みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

〈放り出された障害者 大量解雇の現場から〉(1)(2)(3)/ドウダンツツジの紅葉まっさかり。マユミの紅葉と栴檀の丸い実

2017-11-17 18:37:01 | ほん/新聞/ニュース
秋も深まり、ドウダンツツジの紅葉がまっさかりです。


  




茶色がかったオレンジ色が、
下の道からもよく目立つマユミの紅葉。

紅葉が美しいニシキギの仲間です。

真っ赤なマユミの実(種)。

葉が散っても赤い実が残ります。

日本みつばちの巣箱が置いてある西端に植えた栴檀は、
どんどん大きくなって、今では5メートルほど。

丸い実がびっしりついています。

栴檀の実は鳥は食べも大丈夫ですが、
人や犬が食べると毒性があるそうなので、要注意です。
  

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中日新聞生活面に11月15日から連載している〈放り出された障害者 大量解雇の現場から〉。
障害者政策の就労継続支援A型事業所の問題を
ていねいに分かりやすく書かれているシリーズです。

  〈放り出された障害者 大量解雇の現場から〉(1)
2017年11月15日 中日新聞

突然の破綻 努力欠く経営が表面化 名古屋市や岡山県倉敷市などで、一般企業への就労が難しい障害者が働く「就労継続支援A型事業所」が経営破綻し、働いていた障害者が一斉に解雇される事案が相次いでいる。取材からは、「うまみのあるビジネス」として参入し、経営努力を欠く事業者が一部にいたことがみえてきた。しかし、事業所の閉鎖で一番困ったのは破綻した事業者ではなく、行き場をなくした障害者だ。一連の問題は、どんな課題を浮かび上がらせたのか−。(出口有紀)

給付金の規制 引き金
 「A型が閉鎖され、大勢の障害者が解雇されそうだ」。初めてそう聞いたのは8月7日。名古屋市北区にある、そのA型「パドマ」に向かう。ただし、その時点では「A型って何?」というのが本当のところ。

 障害者向け作業所の組織「きょうされん」愛知支部事務局長の大野健志さん(46)とパドマの近くで待ち合わせた。大野さんに聞くと、A型とは障害者がパン作りなどの仕事をして給料をもらうところ。パドマは同区の民間企業「障がい者支援機構」の運営で、パドマの他、全国5カ所でA型を運営しているという。「6カ所で計160人の障害者が職を失う。早急に行き先をなんとかしないと」。大野さんは固く唇を結ぶ。

 後で調べたことも合わせると、A型は2006年の障害者自立支援法(現障害者総合支援法)でできた制度。事業者と雇用契約を結んだ障害者(利用者)は、事業者が他の企業などから受注した仕事をし、最低賃金(最賃)以上の給料を得る。給料は、1人月平均6万円ほどになるという。B型という事業所もあり、障害がより重い人が通う。雇用契約は結ばず、工賃は平均月1万5千円ほどという。

 A型には利用者1人当たり1日約5千円の給付金があることも、大野さんは教えてくれた。ここで疑問が湧いた。事業収益だけでなく国の支援もあるのに、なぜ会社が傾くのか。

 パドマの実態はまだよく分かっていなかったが、「A型の中には、事業で収益をだす努力をせず給付金頼みのところもあった。それが今春、国が給付金を利用者の給料に充てないよう規制を強めたため、収益がでていない事業所は利用者に給料を払えなくなったんです」と大野さんは言う。1人約5千円の給付金をもらい、時給を1000円とした場合、勤務時間を4時間にすれば、1000円が事業者の手元に残る。利用者が10人いれば1万円…。そういうごまかしができなくなったということか。

 現場に着いた。商店街の表通りを少し入ったところ。長屋のような建物だ。シャッターに「しばらく休みます」との張り紙がある。中では、ハローワーク名古屋中のスタッフが面談会を開いていた。鈴木斉(ひとし)次長は「県内ではかつてない規模の障害者の一斉解雇」と深刻な表情だ。

