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ティム・バートン監督『PLANET OF THE APES/猿の惑星』

2012-12-07 06:13:00 | ノンジャンル
 蓮實重彦先生がその著書『映画崩壊前夜』の中で紹介されていた、ティム・バートン監督の'01年作品『PLANET OF THE APES/猿の惑星』をWOWOWシネマで見ました。
 2029年、米空軍の宇宙探索基地オベロンの中の動物研究区画において、チンパンジーに宇宙船を操作させる練習をさせていたレオは、発見した大きな磁気嵐の探査のため、自分が訓練しているチンパンジー・ペリクリーズの乗るシャトルを送るよう、上司に命じられますが、ペリクリーズの乗るシャトルは磁気嵐に突っ込んだ後、通信が途絶えてしまいます。“猿なんか当てにならない”と思っていたレオは、上司の命令に叛き、自分だけの決断でシャトルに1人乗り込み、磁気嵐に突入すると、時間を示すメーターが急回転し始め、いきなり目前に現れた惑星に不時着し、シャトルごと池に落ちます。
 何とかシャトルから抜け出し、池の上に浮上すると、そこにはジャングルの中を逃げまどう原始人のような格好をした人々がいて、自分もそこへ加わると、間もなく現れた鎧姿の猿たちに、他の人々とともに捕えられます。その惑星では、猿が支配権を持ち、人間は奴隷として売り買いされていました。奴隷商人に焼き印を入れられる人々。レオは、元老院議員を父に持つ娘で、人間に同情的なアリが現れると、檻の中から彼女を捕え、彼女の耳もとで「助けてくれ」と言い、彼女に買ってもらうことに成功します。レオは自分が宇宙船により他の惑星から来た人間であることを説明し、アリを巻き込んで、他に捕らわれていた人々も檻から出し、一緒に逃げ出します。アリに思いを寄せながら、人間に対する残忍な態度もあって、彼女から拒まれていた将軍のセードは、アリが人間に拉致されたとして、戒厳令を敷き、人間を皆殺しにする許可を元老院から得ます。
 レオは、池に沈んでいたシャトルの中から銃とGPSを手に入れると、自分を救出するために、地上に降り立ったオベロンから電波が送られてきているのを知ります。レオはアリらとともに、そこへ向かいますが、着いた先は、アリら猿人が祖先と敬うセモスの聖地でした。そこにはレオがいたオベロンが砂を被った状態で存在し、レオが電源を入れると、レオが出発した後、チンパンジーらが反乱を起こし、宇宙探索基地を人間から乗っ取った事実が判明します。いつの間にかレオを慕って集まる多くの人間。そこへ大軍を伴って現れるセード。重火器を持たず、電池の存在も知らない猿人たちに立ち向かうため、レオは探索基地にまだ残っていた電力を使って、最後の砲撃を行い、近づいてきていたセードの大軍を蹴散らし、それから後は延々と猿人の軍隊と棒などで武装した人間たちとの白兵戦となります。
 すると、そこへ爆音が轟き、皆一瞬空を見上げると、シャトルが現れて地上に着陸し、中からはペリクリーズが現れます。“セモス様の再来だ”と言ってひれ伏す猿人ら。レオはペリクリーズを連れて基地に入ろうとしますが、ペリクリーズは怯えて、基地の奥に逃げ出します。それを追うレオとセードは戦うこととなり、レオはセードに銃を奪われますが、セードがレオを撃つ直前にスイッチを押して、透明パネルを出現させ、セードを基地内に閉じ込めることに成功します。今後の猿人と人間との共存を誓うアリ。レオは磁気嵐がまた現れたことを知り、それに突入してまた元の時代に戻ろうと、シャトルに乗り込み、アリらと別れます。
 宇宙空間で磁気嵐に飛び込み、再びタイムトラベルをするレオ。目の前に現れた地球に不時着すると、そこはワシントンDCのリンカーン像の前でした。しかしよく見ると、リンカーンの顔は猿人のそれで、背後のパネルには、“我々猿のために、この惑星を救ったセード将軍をここに永遠に祠る”と書かれていました。駆け付けるパトカー、そこから降りて駆け寄る無数の猿の警官たち、それに無数の猿のジャーナリスト。レオは警官らからホールドアップを命じられ、映画はそこで終わります。

 ショット、編集、演出、音楽、これらすべてがストーリーの進行に奉仕している映画で、今まで見たバートン作品の中では一番面白い映画でした。唯一悔やまれるのは120分という長さで、白兵戦の場面など、もっと短くできるのでは、と思いました。ただ隠れた名作ではあることは断言しておきます。

 →Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto