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清水宏監督『しいのみ学園』その2

2012-12-14 01:04:00 | ノンジャンル
 先日渋谷に『カリフォルニア・ドールズ』を見に行った時、映画の開始時間まで少しあったので、目の前の本屋にぶらりと入って、時間つぶしをしていたら、ギターの8分の1スケールのモデルが1000円で売っていて、思わず買ってしまいました。家に帰って説明文を読むと、フェンダーのテレキャスターのモデルとのことで、何とローリング・ストーンズのキース・リチャードの愛用するギターとのことでした。彼はステージ上で数本のテレキャスターを使い分けていて、1952年製(1953年製という説も)の通称“ミカウバー”は、そのトレードマークともなっている1本なのだそうです。

 さて、昨日の続きです。
 家族同伴で行なったピクニックでしたが、昼食時に1人になってしまっていた鉄夫に気づいたカヨコは、彼の元へ行って一緒に昼食を食べ、“しいのみ学園の歌”を一緒に歌おうと促します。歌おうとしない鉄夫。やがて他の子が皆歌い始め、ついに鉄夫も悲し気な表情のままながらも歌い始めます。喜びを爆発させるカヨコと、その報告を聞いて喜ぶユウドウの両親。
 鉄夫はユウドウに代筆を頼み、自分が歌えるようになったことを父への手紙として書いてもらいます。それを知って喜び、鉄夫を抱きしめたカヨコは、他の子たちにも親への手紙を書かせます。字を書けない子は絵を描き、絵を描けない子は図形を描きます。一心に書く子どもたちの表情と、それぞれの手紙のアップ。
 やがて親からの返事が来ますが、返事の来なかった卓郎が他の子がもらった返事を取り、破り捨てると、カヨコは思わずその子の頬をはたいてしまいます。教師としての自信をなくし、学園を辞めると言うカヨコに、ユウドウの母は疲れているのだと慰めますが、カヨコは妹を連れて学園を去ろうとします。彼女らの前を歩く鉄夫に、どこに行くのとカヨコが聞くと、鉄夫は返事を郵便局まで探しに行くと言います。鉄夫の家は遠いから返事が着くのが遅れているだけだと言って、鉄夫を学園に連れて帰ろうとカヨコはしますが、そこへ卓郎が謝りにやって来、また他の生徒らからも「せんせ~い」と呼ばれ、カヨコは自分が間違っていたことに気づき、学園に戻ります。
 汽車ごっこに加わらず、郵便屋を待つ鉄夫は、仲間に無理矢理汽車ごっこに誘われ、やがて転倒します。いつまでも起き上がらない鉄夫に気づいたカヨコは、彼が高熱を発しているのを発見します。女医が呼んだ院長は、鉄夫が先天性の心臓奇形を持っていて、急性肺炎も起こしていると言い、親にすぐ連絡を取るように言います。うわ言で「返事はまだ?」と言う鉄夫に、カヨコは自分が親代わりに返事を書き、郵便局へ行って、鉄夫宛に手紙を出します。届いた返事をカヨコが読んでやると、鉄夫は返事が来たことを知った直後、死んでしまいます。泣く子供たち。無人の遊具。
 ユウドウが鐘を鳴らすと、子供たちが教室に集まってきます。今日は鉄夫の初七日なので、鉄夫の眠るお寺に向けて手紙を書きましょうと言うカヨコ。子供たちが自分の書いた手紙を朗読すると、カヨコはその思い遣りあふれる内容に泣き出してしまいます。両親に書いた手紙の返事を久男がねだると、父も母もすぐに返事を書いてあげると言い、他の子たちは鉄夫に向けて書いた手紙を出すために、カヨコとともに“しいのみ学園の歌”を歌いながら、ポストへと歩いていき、やがて彼らの姿は道の彼方へと消えていくのでした。

 見事な構図の“ショット”が随所に見られ、ゆるやかに横移動して部屋から部屋へと移動する撮影や、シーンとシーンを結ぶフェイド・イン、フェイド・アウトなど、静かに淡々と物語が語られていく印象を持ちました。構図という意味での“ショット”がある一方、“演出”としての“ショット”も見るべきものが多くあったと思います。これまで清水監督の作品はいくつか見てきましたが、その中ではこの作品が私の中ではベストワンであるように思いました。香川京子さんの代表作でもあると思います。

 →Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto