日本の安保政策は本当に平和のためなのか?
日本の安倍晋三首相は12日、通常国会で施政方針演説を行った。日本メディアによると安倍氏は集団的自衛権の行使容認、憲法改正といった重大な議論を呼 ぶ問題を避けるか、曖昧にし、「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能にする安保法制の整備を進めていく」とのみ表明した。(文:華益声・国際問題専門 家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
口先ではいくらか避けたものの、実際の行動では安倍氏はすでに手ぐすねを引いており、今期国会中に集団的自衛権の行使容認に関係する安全保障法案の審議を進めるつもりだ。これは安倍氏にとって日本の国家安全保障政策を変えるさらなるステップとなる。
安倍氏は早くも第1次政権時に、いわゆる「安全保障強化」の試みを行った。「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」を設け、国家安保政策に対する首相 官邸の「指揮」を強化したほか、「国家安全保障会議」の設置を計画したことなどだ。同政権は「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇 談)も設置して、平和憲法の下で行使できない集団的自衛権を研究する。
病気で辞任したため、安倍氏の多くのもくろみは第1次政権時には実行できなかった。だが首相に返り咲くと直ちに勢いを盛り返し、「安保法制懇」の再始 動、「国家安全保障会議」の設置、「武器輸出三原則」の見直し、閣議決定による集団的自衛権の行使容認を行った。安倍氏はまた、慣例を破って防衛計画の大 綱と中期防衛力整備計画を前倒しで改定したうえ、日本初の国家安全保障戦略を定めた。
こうした行動はいずれも、「積極的平和主義」を名目とした。現政権のロジックによると、第2次大戦後の日本に対する非軍事化改造は「消極的平和主義」で あり、日本の軍備抑制はアジアの緊張緩和の助けにならなかったということになる。このため安倍氏は「積極的平和主義」の推進に転じて、「世界平和に一層の 貢献をする」必要があると表向き称している。
日本は東南アジア諸国に対する戦後の政府開発援助(ODA)および日本の参加した国連平和維持活動(PKO)を繰り返し強調することで、平和的イメージを確立することを望んでいる。だが、日本の主張する平和を目標とする安全保障は検証に耐えられない。
「安保法制懇」は集団的自衛権の研究時に、国連平和維持活動において他国の部隊を救援、支援できるか否か以外に、日本近海で攻撃を受けた米国艦船を共同 防衛できるか否かなども取り上げた。日本の安全保障の重要な目標の1つが同盟国との協力強化であることは明らかだ。安倍政権は国内で安保関連法の改正を推 し進めると同時に、米国と共に「日米防衛協力指針」の改定を行った。米側の支持の下、集団的自衛権の行使容認も指針に盛り込まれた。指針改定では自衛隊の 活動範囲と任務も大幅に拡大した。事実上、自衛隊の機能はすでに重大な転換を迎えている。日本は「専守防衛」から米軍と共同の対外干渉へと転換する。そし てその全てが本当に平和のためなのか否かは、線引きが難しい。
平和の口実の下に覆い隠されているものには、「普通の国」化という安倍氏の企てもある。安倍氏は施政方針演説で言葉を曖昧にし、「憲法改正に向けた国民 的議論を深める」と述べた。だが安倍氏はすでに国民投票の選択肢を示し、来年の参院選後に実施するとのタイムテーブルまで定めている。様々な兆しが示すよ うに、安倍氏は戦後平和体制からの脱却という意図を日増しに明確にしている。
また、日本が歴史修正主義を公然と推し進め、中韓など戦争被害国との摩擦をつくることは、なおさらに平和と安定にマイナスだ。もし日本が本当に平和を目 標としているのなら、歴史を反省することと比べて、いわゆる「あらゆる事態に対応」することが決して根本的な平和実現の道ではないことを知っているはず だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年2月13日