2023年8月30日(水)
性加害 50年代から
拒めば不利 子どもたちの心理につけ込む
ジャニーズ事務所隠蔽
特別チーム 被害者救済・社長辞任求める
ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川前社長による性加害問題を受けて事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」は29日、東京都内で記者会見し、調査報告書を公表しました。報告書は、ジャニー氏が1950年代から2010年代半ばまで多数のジャニーズJr.などに性加害をしていたと認定。事務所が調査などの適切な対応を怠ったと指摘し、現代表取締役社長の藤島ジュリー景子氏の辞任や、再発防止のため被害者への謝罪や救済、人権方針の策定などを求めました。
報告書はジャニー氏の性嗜好(しこう)異常に加え、同氏がプロデュースの絶対的権限を持つという権力構造があったと指摘。会見で精神科医の飛鳥井望氏は「拒めば不利になるという子どもたちの心理につけ込んだもの」と指摘しました。
また報告書は姉で経営を担ったメリー喜多川氏(故人)が遅くとも60年代前半には問題を把握しながら放置し、徹底的な隠蔽(いんぺい)を図ったと認定しました。
チーム座長の林真琴弁護士(前検事総長)が会見で再発防止策について説明。「事務所は組織として性加害を認め、真摯(しんし)に謝罪することが不可欠だ。速やかに被害者と対話を開始し、救済に乗り出すべきだ」と強調。具体的な防止策として▽被害回復のための補償をする救済措置制度の構築▽人権方針の策定と実施▽内部監査室の設置や内部通報制度の活性化―などを提言しています。
被害拡大の背景として同族経営の弊害に言及し、事務所は加害の疑惑を認識しながら積極的な調査をせず被害を放置し隠蔽していたと指摘。「(現状の)経営のトップのままでは事務所の再出発は極めて困難である」とし、ジュリー氏の辞任を求めました。
質疑応答で林氏は被害拡大の背景に「メディアの沈黙が関係していると思われる」と強調。事務所とメディアとの相互監視、相互牽制(けんせい)により人権侵害の防止に努めるべきだと語りました。
調査では元Jr.など被害者23人と事務所関係者ら18人に聴取しました。