桐野夏生の小説「メタボラ」を読み終えました。沖縄を舞台に、ニートやフリーター、ネット自殺、ホストクラブ、工場の偽装請負、家族崩壊などコレデモカ!と社会暗部が描かれていて、すごく面白かったです。桐野先生らしい、相変わらず性悪でエグい内容に怖笑。同時に、すごく凹んでしまった。記憶喪失の主人公ギンジが、何だか私とカブるキャラなんですよねえ。オドオドしてるくせに内面は倣岸で、常に誰かに弱々しく依存しながら、どこでも生きられるズルさ図太さ。ギンジみたいに悲惨で壮絶な経験はしたくないけど、記憶喪失ってちょっと心惹かれるものがあります。ヤな思い出を抹消できたら、さぞ心が軽くなるだろうなあ。同時に良い思い出も消えるけど、忘れたくないことなんてあまりないので別にいいや、なんて思えてしまうのも、何だか悲しいですね。忘れたくない思い出を作るのって、今からでも遅くないですよね。
「JUNO/ジュノ」
今年のアカデミー賞で、作品賞や主演女優賞にノミネートされ、脚本賞を受賞し注目を浴びた話題作。
16歳の女子高生ジュノは、ボーイフレンドとの一回かぎりのエッチで妊娠。赤ちゃんを産んで養子に出そうと決意するが...
未成年の少女の妊娠!なんて、何だか衝撃的で深刻な問題に聞こえます。実際、憂慮すべき事態であることのほうが多いのですが、この映画はビックリするほどアッケラカンとしていて、そんなノーテンキでいいのかなあ、と保守的な私などは首を傾げてしまう内容なのですが...杉田かおるの妊娠で大騒動になった金八先生の時代を考えると、ほんと隔世の念を禁じえない、ていうか、少女の妊娠・出産に対してアメリカと日本の考え方と環境が違うだけ?
妊娠を罪悪みたいに受け取らず、赤ちゃんを欲しがってる人にプレゼントしよう!と、まるでボランティアな善行、慈善をしているようなジュノ。前向きというか、お気楽というか。まるで献血のような気軽さ?赤ちゃんください!なタウンページの広告とか、ペットと同じ感覚。ああ、人間の生命って、ここまで軽くなちゃってるんだなあ、と返って私は重い気持ちになってしまいました。シニカルなユーモアとして笑うべきなんだけど、笑えない。
ティーンエイジ妊娠そのものよりも、この映画はジュノという女の子の独特なキャラが、最大の魅力、テーマになっているのではないでしょうか。妊娠してもウジウジメソメソまったく泣き言なんて口にせず、周囲の大人たちも自分のペースに従えて、テキパキことを進め、世間の目などどこ吹く風で堂々と腹ボテ姿で闊歩するジュノ。見た目も言動も、ほとんど大阪のオバチャンっぽくて笑えます。自分のことは自分でケリをつける!自分や他人を責めたりするヒマがあったら、そのエネルギーを問題解決のために注ぐ!自分の信じる道を自分らしく進む!なジュノの姿は、少女とは思えぬカッコよさで感嘆。アメリカ女性の、したたかなまでな楽観主義って憧れます。
それにしても。望まない妊娠をした少女の大部分は、ジュノみたいに強くも前向きでもなく、ジュノの家族や友人のように、世間は寛容で温かい理解や協力で支えてくれず、赤ちゃんをトイレでこっそり産んで棄てて殺す、なんて悲劇のほうが起こりやすいのが現実ですよねえ。かといって、ジュノのように里子に出すために、みんなで団結して応援しよう!なんて奨励するのも、ちょっと...子供を産むって、やっぱもっと重大でデリケートなことと見なしたいです。
自分を孕ませた男の子に、何も求めないジュノもスゴいけど、それをよいことに何もしない男の子もスゴいと思った。冷たくはないけど他人事みたいで、責任感とかいたわりとか、少しは示せよ!とムカつきました。フツーなら、修羅場ですよねえ。精神年齢、ジュノが大人すぎて男の子は子供すぎ。女に比べて、男ってホント楽な生き物です。
オスカー候補にもなった、エレン・ペイジの快演が小気味よいです。ちょっと市原悦子に似てる?
