亡くなりになられた被害者の方々のご冥福を、お祈ります。
 お年寄りが何人か、また命を落とされたようです。こういう場合、若い人の死とは違った意味で、私の心は暗澹となります。
 せっかく長い人生、さまざまな苦難や苦労、経験を生き抜いてきたのに、その果てが川に流されて溺死とか、地震でベランダから転落死とか。無常を感じずにはいたれません。長生きして、そんな生命の終わり方は迎えたくない、と心から思わずにいられません。

 「オリバー!」
 1968年のアカデミー賞で、作品賞、監督賞など6部門で受賞した、ミュージカルの名作。同じディケンズの原作が、近年ロマン・ポランスキー監督にも映画化されたことは、記憶に新しい。
 画面いっぱいに歌って踊って♪もう人間なんか要らないような、最近のCG乱用映画を見慣れてる目には、俳優たちの体を張った躍動が、とても新鮮に見えます。カラフルな衣装や小道具が、とても可愛くて目に楽しい。
 子供たちの歌や踊りが、キュートでユニーク。上手だなあと感嘆させられます。北朝鮮の子供みたいに、不気味なまでに一糸乱れぬって感じではないところが、何だか安心。
 楽しい可愛い映画だけど、よく考えてみたら、トンでもなく悲惨な話でもある。
 まず、オリバーがいた孤児院。まさに悪魔の館!子供たちを家畜のように酷使し、食べ物はドブの水みたいなオカユだけ。オリバーが、おかわり...と言っただけで、次の画面では鬼院長が、オリバーを連れて街を歩きながら『男の子、大安売りですよ~お買い得ですよ~』おいおいっ!
 無実の罪で裁判!にかけられてしまうオリバー。酔っ払い判事の適当な判決で、重労働の刑に処せられそうになったり。当たり前のように、幼児虐待!幼児売買!子供の人権無視!
 オリバーのキャラが、素直というか、おっとりしてるというか、かなりボケ気味なところが可愛い。悲惨で危険な状況でも、いつもキョトンとしてる感じ。そして、かなり流されやすい性格。流される先が、優しい泥棒一味で良かったね!変態小児愛者じゃなかったことは、まさに幸運としか言いようがない。
 ただオリバー、キョトン&あたふた流されてるだけで、運命を切り開く行動や努力を、自分では何ひとつしてないところが、いかがなものかな主人公です。スリや泥棒させても、全く使えないドヂ&ノロマ坊主だし。
 オリバー役のマーク・レスターが、ほんと可愛らしい。時々、バックストリートボーイズのブライアン・リトレルに見えたのは、私だけ?
 オリバーを仲間に入れるドジャーが、ガキなのに兄貴なキャラでカッチョE!スレた悪ガキだけど、賢くて度胸と男気があるドジャーが、素直で無邪気でアホなオリバーの面倒を見てやる姿は、あと5年先の彼らだったら、まさにYAOIな妄想を抱かせる光景です。ドジャー役のジャック・ワイルド、アカデミー助演男優賞にノミネートされたのも納得の名演!
 見た目はキモいけど、優しくてオチャメなスリのファジルじいさん。極悪人だけど男前な首領のビル。ビルを一途に愛する酒場の女ナンシー。大人キャラも、チャーミングです。ビルの飼い犬ブルザイが、ブチャイクだけど可愛い!
 ヴィクトリア朝のロンドンの下町を再現したセットも、壮観で美事です。
 
コメント (5)
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