「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」
謎の小説家オスカル・ブラックの世界的ベストセラー小説「デュダリス」シリーズ最新刊の翻訳のため、9人の翻訳家がフランスの田舎にある豪邸に集められる。出版社の社長アングストロームは、小説の流出を防ぐために地下に9人を軟禁状態にし翻訳作業を行わせるが、彼とオスカル・ブラック以外には門外不出の原稿がネットに流出、その直後に脅迫メールが届いて…
世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズの最新刊の翻訳が、一か所に各国の翻訳家を集めて厳戒態勢のもとで行われた、という実話にインスパイアされて創作された映画だとか。いくら何でもあんな非道でカオスことが行われたはずはなく、かなり盛ったフィクションだとは思いますが、甚大な手間とお金をかけて翻訳作業がなされたことは想像にかたくありません。それを補って余りある巨万の富を生むのが、世界的ベストセラーなのですね。昔と比べて本が売れなくなったと言われていますが、今も当たればデカいビックビジネスではあるようです。
軟禁状態とはいえ、高級ホテルのようないたれりつくせりの環境で仕事に励んでた翻訳者たちが、脅迫事件を機に心身とも追い詰められていく様子がサスペンスフルに描かれているのですが、さすがにあんな人権蹂躙に等しい扱いはありえないとしても、小説や映画がファンに届くまでにはいろんな汚くて非情なことが横行しているのでしょうね。それにしても。アングストローム社長のベストセラー出版への執念、妄執が凄まじくて、ほとんどお笑いの域に入ってました。手段選ばず、殺人さえ辞さないクレイジーさが笑えた。翻訳者や秘書など家畜同然なパワハラ&モラハラ、狂気的な支配も非道すぎて笑ってしまった。そんなイカレ社長を演じてるのが、フランスのダンディ俳優ランベール・ウィルソン。
まさに理想の熟年であるムッシュウ・ウィルソン。凶悪で狂悪な役なのですが、そんな風には全然見えないエレガントさ。人もなげな傲慢で冷酷な言動も、スマートで気高いんです。食事をしてる姿なんか、ほとんど貴族。俗悪の極みな役なのに、何でしょうあの高貴さは。ハリウッドスターにはない魅力ですね。フォーマル&カジュアル、どっちのファッションも趣味が高く高級感ハンパないです。フランス語と英語を自在に操る語学力も相変わらずカッコいい。この映画、ランベールおじさま以外の出演者も、演技や個性だけでなく語学に堪能なところがスゴいです。各国から集められた俳優たちが、みんな会話は基本フランス語で、母国語と英語も駆使して熱演してます。
イタリアからはリッカルド・スカマルチョ、スペインからエドゥワルド・ノリエガ、元イケメン俳優二人もすっかりおじさんになりましたが、味のある風貌と演技の熟年俳優に。もっとも目立っていたのは、9人中最年少、イギリスからのアレックス・ロウザー。こないだ主演作の佳作「Departure」を観たばかりだったので、その成長ぶりに驚喜。並みいるキャリアある国際俳優たちに気圧されることなく、彼らを牽引するリーダーのような存在となって、ほとんど主役な活躍ぶりでした。彼、フランス語が得意なのかな?「Departure」同様、流暢なフランス語での演技でした。
成長したとはいえ、顔に無精ひげが生えてるぐらいの変化で、まだまだ少年っぽいロウザーくん。細くて小柄なので、他の出演者に囲まれてると子どもみたいだった。脱力系のイマドキな若者と見せかけて実は…な役をミステリアスかつ可愛く演じてます。賢そうだけど、スカした生意気な若造って感じではなく、憎めない愛嬌がありつつ一歩引いた落ち着きがあるところが好きです。ファッションもロンドンっ子らしくておしゃれでした。意外な彼の正体にも驚かされます。ロシア語翻訳者役のオルガ・キュリレンコとちょっといい感じな関係になるのですが、どう見ても熟女と子どもでほとんど犯罪!違和感ありまくりでした。
謎めいたオスカル・ブラックの正体、そして真犯人と犯行の動機もなかなか意外で、少々破天荒ながらもミスリードやドンデン返しの仕方もトリッキーで、脚本もよくできていたと思います。犯人設定がアガサ・クリスティの某有名作と同じで、劇中でその作品名が言及されていたのも興味深かったです。犯人の犯行計画実行が、まるでスパイのミッションみたいで面白かったです。地下の軟禁仕事場が贅沢で快適そうで、私が翻訳家なら文句言わずに仕事します。それにしても翻訳者たち。社長は翻訳家の分際で!みたいな扱いしたり、彼ら自身も作家になりたかったのにただの翻訳家にしかなれなかった、みたいなコンプレックスを抱いてたりしてたけど、私なんかからしたら翻訳家ってスゴい人たちです。
↑ アレックス・ロウザーくん、イケメンでも美男子でもないけど、優しそうで賢そうで可愛い魅男子です。イギリスの男の子っぽいファッションも好き。TVドラマ版「ハワーズ・エンド」や、豪華キャストの「フレンチ・ディスパッチ」などにも出演してます
謎の小説家オスカル・ブラックの世界的ベストセラー小説「デュダリス」シリーズ最新刊の翻訳のため、9人の翻訳家がフランスの田舎にある豪邸に集められる。出版社の社長アングストロームは、小説の流出を防ぐために地下に9人を軟禁状態にし翻訳作業を行わせるが、彼とオスカル・ブラック以外には門外不出の原稿がネットに流出、その直後に脅迫メールが届いて…
世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズの最新刊の翻訳が、一か所に各国の翻訳家を集めて厳戒態勢のもとで行われた、という実話にインスパイアされて創作された映画だとか。いくら何でもあんな非道でカオスことが行われたはずはなく、かなり盛ったフィクションだとは思いますが、甚大な手間とお金をかけて翻訳作業がなされたことは想像にかたくありません。それを補って余りある巨万の富を生むのが、世界的ベストセラーなのですね。昔と比べて本が売れなくなったと言われていますが、今も当たればデカいビックビジネスではあるようです。
軟禁状態とはいえ、高級ホテルのようないたれりつくせりの環境で仕事に励んでた翻訳者たちが、脅迫事件を機に心身とも追い詰められていく様子がサスペンスフルに描かれているのですが、さすがにあんな人権蹂躙に等しい扱いはありえないとしても、小説や映画がファンに届くまでにはいろんな汚くて非情なことが横行しているのでしょうね。それにしても。アングストローム社長のベストセラー出版への執念、妄執が凄まじくて、ほとんどお笑いの域に入ってました。手段選ばず、殺人さえ辞さないクレイジーさが笑えた。翻訳者や秘書など家畜同然なパワハラ&モラハラ、狂気的な支配も非道すぎて笑ってしまった。そんなイカレ社長を演じてるのが、フランスのダンディ俳優ランベール・ウィルソン。
まさに理想の熟年であるムッシュウ・ウィルソン。凶悪で狂悪な役なのですが、そんな風には全然見えないエレガントさ。人もなげな傲慢で冷酷な言動も、スマートで気高いんです。食事をしてる姿なんか、ほとんど貴族。俗悪の極みな役なのに、何でしょうあの高貴さは。ハリウッドスターにはない魅力ですね。フォーマル&カジュアル、どっちのファッションも趣味が高く高級感ハンパないです。フランス語と英語を自在に操る語学力も相変わらずカッコいい。この映画、ランベールおじさま以外の出演者も、演技や個性だけでなく語学に堪能なところがスゴいです。各国から集められた俳優たちが、みんな会話は基本フランス語で、母国語と英語も駆使して熱演してます。
イタリアからはリッカルド・スカマルチョ、スペインからエドゥワルド・ノリエガ、元イケメン俳優二人もすっかりおじさんになりましたが、味のある風貌と演技の熟年俳優に。もっとも目立っていたのは、9人中最年少、イギリスからのアレックス・ロウザー。こないだ主演作の佳作「Departure」を観たばかりだったので、その成長ぶりに驚喜。並みいるキャリアある国際俳優たちに気圧されることなく、彼らを牽引するリーダーのような存在となって、ほとんど主役な活躍ぶりでした。彼、フランス語が得意なのかな?「Departure」同様、流暢なフランス語での演技でした。
成長したとはいえ、顔に無精ひげが生えてるぐらいの変化で、まだまだ少年っぽいロウザーくん。細くて小柄なので、他の出演者に囲まれてると子どもみたいだった。脱力系のイマドキな若者と見せかけて実は…な役をミステリアスかつ可愛く演じてます。賢そうだけど、スカした生意気な若造って感じではなく、憎めない愛嬌がありつつ一歩引いた落ち着きがあるところが好きです。ファッションもロンドンっ子らしくておしゃれでした。意外な彼の正体にも驚かされます。ロシア語翻訳者役のオルガ・キュリレンコとちょっといい感じな関係になるのですが、どう見ても熟女と子どもでほとんど犯罪!違和感ありまくりでした。
謎めいたオスカル・ブラックの正体、そして真犯人と犯行の動機もなかなか意外で、少々破天荒ながらもミスリードやドンデン返しの仕方もトリッキーで、脚本もよくできていたと思います。犯人設定がアガサ・クリスティの某有名作と同じで、劇中でその作品名が言及されていたのも興味深かったです。犯人の犯行計画実行が、まるでスパイのミッションみたいで面白かったです。地下の軟禁仕事場が贅沢で快適そうで、私が翻訳家なら文句言わずに仕事します。それにしても翻訳者たち。社長は翻訳家の分際で!みたいな扱いしたり、彼ら自身も作家になりたかったのにただの翻訳家にしかなれなかった、みたいなコンプレックスを抱いてたりしてたけど、私なんかからしたら翻訳家ってスゴい人たちです。
↑ アレックス・ロウザーくん、イケメンでも美男子でもないけど、優しそうで賢そうで可愛い魅男子です。イギリスの男の子っぽいファッションも好き。TVドラマ版「ハワーズ・エンド」や、豪華キャストの「フレンチ・ディスパッチ」などにも出演してます