ジュノのボーイフレンドも、はじめはイケてない子やなあ、だったけど、見慣れると石黒英雄をイモくした感じの顔に見えてきて、まあまあ可愛かったです。
「JUNO/ジュノ」
今年のアカデミー賞で、作品賞や主演女優賞にノミネートされ、脚本賞を受賞し注目を浴びた話題作。
16歳の女子高生ジュノは、ボーイフレンドとの一回かぎりのエッチで妊娠。赤ちゃんを産んで養子に出そうと決意するが...
未成年の少女の妊娠!なんて、何だか衝撃的で深刻な問題に聞こえます。実際、憂慮すべき事態であることのほうが多いのですが、この映画はビックリするほどアッケラカンとしていて、そんなノーテンキでいいのかなあ、と保守的な私などは首を傾げてしまう内容なのですが...杉田かおるの妊娠で大騒動になった金八先生の時代を考えると、ほんと隔世の念を禁じえない、ていうか、少女の妊娠・出産に対してアメリカと日本の考え方と環境が違うだけ?
妊娠を罪悪みたいに受け取らず、赤ちゃんを欲しがってる人にプレゼントしよう!と、まるでボランティアな善行、慈善をしているようなジュノ。前向きというか、お気楽というか。まるで献血のような気軽さ?赤ちゃんください!なタウンページの広告とか、ペットと同じ感覚。ああ、人間の生命って、ここまで軽くなちゃってるんだなあ、と返って私は重い気持ちになってしまいました。シニカルなユーモアとして笑うべきなんだけど、笑えない。
ティーンエイジ妊娠そのものよりも、この映画はジュノという女の子の独特なキャラが、最大の魅力、テーマになっているのではないでしょうか。妊娠してもウジウジメソメソまったく泣き言なんて口にせず、周囲の大人たちも自分のペースに従えて、テキパキことを進め、世間の目などどこ吹く風で堂々と腹ボテ姿で闊歩するジュノ。見た目も言動も、ほとんど大阪のオバチャンっぽくて笑えます。自分のことは自分でケリをつける!自分や他人を責めたりするヒマがあったら、そのエネルギーを問題解決のために注ぐ!自分の信じる道を自分らしく進む!なジュノの姿は、少女とは思えぬカッコよさで感嘆。アメリカ女性の、したたかなまでな楽観主義って憧れます。
それにしても。望まない妊娠をした少女の大部分は、ジュノみたいに強くも前向きでもなく、ジュノの家族や友人のように、世間は寛容で温かい理解や協力で支えてくれず、赤ちゃんをトイレでこっそり産んで棄てて殺す、なんて悲劇のほうが起こりやすいのが現実ですよねえ。かといって、ジュノのように里子に出すために、みんなで団結して応援しよう!なんて奨励するのも、ちょっと...子供を産むって、やっぱもっと重大でデリケートなことと見なしたいです。
自分を孕ませた男の子に、何も求めないジュノもスゴいけど、それをよいことに何もしない男の子もスゴいと思った。冷たくはないけど他人事みたいで、責任感とかいたわりとか、少しは示せよ!とムカつきました。フツーなら、修羅場ですよねえ。精神年齢、ジュノが大人すぎて男の子は子供すぎ。女に比べて、男ってホント楽な生き物です。
オスカー候補にもなった、エレン・ペイジの快演が小気味よいです。ちょっと市原悦子に似てる?
ジュノのボーイフレンドも、はじめはイケてない子やなあ、だったけど、見慣れると石黒英雄をイモくした感じの顔に見えてきて、まあまあ可愛かったです。