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山下耕作監督『博奕打ち外伝』

2012-05-03 05:38:00 | ノンジャンル
 山下耕作監督の'72年作品『博奕打ち外伝』をWOWOWで見ました。
 船頭たちを仕切る江川組が船の上で賭場を開くことに因縁をつけ、ケンカを始める地場のやくざ大室組。「北九州 若松」「明治後期」の字幕。警官も船頭たちの迫力に負けて、賭場から追い出されます。「この頃、町はまだ若く―」の字幕。大勢が見物する中、1対1の刀によるケンカが終わるのを待って、まかり出る医者(金子信雄)。「そして、この若い町に集まった人々もまた若かった」の字幕。タイトル。
 江川組の組長・江川(鶴田浩二)が子分と将棋をしていると、そこに現れた芸者の秀子(浜木綿子)はあっさりと江川を負かします。江川の元へ大室組の片目の代貸・滝(松方弘樹)がやって来て、江川の弟・政(伊吹吾郎)を誘拐したので、江川に一人で貰い受けに来るように言います。手下に銃で待ち伏せさせる滝。そこへ大室(若山富三郎)が出所して来て、滝のやり口に怒り、自分が江川に会いに行きます。決闘しようとする二人の間に、二人から盃を貰っている花井(高倉健)が現れ、仲を取りなし、船の上で賭場を開いていた政を自分に当分預からせくれと江川に言います。酒宴で秀子に再会し、好きになったと言われる江川。
 「直方」の字幕。還暦を迎えた浦田親分は、それまで自分が務めてきた九州の親分衆の集まり・睦合会の二代目に大室を指名しますが、それを聞いた大室と花井は複雑な表情です。これまでの貢献ぶりから花井が指名されるべきだと浦田に翻意を促す親分衆と、大室でいいという親分衆が口論となります。江川は大室では筋が通らないと大室の元を訪ねますが、大室の妻から花井が浦田の実の子であり、そのことで浦田は花井に継がせることを断念したことを教えられます。旅立つ花井を船で送る江川に、花井は大室とはケンカしないでくれと頼みます。
 江川の子分に将棋のケイコをつける秀子。滝は江川組の船頭から川の通行料を徴収し始め、滝の子分が船頭たちとのケンカで怪我をすると、江川にその落とし前として船上での賭場の禁止と300円の金を要求しますが、江川はそっくりその要求を飲みます。大室の座敷に呼ばれた秀子は滝に自分の女になれと言われますが、自分は江川に惚れてると言って座敷から川へ飛び込みます。滝の子分が秀子を誘拐しようとすると、5年の間留守にしていた江川の弟・鉄(菅原文太)が現れ、秀子を助けます。
 滝のひどい仕打ちを訴え出る船頭たちの話を聞いていた鉄は、江川が滝に金を払うために家を抵当に入れたことを知って逆上し、一人で殴り込みをかけ、滝の元から金を取り戻しますが、戻ってきた鉄を江川は殴り、自ら大室の元へ行って指を詰めるのでした。後悔する鉄と慰める政が屋台から帰ろうとすると、滝の手下が雨の中彼らを襲い、手を出すなという鉄との約束に従った政は、鉄とともに死にます。二人の墓に江川が参っていると花井が現れ、自分と交わした盃を割ってくれと江川が言うと、花井はその場で切腹します。それを端で見ていた浦田は頭を丸め、指を詰めます。
 浦田は大室を訪ね、花井が自分の息子であることを明かし、睦合会は自分一代限りにすると言います。帰路の浦田を殺す滝。それを聞いた大室はとんでもないことをしてくれたと言って滝を殺そうとしますが、滝は大室のための命なので殺されても本望だと言い、大室は滝を殺せなくなってしまいます。
 浦田の死を知った江川は、花井の葬式を子分に頼み、秀子が止めるのも聞かず、一人斬り込みに向かいます。浦田を殺したのは自分だと言う大室に迫る花井を、ふすまの陰から斬ろうとして逆に殺される滝。大室は花井と1対1の勝負をすることにし、花井に殺されます。そして、怪我を負いながら歩き去る江川の姿で映画は終わります。

 この映画も『博奕打ち 流れ者』と同じく、任侠映画というよりも人情映画と言ったストーリーで、藤純子が出ていない分だけ女性の魅力にも欠け、沈んだ色調の画面とともに、爽快感をまったく感じさせない映画でした。山下監督も、あまり乗れずに撮った映画だったのではないでしょうか?

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/