アベノミクスによる繁栄は実現困難
国際通貨基金(IMF)はこのほど発表した報告書の中で、日本は「アベノミクス」によって復興を遂げようとしているが、アベノミクスはパワーを失いつつあり、失敗する可能性が高いと警告した。
日本政府がこのほど発表した一連の統計指標によると、日本経済は成長ペースが鈍化しており、貿易赤字が拡大し、経常収支の黒字が減少し、国の借金は記録を更新し続けている。2013年第4四半期(10-12月)の修正データによると、国内総生産(GDP)は実質で0.2%の増加にとどまり、年率換算では0.7%で、第3四半期(7-9月)の1.1%を下回っただけでなく、第1四半期(1-3月)の4.5%(確定値)も第2四半期(4-6月)の3.6%(改定値)も下回った。
13年の日本の経常収支の黒字は前年比31.5%減少して、3兆3千億円(100円は約0.986ドル)になり、1985年以来で最低となった。13年度 (13年4月-14年3月)の貿易赤字は13兆7500億円に達し、79年度以来の最大の貿易赤字額となった。今年は日経平均株価の値下がり幅が1千ポイ ントを超えた。……このようにマイナスの指標が次々と現れ、日本メディアを含む欧米メディアはアベノミクスの効果に疑問を抱いている。
アベノミクスでは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、改革によって民間投資を喚起する経済成長戦略を主張し、デフレからの脱却と日本の再振興を目指す。だが実際には、日本経済の伸びは主に公共投資、住宅投資、個人消費に現れており、企業の設備投資では建築業とサービス産業に伸びがみられる程度だ。つまり、アベノミクスは国内需要を明らかに喚起したとはいえない、ということだ。
国際収支という点でみると、今年3月の貿易赤字は1兆4500億円に達して、21カ月連続で赤字になった。輸出は増加を続けるが、13年は石油や天然ガス などの燃料の輸入額が7兆円増加し、これが貿易赤字の約60%を占めた。貿易赤字には日本企業の海外移転の加速や製造業の設備投資の不振などが反映されて いる。
物価という角度からみると、日本の昨年第4四半期の消費者物価指数(CPI)の生鮮食品を除いた総合指数は前年同期比1.1%上昇し、政府の金融経済月報も「デフレ」との表現を削除した。だが第一生命経済研究所の試算によると、円安による物価上昇が0.6%を占めるという。
給与や所得をみると、13年のサラリーマンの月収は前年比0.3%低下した一方、上場企業の70%が増収増益を実現し、企業と個人との収益・収入の差が目 立ち、消費税率引き上げの条件は成立せず、引き上げのマイナス効果は今後の経済運営を直接に制約することが予想される。日本の民間の経済学者41人を取材 したところ、39人が、消費税率が引き上げられ、14年の経済成長率は13年を下回るとの見込みを示した。
楽観を許さないのは、13年末現在、日本の債務発行残高が1017兆円に達して、過去最高の水準に達したことだ。うち国債は 849兆8千億円に上り、14年度末には1143兆円に達することが予測される。国内の貯蓄の減少にともない、日本の国債消化力は弱まっており、長期金利 の上昇リスクも増大を続ける。アベノミクスは財政金融政策の拡大や円安によって経済を活性化させ、再び繁栄を取り戻そうとしているが、その効力は大幅に減 退してしまったといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年5月13日