昨日の午後、昨年12月の衆院選の「1票の格差」をめぐる訴訟の最高裁判決がありました。
「違憲」判断がでるか、期待して速報をチェックしていたのですが、
最高裁大法廷は「違憲状態だった」との判決を言い渡しました。
高裁では「違憲」の判決が相次ぎ、「違憲・無効」の判決まで出たのですが、
これで最高裁から「選挙結果を容認」のお墨付きが出たようなものです。
おりしも、「違憲状態」の国会は、特定秘密保護法案を成立させようとしています。
新聞各紙の社説では、この最高裁判決を厳しく批判しています。
中日新聞と毎日新聞の社説、判決要旨を紹介します。
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「違憲」判断がでるか、期待して速報をチェックしていたのですが、
最高裁大法廷は「違憲状態だった」との判決を言い渡しました。
高裁では「違憲」の判決が相次ぎ、「違憲・無効」の判決まで出たのですが、
これで最高裁から「選挙結果を容認」のお墨付きが出たようなものです。
おりしも、「違憲状態」の国会は、特定秘密保護法案を成立させようとしています。
新聞各紙の社説では、この最高裁判決を厳しく批判しています。
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【社説】一票の格差 しっかりしろ、最高裁 2013年11月21日 中日新聞 こんな理屈に合わない判決はない。一人別枠方式という“病根”が解消されないのに、最高裁は昨年の衆院選を「違憲状態」とした。一票の格差は続く。「憲法の番人」たりうるだろうか。 一人別枠方式とは、あらかじめ四十七都道府県に一議席ずつ配分する、地方配慮の選挙制度である。これが一票の格差をもらたす原因だと指摘したのは、二〇一一年の最高裁大法廷である。“病根”のありかを具体的に明示したわけだ。 国会は判決から一年八カ月も経過した、昨年の解散間際に規定の削除はした。そして、〇増五減法を決めた。これは目くらましの手法だ。同方式を実質的に温存した制度だからだ。 広島高裁と同高裁岡山支部で戦後初の「違憲・無効」が出たのは、国会のあざとさを見透かし、司法としての権限を堂々と振るった結果だ。札幌高裁なども「最高裁判決の指摘に沿った改正とは質的に異なる」と断じた。 名古屋高裁金沢支部などは「区割りは可能な限り人口に比例してされねばならない」と踏み込んだ判決を出したほどだ。 ところが、今回の最高裁判決は完全に腰が砕けている。「投票価値の平等は、選挙制度を決定する絶対基準でない」と述べた。国会の裁量権を大幅に認め、司法の限界の現実に屈服したわけだ。 一人別枠方式が実質温存されているのに、「人口格差を二倍未満に抑える、見直しが行われた」と評価したのには驚く。 「構造的な問題は解決されていない」と指摘したものの、司法権が「憲法上問題があると判断しても、自ら具体的制度を定められない」と言い訳もしている。 このような判例ができると、国会が司法から黄色のカードを受けても、赤色までは出ることはないと、高をくくる。平然と違反行為を繰り返すだろう。 少しばかりの努力の痕跡を残しておけば、最高裁は退場まで命ずることはない-。そう甘く見て、今後も選挙区割りを形式的に手直しするだけだ。 最大二・四三倍の格差があった総選挙を追認する判決には、強い違和感を持つ。〇増五減でも、約二倍の格差が出るのだ。最高裁判事は国民を見ているのか、それとも国会を見ているのか。 “違憲”の現実をやすやすと許したままの最高裁は、果たして国民の信頼を保てるか、極めて疑問である。 |
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社説:衆院「違憲状態」 怠慢国会もう許されぬ 毎日新聞 2013年11月21日 最大2.43倍だった昨年12月の衆院選の「1票の格差」をめぐる訴訟で、最高裁大法廷が「違憲状態だった」との判決を言い渡した。2009年の衆院選をめぐる判決に続く「違憲状態」の判断だ。 「違憲状態」とは、投票価値が不平等な状態での選挙ではあるが、それを正すにはもう少し時間がかかるので「違憲」としないことを意味する。それでも憲法の求める投票価値の平等が実現しない区割りでの衆院選が、2回続けて行われた事実に変わりはない。また、14人の裁判官のうち3人は「違憲」の判断だった。 ◇最高裁の消極性に疑問 こうした点を踏まえれば、国会や政府は「違憲」にまで踏み込まなかった最高裁の判断を軽くみるべきではない。国会は、抜本的な格差是正につながる選挙制度の改革に、今こそ本気で取り組むべきだ。 最高裁は11年3月、最大格差2.30倍の09年選挙を「違憲状態」とし、47都道府県に1議席ずつを割り振る1人別枠方式が格差の要因だとして、廃止を求めた。 だが、民主党政権下での是正への取り組みは進まなかった。昨年の衆院選は、最高裁が「違憲状態」とした区割りで、1人別枠方式も維持されたまま実施された。 一方、国会は昨年11月、小選挙区の定数を「0増5減」し、1人別枠方式を法律から削除する選挙制度の改革法を成立させた。だが、選挙には間に合わず、改正公職選挙法の成立で区割りが見直され、格差が2倍未満に縮小したのは今年6月だった。しかも、1人別枠方式は事実上温存されており、抜本的な制度の是正とはほど遠い内容だ。 今回の最高裁の判決は、こうした国会の取り組みをどう評価するかが最大の焦点となった。場合によっては、違憲・無効の厳しい判断もあり得たからだ。 最高裁の多数意見は、「0増5減」の法改正について「是正の実現に向けた一定の前進と評価し得る法改正が成立に至っていた」と前向きにとらえた。 また、「1人別枠方式の構造的な問題が解決されているとはいえない」としつつ、「(定数是正)問題への対応や合意の形成にさまざまな困難が伴うことを踏まえ、選挙制度の整備については、漸次的な見直しを重ねて実現していくことも国会の裁量として許容される」と述べた。 結局、是正のための時間に客観的な物差しがあるわけではない。国会の裁量権を広くとらえたことが、「違憲」に踏み込まない要因となった。だが、こうした最高裁の消極的な姿勢は疑問だ。政治への配慮が、国会の怠慢を許すことに明らかにつながっているからだ。 選挙権は、議会制民主主義の下で、主権者である国民がその意思を表明して国政に参加することを保障するものだ。 その意味で、投票価値の平等は、最も重要な国民の基本的人権の一つだ。最高裁もそれゆえ、判決で「憲法は投票価値の平等を要求している」と結論づけている。 一方で、憲法は最高裁に違憲審査権を与えている。最高裁は、主権者である国民の基本的人権に関わることについては、より厳格に憲法秩序を守る方向で審査権を行使するのが筋ではないか。 ◇小選挙区削減の検討を もともと、衆院選をめぐる「1票の格差」訴訟で、1980年代から90年代にかけ、最高裁は「3倍程度」の格差も合憲としていた。 だが、投票権の平等についての有権者の意識が高まる中で、最高裁は2011年「最大格差が2倍未満」とした法律の区割り基準が合理的との考え方を示すに至った。 それゆえ、格差是正の問題でお茶を濁すかのような対応に終始してきた政治に対し、高裁で厳しい判断が相次いでいた。 昨年12月の衆院選をめぐり起こされた「1票の格差」訴訟16件のうち実に14件が「違憲」と判断。うち2件は戦後初の無効判決まで言い渡したのだ。いずれも、11年の最高裁判決を踏まえたものだった。 いくつもの高裁が政治への警告を積み重ねたのに、最高裁が腰を引いた印象はぬぐえない。 一方、国会が、最高裁の判決にあぐらをかくべきでないのは当然だ。最高裁は、格差是正のための選挙制度改革の着実な実行を求めた。 格差是正のためには、都市部の定員を増やす方法があるが、国民の理解は得られまい。そもそも昨秋、自民、公明、民主3党で衆院の定数削減を含む選挙制度の抜本改革で合意したはずだ。だが、議論は全く進んでいないのが現状だ。 小選挙区と比例の双方を削減する案や、比例を大幅に削減する案、小選挙区を減らす案など各党ばらばらだ。最終的には第三者機関に委ねるとしても、丸投げでは話が進まないし、無責任だ。国会で早急に方向性を示すべきだろう。 現行制度を前提とするならば、1票の格差を是正しつつ定数を削減するには、まずは小選挙区の定員削減を検討するのが現実的だ。国会や政府は怠慢を恥じ、すぐにでも動き出すべきだ。 |
【「1票の格差」訴訟】 判決要旨 (2013/11/21 共同通信) 昨年の衆院選を「違憲状態」と判断した20日の最高裁大法廷判決の要旨は次の通り。 【多数意見】 昨年の衆院選は、2011年大法廷判決が「違憲状態」とした09年選挙と同じ区割りで行われた。「1票の格差」は09年より拡大して最大2・43倍に達しており、憲法が求める投票価値の平等に反する状態だった。 大法廷はこれまで、1票の格差について/(1)/定数配分や選挙区割りが、諸事情を総合的に考慮した上で、憲法が求める投票価値の平等に反しているかどうか/(2)/違憲状態の定数配分や区割りの規定が、憲法が求める合理的期間内に是正されたかどうか―などの判断枠組みで審査してきた。 合理的期間内に是正されたかどうかは、期間の長短だけでなく、措置内容や検討を要する事項など諸般の事情を総合考慮し、国会の取り組みが立法裁量権の行使として相当といえるかという観点から評価すべきだ。 格差解消には1人別枠方式を廃止し、多数の選挙区の区割りを改定することが求められた。制度の仕組みの見直しに準じる作業が必要で、国会での合意形成は容易ではなかった。 11年大法廷判決から約1年9カ月後に実施された昨年の選挙は、1人別枠方式を廃止し、定数配分を0増5減する12年の法改正がなされた時点で衆院が解散されたため、09年選挙と同じ区割りで行わざるを得なかった。 しかし、本来の任期満了までに0増5減が行われ、格差を2倍未満とする区割りの改定が実現した。11年大法廷判決を受けて、是正のための立法府の取り組みが行われ、選挙時には一定の前進と評価し得る法改正をしていたといえる。 ただ、0増5減の対象外の都道府県では、1人別枠方式廃止前の区割りに基づく定数が維持されている。人口移動で再び格差2倍以上の選挙区が出現し増加する可能性も高く、1人別枠方式の構造的問題が最終的に解決されたとはいえない。しかし、今回のように段階的な見直しを重ねて選挙制度を整備することも、国会の裁量内の現実的な選択として許される。 以上、司法権と立法権との関係を踏まえ、考慮すべき諸事情に照らすと、是正に向けた国会の取り組みが立法裁量権の行使として相当でなかったとはいえず、憲法上要求される合理的期間を過ぎたとは断じられない。 昨年の選挙時の区割りは、09年選挙時と同様に憲法が求める投票価値の平等に反する状態だったが、合理的期間内に是正されなかったとはいえず、憲法違反ではない。 投票価値の平等は憲法上の要請であり、国会は今後も選挙制度の整備に向けた取り組みを着実に続けていく必要がある。 (共同通信) 【「1票の格差」訴訟】 4裁判官の個別意見はこちら |
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