問題山積の特定秘密保護法案が、
来週にも衆議院で可決するといわれています。
安倍政権は何が何でも通したいのでしよう。
法案は、現時点で可決されていません。
今ならまだ止められる、と、
全国で抗議行動がおこなわれ外国からも批判が起きています。
マスコミやジャーナリストも特定秘密保護法案に反対の意思を明確にしています。
読みごたえがある、中日新聞の社説<3><4><5>と、
北海道新聞の社説、共同通信の記事を紹介します。
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【秘密保護法案】 「世界の潮流に背く」 ツワネ原則に注目集まる(共同通信 2013.11.22)
【秘密保護法案】 声明など(3) 分野超え、反対広まる(共同通信 2013.11.21)
【秘密保護法案、国際基準を逸脱】米政府元高官ハルペリン氏 秘密多いと管理困難に(共同通信 2013.11.23)
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来週にも衆議院で可決するといわれています。
安倍政権は何が何でも通したいのでしよう。
法案は、現時点で可決されていません。
今ならまだ止められる、と、
全国で抗議行動がおこなわれ外国からも批判が起きています。
マスコミやジャーナリストも特定秘密保護法案に反対の意思を明確にしています。
読みごたえがある、中日新聞の社説<3><4><5>と、
北海道新聞の社説、共同通信の記事を紹介します。
【社説】特定秘密保護法案<3> 崖っぷちの「知る権利」 2013年11月20日 中日新聞 国民の「知る権利」と安全保障は、いわば綱引きのような関係である。政府は「秘密にしたい」と言い、国民は「情報を公開してほしい」と願う。調整をどのように図ったらいいのか。 「あらゆる人は、公的機関が保持する情報にアクセスする権利を有しており、その権利を制限する正当性を証明するのは、政府の責務である」 今年六月にできた「ツワネ原則」はそう定めた。安全保障と情報に対する権利の国際原則である。世界七十カ国余りの専門家約五百人で作成した。兵器開発や軍隊の作戦など、限られた範囲での情報制限は認めているが、政府に証明を負わせる点は重要だ。 秘密指定を行政機関の「長」に委ねる特定秘密保護法案と出発点が決定的に異なる。さらにツワネ原則は国際人権法に反する情報など、「何を秘密にしてはならないか」を明確にしている。どこまで秘密に覆われるか不明な日本の法案とは、まるで正反対である。 国家の公衆監視も規制し、裁判所で秘密が公開され、審理できる保障も定めている。ことごとく考え方が逆方向なのだ。国連や米州機構、欧州安保協力機構などのメンバーが加わった最先端の原則から、わざわざ踏み外す法案をなぜ政府はつくるのか。 秘密に対する日本の官僚のおそまつさを示す一例を挙げよう。二〇〇六年と〇八年に当時の「原子力安全・保安院」の審議官クラスらが渡米した。原発への航空機衝突や火災などの場合について、対処法の説明を受けた。 だが、米国側から「秘密だ」と注意された。そのため、保安院側は原子力安全委員会にも、電力会社にも伝えなかった。原発の過酷事故に関する重要情報をせっかく米国から提供されていたのに、全く生かせなかったわけだ。 秘密情報であっても、関係機関内で共有され、活用されなくては何の意味もない。重罰で秘匿化をより強める法案は実用的でないうえ、官僚をさらに束縛する。 逆に官僚は公文書の公開には無関心すぎる。一一年度に保存期間が満了した行政文書のファイル約二百三十万件のうち、廃棄された割合は実に92・5%にものぼる。国立公文書館に移管されたファイルは、たったの0・7%にすぎない。 このうえ秘密の密封度を高める法案とは何事か。国民の「知る権利」は崖っぷちに立っている。 (論説委員・桐山桂一) |
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【社説】特定秘密保護法案<4> 捜査が暴走し始める 2013年11月21日 中日新聞 普通に生活する町のクリーニング業者が、まさかスパイであるはずがない。でも、米軍の機密情報を入手したとして起訴され、有罪判決を受けるという、信じ難い出来事が過去にあった。 米海軍の横須賀基地(神奈川)に所属する軍艦の乗組員を相手に商売をしていただけだ。クリーニング店の支配人は、営業上の必要から、基地に勤務する軍人を料理店でもてなしたりした。そして、基地に出入りする軍艦の入港予定日や時間などを記したペーパーをもらっていた。 これが米海軍の機密にあたるとされた。「不当な方法で、探知し、または収集した」とし、一九五七年に横浜地裁は、懲役八月執行猶予二年の判決を出したのだ。罪名は日米地位協定に伴う刑事特別法違反である。 安全保障条約に基づく法律で、機密漏えいばかりでなく、探知も陰謀、教唆、扇動も処罰する。最高刑は懲役十年である。陰謀は共謀と同じだ。骨格が今回の法案とそっくりなのだ。もてなしも「不当な方法」と認定された。 特定秘密保護法案は防衛や外交、特定有害活動やテロリズムの防止-の四つの分野を対象にしている。しかも、「その他の活動」や「その他の重要な情報」など、「その他」の言葉が、三十六回も散乱する。いかなる解釈もできるよう、官僚が意図して曖昧に書いているのではないだろうか。 社会の幅広い場面で法律が適用される懸念は大きい。しかも、何が秘密であるかも秘密にされる。必然的に、どこまで処罰の範囲が広がっているのか、国民には全く手掛かりがつかめない。 民間人が秘密に近づく事前行為さえ処罰する。「話し合い」は共謀であり、「呼び掛け」は扇動となる。近代刑法は犯罪の実行を要するのに、その前段階で取り締まることが可能なのだ。 刑事裁判の場合も、秘密は公開されないはずだ。「外形立証」という、秘密指定の理由や手続きなどの審理だけで、「実質的に秘密に値する」と認める手法だ。 被告人は内容を知らないまま罪に問われる。無実の証明は困難になるだろう。「裁判の適正手続きを侵害する」などと、刑事法学者らも反対の声をあげている。 捜査当局は新たな“武器”を得るのに等しく、どんな運用をするかもわからない。歯止めのない法律は、やがて暴走し始める。 (論説委員・桐山桂一) |
【社説】特定秘密保護法案<5> 新しい権力が誕生する 2013年11月22日 中日新聞 いわゆる「沖縄密約」は、典型的な秘密外交である。一九七二年に元毎日新聞記者が極秘電信文書を入手し、一端が明らかになった。沖縄返還協定で米軍用地復元補償費四百万ドルを日本側が肩代わりしていた情報である。 実際には氷山の一角にすぎず、日米間の協定額三億二千万ドルのほかに、「秘密枠」があり、一億八千七百万ドルを日本側が上乗せしていた。多額なカネは密約であるがゆえに、国会の承認を得ずに米国側に支払われた。 密約外交は議会制民主主義を完全に無視したわけだ。つまり沖縄密約とは、違法秘密だといえる。同種の情報を封殺できるのが、特定秘密保護法案である。 何が特定秘密かわからない状態では、違法秘密も疑似秘密も判別できない。疑似秘密とは二〇一〇年の「尖閣ビデオ」事件のようなケースだ。実質的な秘密でなくとも、官僚が恣意(しい)的に「秘密」とワッペンを貼るだけで、ブラックボックス化が可能になる。 これらの重要情報を扱うのが、防衛省や外務省、警察庁などである。これらの官僚は、首相官邸と一体化し、新しい権力構造をつくりあげるだろう。戦前の日本が旧内務省と旧陸海軍を中心に動いてきた構図と二重写しである。 戦後日本は経済成長路線を走り、豊かで平和な社会を築き上げてきた。これまでとは異質な官僚制となろう。「軍と治安」が幅を利かせる統治機構である。 自民党幹部が「知る権利が国家や国民の安全に優先する考え方は間違いだ」と発言したように、安全保障を最優先に据えているのだ。だが、政権や官僚組織が暴走しない確約がどこにあるのか。沖縄密約のように、権力は秘密裏に違法行為さえできる。 それをチェックするのに、ジャーナリズムも一翼を担っている。国民の「知る権利」が大事なのは、国家の暴走を食い止めるためなのだ。ドイツでは雑誌社が捜査当局の家宅捜索を受けたことを契機に、昨年三月、「報道の自由強化法」ができた。ジャーナリストは漏えい罪の対象外となったほどだ。 ヨーロッパ人権裁判所の判例を眺めると、今や既存のメディアと同様に、一般市民やNGOも国家が隠す情報を収集する権利があると考えられている。 新しい権力が生まれるなら、それを監視する強靱(きょうじん)な「知る権利」が構築されねばならない。 (論説委員・桐山桂一)=おわり |
社説:廃案にするしか道はない 特定秘密保護法案(11月22日) 北海道新聞 2013.11.22 政府が指定した機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案をめぐる自民、公明両党と日本維新の会、みんなの党との修正協議が合意し、法案は4党の賛成で26日にも衆院通過、今国会で成立の見通しとなった。 修正はわずかで、法案の骨格は全く変わっておらず、政府が恣意(しい)的に秘密の範囲を広げて国民の「知る権利」や報道の自由を侵害する恐れが極めて強い。 安倍晋三政権が外交・安全保障の司令塔と位置づける日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設法案も週明けに参院本会議で採決され、与党と民主党などの賛成多数で可決、成立する見通しだ。 秘密保護法まで成立すれば、国の命運を左右するような重要方針が国民の知らないうちにNSCで秘密裏に決められてしまう恐れがある。 国民主権や基本的人権の尊重という憲法の原則を踏みにじる秘密保護法の成立が、将来に禍根を残すのは間違いない。国民の懸念を真摯(しんし)に受け止め、速やかに廃案にすべきだ。 ■名ばかりの修正決着 維新との修正協議では、原案で定めがなかった特定秘密の指定期間の上限を60年とした。 期間が長すぎる上、7項目にわたる幅広い例外を設けている。政府の判断次第で永久に秘密にしておけることに変わりはない。 また付則で、5年間、特定秘密を保有しない省庁は指定権利を失うとしたが、省庁側が権利を守るため不要な秘密指定をする可能性が高い。しかも、指定の必要が生じた場合は指定機関に復帰もできる。 みんなとの協議では、「首相の第三者機関的観点からの関与を明確にする」として、首相が閣僚に対し、特定秘密の指定や解除を適切に行っているかを監視し、改善を指示できる指揮監督権を明示した。 だが、閣僚を率いる首相が「第三者機関的観点」に立てるはずはなく、数十万件に上るとみられる秘密を首相1人でチェックするのは物理的にも不可能だ。 いずれも修正の名に値しない。 ■国会や司法にも影響 法案は知る権利や報道の自由侵害以外にも多くの重大な欠陥がある。 中でも問題なのは、憲法が保障する国会の国政調査権行使に支障が出かねないことだ。 法案は行政機関の長が国会に特定秘密を提供する場を非公開の秘密会に限定している。しかも「国の安全保障に著しい障害を及ぼす恐れがない」場合に限られ、「及ぼす恐れがある」と判断すれば提供を拒める。 提供するかどうかを決めるのはあくまでも行政の側だ。 議員が秘密を漏らせば最高5年の懲役が科せられるため、特定秘密について党内で議論したり有識者の意見を聞いたりすることもできない。 これでは国権の最高機関という国会の地位を脅かし、行政を監視することが難しくなってしまう。 刑事裁判で、検察側には特定秘密の提供を認める一方、被告や弁護士には認めていないのも問題だ。 ある人が、特定秘密を入手はしなかったものの、漏えいをそそのかしたとして起訴された場合、被告・弁護側は秘密の内容を知らないまま争うことになる。 憲法が保障する刑事裁判の適正手続きや裁判の公開に抵触し、被告の人権が守られない恐れがある。 特定秘密を扱う公務員や民間企業の従業員らに課される適性検査はプライバシーの侵害につながる。 本人の犯罪歴や海外渡航歴、酒癖、借金の有無などが調べられ、家族や同居人にまで調査が及ぶからだ。 こんな欠陥法案を3週間足らずの審議で衆院通過させるなど論外だ。 ■反対の世論なぜ無視 法案に反対する世論は日増しに広がっている。 各種世論調査では反対が賛成を大きく上回り、法曹界、有識者、ジャーナリスト、市民・労働団体なども相次いで批判の声を上げている。 だが4党はこうした世論に聞く耳を持たないようだ。 法案は官僚による情報の独占を許し、中央官庁の権益拡大をもたらす。地方分権推進を掲げる維新の会にとっても、官僚支配打破が旗印のみんなの党にとっても、決して許してはならない法案のはずだ。 安易な妥協で与党に採決の口実を与えるとすれば責任は重大で、与党の補完勢力と言われても仕方がない。野党としての筋を通すべきだ。 かつて自民党はもっと世論に敏感で、党内に多様な意見が存在していた。国会議員の手足を縛る法案に異論が出ないのは、自民党議員が思考停止に陥っているからではないか。 公明党は当初、法案に慎重姿勢だった。「知る権利」などが法案に盛り込まれたことから賛成したが、その後の国会審議では知る権利が脅かされることがはっきりした。 いまの国のかたちを根本から変えてしまう悪法である。衆院採決を前に、4党の議員にはこの法律を本当に成立させていいのか、もう一度真剣に考えてほしい。 |
【秘密保護法案】 「世界の潮流に背く」 ツワネ原則に注目集まる(共同通信 2013.11.22)
【秘密保護法案】 声明など(3) 分野超え、反対広まる(共同通信 2013.11.21)
【秘密保護法案、国際基準を逸脱】米政府元高官ハルペリン氏 秘密多いと管理困難に(共同通信 2013.11.23)
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