4月18日からの全国公開に合わせて(か?)
読売の映画評(オールザットシネマ)に、写真入で大きく載っていました。
「ミルク 同性愛者 社会との闘い 2009.4.10読売新聞 米国で、同性愛者であることを公表して公職についた初めての人物、ハーヴィー・ミルクを、気骨の名優、ショーン・ペンが演じる。 変革の波と保守的な価値観がせめぎあう1970年代初頭のニューヨークで、40歳にならんとしていたミルクは、20歳年下のスコット(ジェームズ・フランコ)と恋に落ちる。同性愛者への差別が公然とまかり通っていた時代。スコットと共に移り住んだサンフランシスコで、ミルクは政治で社会を変えようと決意。同性愛者はじめ社会的弱者の連帯を力に、78年には市政執行委員に就任。社会に風穴をあけていく。 同性愛を描き、政治を描く。気軽には楽しめないのでは、と思うかもしれないが、臆することはない。「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」「エレファント」のガス・ヴァン・サント監督は、静かな情熱と精緻(せいち)な仕掛けで、ミルクという魅力的な人物の愛と闘いの日々の渦中へと見る者をするりと引き込む。 物語はスコットとの恋の始まりから動き出す。ひっそり生きてきた、もう若くもないゲイの男がなぜ前へ踏み出せたのか、二人のきずなを見れば一目瞭然(りょうぜん)。堂々と愛し愛されて生きたいという思いが、理解できない人はいないだろう。 そして、ミルクの政治的闘いが描かれていくのだが、特筆すべきは、現実と虚構の巧みなブレンドだ。 撮影は全編、サンフランシスコで行われ、ミルクの拠点だった一画については、かつての様子を丹念に再現。ミルクゆかりの実在の人物も登場する。そんな中俳優たちが自然に演じるドラマを、監督は観察するように映し出す。まるで優れたドキュメンタリーのように。 そこに時折、ゲイへの抑圧や、それに対する抗議活動などを鮮烈にとらえた往時のニュース映像が交じる。劇的な記録映像と、ドラマ部分の現実感がすっとつながり、ミルクの物語が時空を超えて続いているような感覚が生まれる。そして、今や手あかのついたお題目のようになってしまった自由や権利、変革の真価が胸に迫ってくる。 ただの偉人伝ではなく、見る者たちを覚醒(かくせい)させる映画だ。 チャーミングなミルクになりきったペン、ミルクに愛憎入り交じった感情を抱く同僚委員役のジョシュ・ブローリンの演技も必見と言いたくなる素晴らしさだ。渋谷・シネマライズほか。2時間8分。(恩田泰子) (2009年4月10日 読売新聞) |
映画『ミルク』日本での上映が決定(2009年3月31日 エキサイトニュース)
映画『ミルク』オフィシャルサイト
名古屋では、109シネマズ名古屋で上映。
公開されたらぜひ見にいきたいと思っているのですが、
「京都シネマ」では、ミニレクチャーを企画。
4/19(日)には、岡野八代さんの話もあります。
『MILK』公開を記念して連続ミニレクチャーを下記日程で企画いたします。
・4/19(日)15:20の回上映前
岡野八代氏(立命館大学法学部教授)
テーマ「ミルクの政治的インパクト」
・4/25(土)12:50の回上映前
中川成美氏(立命館大学文学部教授)
テーマ「アメリカ史の中のマイノリティ」
・5/2(土)
鬼塚哲郎氏(京産大文化学部ラテンアメリカ文化専攻教授)
山田創平氏(京都精華大人文学部都市社会学講師)
テーマ「対談・ゲイコミュニティ古今東西」
・「ミルク」
4/19(日)4/25(土)5/2(土)
「京都シネマ」は四条烏丸にあり、偶然ですが、先日このビルの地下で、
ラーメンを食べました(笑)。
角を曲がると「田中長奈良漬店」もあります。
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ドキュメンタリー映画「ハーヴェイ・ミルク」も、劇場公開されます。
「伝説のゲイ活動家奇跡追う 映画「ミルク」監督に聞く」 朝日新聞 2009年4月13日 同性愛者であることを公表し、米国で初めて公職選挙に当選したハーヴィー・ミルク。48歳で凶弾に倒れた伝説の活動家の足跡を追った映画「ミルク」が18日から公開される。監督は「エレファント」のガス・ヴァン・サント。自らもゲイだと公表している監督は、「70年代のゲイコミュニティーの熱気を再現したかった」と語る。 米サンフランシスコのカストロ通り。今やゲイタウンとして知られるこの街に、ミルクが移住したのは72年。恋人の青年とカメラ屋を開き、自由な日々を満喫していた。 だが、保守的な旧住民は新参者のヒッピーや同性愛者を快く思わなかった。差別や摩擦が激化し、ミルクはゲイの権利を求めて政治に深くかかわっていく。 4度の選挙戦の末、市政執行委員に当選。障害者や有色人種など様々な「少数者」とも連帯し、差別と戦う。映画は、78年に保守派の同僚委員に射殺されるまでの彼の8年間の軌跡を描く。 「政治家がたまたまゲイだったのではない。彼は時代の体現者、 ゲイコミュニティーが生んだ“作品”だと思う。だから、彼の足跡とともに、時代の空気の再現にも力をいれた」 監督がミルクの存在を知ったのは彼の死後。ドキュメンタリー映画「ハーヴェイ・ミルク」(84年)に感銘を受け、10年以上前から伝記映画を撮る機会を探っていた。 主演はショーン・ペン、と当初から考えていた。「男臭くきまじめなショーンと陽気なミルクは対極の存在。大きな賭けだったが、 見事にやってのけてくれた」 ミルクを支えた草の根の熱気は、「チェンジ!」の大合唱が響いたオバマ大統領の選挙戦を連想させる。 「撮影はオバマが候補になる前だから、全く意識していなかった。でも、編集中に現実がどんどん映画と重なってきた。サラ・ペイリンなんて、映画の保守派論客とそっくりで驚いた。実際、オバマとミルクを生んだ背景には共通するものもある。平等や変革、よりよい未来を求める思いが、響きあっているのだと思う」 東京・渋谷のシネマライズなどで公開。生前のミルク本人の姿もとらえた84年のドキュメンタリーも18日から渋谷のアップリンクXでレイトショー上映される。(深津純子) (朝日新聞 2009年4月13日) |
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