 翌日、再び訪問すると男性社長がいた。疲れた表情で「今は利用者の対応で忙しいので、後日お話しします」と話した。柔和な物腰で、悪質な事業者にはみえなかった。しかし、「後日」はなかった。約束した日時、社長は現れず、その後も連絡はついていない。

 愛知県や名古屋市が現在把握している範囲では、障がい者支援機構が愛知県内で運営していたパドマと清須市の「スーリヤ」のA型2カ所で行き先のめどがついているのは元利用者計69人のうち41人。残る28人は突然、職を失ったまま。6〜8月の給料も未払いだ。

 パドマで利用者たちに仕事を教えていた元従業員女性(69)は言う。「社長は言い訳をするばかりで、国は仕組みを作って、お金を出しただけ。切り捨てられるのは障害者。今の状況がもどかしいし、悔しい」

 あのとき、もっと強くくぎをさしていたら…。女性は、数年前、満面に笑みを浮かべていた社長を思い出していた。


 〈放り出された障害者 大量解雇の現場から〉(2)
2017年11月16日 中日新聞

給付金頼みの収支構造 運営の実態 本業おざなり 規模拡大
 「こんなにゼロがある。これはぼくの金!」

 8月末に閉鎖された障害者の就労継続支援A型事業所「パドマ」(名古屋市北区)で、利用者に仕事のやり方を教えていた元従業員女性(69)には、忘れられない光景がある。金融機関の通帳を開き、にこにこしていた運営会社「障がい者支援機構」(同)の男性社長。

 新たなA型を立ち上げた直後のことだった。女性は直接、通帳を見てはいないが、国からの給付金などで、口座残高はそれまで見たこともないような数字だったのだろう。のぼせ上がったような表情の社長に「これはみんなの税金。よく頭に入れておいて」。女性はすぐに、くぎを刺した。でも、この声が届いたのかどうかは分からない。

 女性がパドマに就職したのは設立から1年後の2014年。元々、社長は10年来の知人だった。以前、障害者の就労支援機関で働いていた社長の印象は「障害者に丁寧に接し、仕事ぶりも真面目な人」。女性がパドマに入ったのは、社長への信頼があったからだ。しかし、「こんな人だったかな?」と、次第に信頼は揺らいでいった。

 パドマでの仕事は、シール貼りや靴下、帽子の梱包(こんぽう)、住宅材の洗浄などの内職が中心。単価は安く、女性によると「利用者一人に払えるのは時給にして100円くらい」。だが、利用者には最低賃金(最賃)以上の時給を保証しなくてはいけない。国からの給付金は本来、従業員の人件費や光熱費などに充てられ、利用者の技術向上に役立てられる。しかし、利用者の給料を事業収益だけでまかなえるはずはない。

 その状況を改善しようとしないまま、社長は千葉や埼玉、大阪にもA型を開設していった。「まずはパドマをしっかり安定させて、それから次をつくればいい。1、2年待てないの?」。社長をそう諭したこともあったが、このときもやはり女性の声は届かなかった。

 障害者一人につき1日約5千円の給付金に加え、A型には特定求職者雇用開発助成金(特開金)という国からの“ボーナス”がある。就職が難しい重度の障害者を雇うと、一人当たり最長3年間で最大240万円が支給される制度だ。

 パドマには、他のA型にはあまりいない重度の人も多かったと指摘する利用者もいる。3年間働いた男性(62)は「本来は(障害の程度が重い人が通う)B型に行った方がいい人も入れてしまっていた。特開金目当てだったのではないか」と話す。

 今年3月、厚生労働省が地方自治体に、給付金を利用者の給料に充てないよう、A型への指導を強化するよう通達したのをきっかけに、運営の行き詰まりが表面化した。社長は、8月1日に開いたパドマの利用者向け説明会で「給付金で皆さんの給料のほとんどを払っていた」と告白。それができなくなったため、閉鎖すると伝えたという。

 国の通達以降、A型が閉鎖され、利用者が解雇された事例は、他の地域でもある。同一グループがA型を展開していた岡山県倉敷市と高松市では、計約280人が解雇された。札幌市でも解雇された障害者5人と元従業員が、地位確認と慰謝料を求めて事業者を札幌地裁に提訴している。給付金頼みの運営は、パドマだけの問題ではなかった。(出口有紀)


 放り出された障害者 大量解雇の現場から〉(3)  
2017年11月17日 中日新聞

「もうかる」安易な参入 狙われたA型 異業種も加わり急増
 本業のもうけを増やす努力をせずに、国の給付金や助成金で会社を運営する−。名古屋市北区の就労継続支援A型事業所「パドマ」の利用者だった精神障害がある男性(62)にとって、それは以前、市内の別のA型で見たのと同じだった。

 男性は元々、名古屋市内の会社で働いていたが、上司の言動からうつ病になり、53歳で退職。就労支援施設などを経てそのA型に就職した。

 社長に「マッサージの事業をする」と言われ、1日中、机の上にタオルをしいて指圧の練習をした。しかし、にわか事業は計画倒れ。梅干し、らっきょう作りも始めたが「塩辛くて食べられなかった」。

 社長はコンサルタント業も始め、経営者向けの雑誌に広告を載せた。そこには、こんな文句があった。「国の給付金等で(中略)潰(つぶ)れることのない経営」「年間3千万円以上の利益も狙えます」。A型を「もうかる事業」と宣伝していた。

 男性が違和感を募らせたのとは裏腹に、この広告への反応は上々。事業拡大を図る異業種の会社からの問い合わせが相次いだ。来客があると社長は、システムエンジニアや事務経験のある男性を「バリバリやっている障害者」と紹介した。

 こうした手法に疑問を覚え、男性は退社。行政に社長の手法を説明し「やめさせてほしい」と訴えたが、「参考にしたい」と言われただけだった。

 厚生労働省によると、A型は2013年4月に全国約1600カ所だったのが、今年4月には約3600カ所と倍以上に増えた。この背景には、A型を障害者が働く場というよりも、もうけ話と捉えて参入する事業者が多かったという指摘もある。障害者向け作業所の組織「きょうされん」愛知支部事務局長大野健志さん(46)は「利用者は仕事をするのではなく、折り紙をして勤務時間が終わるのを待つだけのところもあった」と話す。

 厚労省が3月、A型への指導強化を地方自治体に通知したのは、こうした実態を受けての措置だった。運営に問題があった事業者は、自治体を通じて「経営改善計画書」を提出し、立て直しを急いでいる。

 ただ、改善する意欲に乏しい経営者もいる。10月末で閉鎖した東海地方のA型で管理者をしていた男性は「運営会社の社長が、計画書の『どのような改善をするか』の欄を埋められなかった」と、閉鎖した理由を説明する。

 男性によると、運営会社は元々、福祉とは無関係のリサイクル業だった。社長がA型を営む同業の知人に「助成金があり、もうかる」と勧められ、3年前に参入した。運営会社からの下請け仕事と内職をしていたが、利用者に最低賃金を払うと赤字。男性が社長に迫っても、改善されなかった。

 それでも続けられたのは「給付金などがあったから。それらがあって初めて成り立っていた」。男性は利用者たちの行き先探しに奔走している。

 「悪(あ)しきA型」が広がった状況での厳格化を、冒頭の男性は心配する。

 「こうなってからA型の首を絞めても、解雇される利用者がつらいだけ。販路開拓のノウハウがない経営者は、給付金に頼らずに給料を払う方法を持っていないのだから」(出口有紀)
※次回は22日に掲載します。


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11月16日(木)のつぶやき

2017-11-17 02:04:45 | 花/美しいもの
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