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安田好弘『死刑事件へのスーパー・デュープロセスの確立を』その1

2012-12-05 05:20:00 | ノンジャンル
 今日はロバート.オルドリッチの30回忌の命日です。改めてご冥福をお祈り申し上げます。

 さて、先日「死刑廃止国際条約の批准を求める“FORUM90”地球が決めた死刑廃止」から、新たな発行物“VOL.126”が送られてきて、その中に弁護士・安田好弘さんによる「死刑事件へのスーパー・デュープロセスの確立を」という文章が掲載されていました。とても考えさせられる文章だったので、一部、引用させていただきたいと思います。
 「9月27日に2人の死刑が執行されました。一人は江藤幸子さん(仙台拘置支所)、もう一人のかたは松田幸則さん(福岡拘置所)です。
 江藤さんの事件では、結果としては6人の方が亡くなった。最初の2人は検察は殺意を認定できず傷害致死で起訴し、あとの4人は殺人で起訴しています。いわゆる悪魔払いということで、信者の体を太鼓のバチで叩いて、それで被害者が亡くなったということで、殺意をもってやったと検察が起訴し、裁判所も殺意を認め、主犯とされる江藤さんに死刑を宣告したということです。再審弁護人も選任し、再審を準備しておられたのですが、そのことを十分に知りながら、法務大臣は死刑を執行したわけです。
 松田さんは、上告を自ら取り下げて確定した人です。上告取下げの直前に救援連絡センターに反省の気持ちと残された年老いたお母さんに対する思いについて手紙をかいてこられています。最近、共同通信が死刑確定者のアンケート調査をやっていますが、このアンケート調査に執行の直前、回答しています。そこには、私はせめてもの償いとしてドナーとして自分の臓器を捧げたい、それを切に望んでいます、と書いていらっしゃるんです。
 拘置所は、法律になんの規定もないんですけれど、死刑確定者がそういうことをするのは許可しないわけです。死刑執行は絶命してから10分以上そのまま吊るす。そうすると脳死を超えて心臓死、しかも心臓死のあとも吊るす。臓器というのは脳死状態でないと臓器移植はなかなか難しいと言われているんですが、死刑囚の遺体から摘出した臓器は移植の対象にならないということも含めて、そういう死刑囚の人たちの思いを拒否しているんですね。
 私の接触した死刑囚の人も、あの東日本大震災の時に自ら志願して福島原発に行って命をそこで尽くしたいということを実際に拘置所の所長に申し出たんですけれど、それは言下に拒否されています。(中略)
 今回の執行は実は民主党政権になって4回目で、合計9人になります。この執行の中身を見ていますと、本当に異例ずくめです。滝法務大臣は就任して1ヶ月と24日しか経過していないのに執行しています。今までは、記録を検討する時間が必要であるとして、少なくとも就任3ヶ月以上後に、少なくとも2ヶ月経過してから執行をしてきましたが、これをさらに縮めてしまいました。しかも、辞めることを表明する直前に、死刑を執行している。さらに1ヶ月に1回ずつ、2ヶ月連続して執行するという過去になかったことをやっています。(中略)おそらく今年中に4回執行するためには8月と9月両方で執行しておかないと、残りのあと1回が執行できないということだったろうと思います。
 滝法務大臣は法律で決まっているから、あるいは裁判所が死刑判決を出したからこれを無視出来ないというふうに言っています。しかし、法務大臣は死刑執行するだけがその権限ではありません。恩赦を発動する権限を持っているわけです。同時に死刑を執行しないでおくという権限も持ってるわけですし、死刑廃止の法律案を作って国会に上程する権限も有しているわけですから、彼の弁明は全く理由になってないと思うんです。松田さんは上告を取り下げた、つまり三審という3つの裁判所において判決が正しいかどうかのチェックを受けるという裁判を受ける権利そのものを完全に無視されて執行されたわけです。ですから法務大臣は、問題のない人をやったんだと言っていますけれど、実は問題のある人を執行したと言っていいと思います。」(明日へ続きます‥‥)

 →Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto