熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

知財セミナー

2008-10-04 20:57:19 | Weblog
日本弁護士連合会・日本弁理士会主催の知財セミナー「中小企業の知的財産経営 ー研究開発から事業に至る知財の果たす役割ー」を受講してきました。

仮想事例に基づくパネルディスカッションで、大企業の完成品メーカーと中小企業の部品メーカーとの共同出願・共有特許権についての事例です。
よくある話ですが、重要な論点が数多く含まれています。

私も特許教育の事例でときどき使用しますが、完成品のクレームだけ作成した場合は、部品メーカーにとってメリットはありません。

完成品のクレームと部品のクレームの両方を作成しても、共同出願契約で何の特約も設けない場合は、特許法73条2項により特許発明の実施は自由となり、完成品メーカーは完成品を販売できます。

部品メーカーも部品の販売はできますが、他の完成品メーカーが部品を購入して、完成品を製造・販売すると、特許権の共有者である完成品メーカーから侵害訴訟を提起されるので、結局、部品の販売ができなくなります。

これに対して、完成品メーカーは、いわゆる一機関の要件を満たせば、下請け業者に部品を製造させて、この部品を使用することができますので、部品メーカーは、完成品メーカーに部品を販売する機会も奪われることになります。

完成品のクレームは完成品メーカーに帰属し、部品のクレームは部品メーカーに帰属するという特約を設けることも行われていますが、この場合でも部品メーカーの不利益は解消されません。

この不利益を解消するためには、「部品メーカーが部品を販売したときは、完成品メーカーの同意を得ずに通常実験権の許諾をすることができる」旨の特約を設けることが必要です。

この特約でも、完成品メーカーが下請か業者に部品を製造させることを有効に防止することはできませんので、「完成品メーカーは、ある期間、共有者の部品メーカー以外から部品を購入することはできない」旨の特約を設けることが必要です。

今回のセミナーは、弁護士がパネラーとして出席していましたので、契約を締結する際の留意点、口頭の約束の効力等、参考になる点が多くありました。

弁理士以外の専門家の話を聞くことが重要であることが実感できました。

今後も、他の分野の専門家との交流を積極的に進めていこうと思います。



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