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ロバート・ロッセン監督『ハスラー』

2012-12-19 07:55:00 | ノンジャンル
 ロバート・ロッセン監督・製作・共同脚本の'61年作品『ハスラー』をWOWOWシネマで見ました。
 街角で車を停め、降りて来た2人は、酒場に向かい、若い方の男・エディ(ポール・ニューマン)は、営業で先月1万7千ドルも売り上げたとバーテンに言います。2人は、賭けビリヤードを始めますが、酒を飲み、酔い始めたエディは、年配の同僚・チャーリーに次々と負けていきます。たまたまスーパーショットを決めたエディが、「今と同じショットをもう一度やってやるから、勝負しろ」とチャーリーに言い、数回失敗して、大金を失った後、まだ諦めずに、最後に残った105ドルを出して勝負を望むと、チャーリーは「酔っ払いからはもう金を取れない」と言って勝負を降りますが、それを見ていたバーテンは「俺が受けてやる」と言い出し、チャーリーが去った後、エディは見事にショットを決めます。車に乗って札束を数える2人の姿に重なって、ジャズの軽快な音楽が流れ出し、タイトルが始まります。
 音楽が止み、タイトルも終わると、朝のビリヤード場に2人が現れます。「静かだ。まるで死体置き場だ」と言うチャーリーに、「俺は生きて出る」と答えるエディ。エディはわざと周りの男たちに聞こえるように「俺は1晩で1万ドル稼ぎに来た」と吹聴します。そばの男に勝負しないかとエディは声をかけますが、男は「自分のキューを持ち歩く奴とは勝負しないが、お前でもファッツには勝てないだろう」と言い、ファッツが必ず毎晩8時にここに現れると教えます。
 その晩、背広姿で胸には花を飾ったファッツ(ジャッキー・グリーソン)が現れます。プレイしていたエディを見て、近付き、「なかなかやるな」と声をかけるファッツ。「お前があのエディ・ファルソンだって? 1ゲーム100ドルからでどうだ?」「あんたは大きく賭けるって聞いたぞ。1ゲーム200から始めよう」「いいだろう」。皆が注目する中、2人の対決が始まります。音楽が鳴り始め、オーバーラップでゲームの進行と拍手と時計が示されていきます。浮かない表情のファッツ。どんどん突くエディの得意げな顔。賭け金はどんどん上がり、やがてファッツの後ろ楯となっているボスのゴードン(ジョージ・C・スコット)がやって来ます。エディは酒を飲み始め、時計は早回りし、朝の8時になります。勝負しながら飲み続けるエディとファッツ。「もう1万1400ドルも稼いだんだ。手を引こう」と言うチャーリーに、「ファッツの方から止めようと言うまでは、止められない。俺は勝負しに来たんだ」と言うエディ。「もう25時間になるぞ」と言うチャーリーに、エディは頭を抱えて「酒をくれ」と言います。やがてファッツは休憩を取って、顔と手を洗い、さっぱりとした顔で現れます。「死んじまうぞ」とチャーリーは必死に止めようとしますが、「金をくれ、俺の金だぞ!」とエディは叫びます。微笑むゴードン。やがてガックリと首を落として座るエディの姿が映し出され、「起きろ、エディ。また負けだ」と言うチャーリーの声が聞こえます。椅子を蹴飛ばし、しわくちゃの金をポケットから出して、まだ勝負を続けようとするエディに、「もう終わりだ」とファッツは言うと、ゴードンに金を渡した後、上着を着て去っていきます。エディはそれを追い、よろめいて倒れ、意識を失ってしまいます‥‥。

 人を騙して金を稼ぐ者(ハスラー)に対して、反旗を翻す主人公という形は、『ボディ&ソウル』や『オール・ザ・キングス・メン』と同じ説話構造でした。軽快なジャズが鳴り出すとギャンブルが始まり、場面がオーバーラップで繋がれていくというのは、翌年のジャック・ドゥミの『天使の入り江』に影響を与えているのでは、と思ったりもしました。また、フェイド・イン、フェイドアウトが多用されて、流れるような印象を与える一方、単純なカット繋ぎで時間の経過を表している部分もあり、叙情に流れないという監督の決意が感じられました。ジャジーな音楽とともに、50年代のハリウッドの暗い雰囲気を濃厚に漂わせた映画でもありました。ポール・ニューマンの代表作の1本だと思います。なお、あらすじの詳細については、私のサイト(Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto))の「Favorite Movies」の「ロバート・ロッセン」のところにアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。

 →Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto