オスプレイ墜落
構造的欠陥機は撤去しかない
米軍横田基地(東京都)に所属する米空軍の特殊作戦機CV22オスプレイが29日、屋久島(鹿児島県)沖に墜落しました。捜索が続いていますが、乗組員8人のうち1人の死亡が確認されています(30日午後5時現在)。事故当時の現場周辺の天候は穏やかだったとされます。複数の目撃証言によると、事故機は両翼にある二つのエンジンのうち一つから火が噴き出し墜落しており、機械的な不具合が原因である可能性があります。危険な事故を繰り返すオスプレイは国内から全面撤去すべきです。
実戦訓練の可能性も
事故機は、米軍岩国基地(山口県)を出発し米軍嘉手納基地(沖縄県)に向かう途中、「屋久島沖で定期的な訓練を行っていた」(米空軍特殊作戦軍の報道発表)とされます。CV22は、敵地で破壊活動や要人殺害、空爆の誘導などを実行する特殊部隊を潜入・脱出させることを任務にしています。「定期的な訓練」と言っても、敵のレーダーに捕捉されないような超低空飛行など実戦的な訓練をしていた可能性もあります。
オスプレイはこれまで、特有の欠陥が指摘されてきました。
CV22は昨年8月、エンジンとプロペラをつなぐクラッチが一時的に外れ、再びつながる時に衝撃が発生する「ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)」が立て続けに起きているとして、全機が飛行を停止しました。同年9月に飛行を再開したものの、今年2月にはCV22をはじめ海兵隊のMV22や海軍のCMV22についても、HCEの発生を予防するためとして関連部品の交換を始めました。7月には、米カリフォルニア州で昨年6月に発生したMV22の墜落事故についてHCEが原因だったとする米軍の調査報告書が公表されました。しかし、同報告書は「HCEの根本的な原因は不明なまま」だとしています。
オスプレイには、何らかの理由でエンジンが停止した場合、機体の落下によって生まれる風圧でプロペラを回し緊急着陸する「オートローテーション(自動回転)」の機能が欠如しているという問題もあります。
今回の屋久島沖の事故がHCEなどと関係しているのか、別の問題なのかは不明ですが、構造上の欠陥が残されていることは間違いありません。
CV22は、国内では横田基地に6機(事故機含む)が配備されています。同機の部隊を傘下に置く特殊作戦航空団の拠点である嘉手納基地にも頻繁に飛来しています。訓練場所は北海道から沖縄まで全国に及び、米軍三沢基地(青森県)に隣接する小川原湖での低空飛行訓練などが問題になっています。機体のトラブルもしばしばで、これまで奄美(鹿児島)、山形、仙台、南紀白浜(和歌山県)といった民間空港にも緊急着陸しています。
日本には44機が配備
構造的欠陥を持った危険な航空機が日本の空を飛び回っているのは異常というほかありません。国内には、CV22のほか、同機と基本構造が同じMV22が米軍普天間基地(沖縄県)に24機、陸上自衛隊のV22が木更津駐屯地(千葉県)に14機配備されています。
米軍オスプレイと自衛隊オスプレイの飛行停止はもちろん、全面撤去を求める世論と運動を大きくする必要があります。