熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

憲法

2008-10-26 15:09:54 | Weblog
司法試験受験勉強も民法、憲法が終了し、刑法の勉強を開始しました。

憲法の勉強をしていると、普段は余り馴染みのない憲法の条文も身近に感じてくるから不思議です。

今、政界で話題になっている「衆議院の解散総選挙」を憲法的に見てみると、憲法における直接の規定は、69条(衆議院の内閣不信任と解散又は総選挙)です。
「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」

衆議院の実質的解散権の根拠を69条に求めると、「69条により内閣に解散権が与えられ、その行使も衆議院の不信任決議が可決された場合に限定される」ことになります。
しかし、この考え方は、政党制の下では、多数政党が支えている内閣に対する不信任決議が成立する可能性は稀であるため、解散権を行使できる場合が著しく限定されてしまうという問題点があり、現実にも69条以外の理由で解散したことがかなりあります。

通説は、7条説です。
7条(天皇の国事行為)「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行う。  3号:衆議院を解散すること」

7条3号により、解散権は天皇にあるが、内閣が助言と承認に基づいて解散権を行使させることによって、天皇の解散権は形式的・儀礼的なものになる。この場合の助言と承認には実質的解散権を含み、したがって、実質的決定権は内閣にあることになります。
この説を採ると、69条以外の理由でも解散できることになります。

もっとも、7条説を採っても、「解散は、国民に対し内閣が信を問う制度であるから、それにふさわしい理由が存在しなければならず、内閣の一方的な都合や党利党略で行われる解散は不当である、との限界が存在する」と解されています。

この理由は、69条以外に、①衆議院で内閣の重要案件が否決され、又は審議未了になった場合、②政界再編成等により内閣の性格が基本的に変わった場合、③総選挙の争点でなかった新しい重大な政治的課題に対処する場合、④内閣が基本政策を根本的に変更する場合、⑤議員の任期満了時期が接近している場合があると考えられています。

今、話題になっている衆議院の解散理由は、③、④、⑤でしょうか。
③、④の理由が明らかになった場合、内閣総理大臣は速やかに国民の信を問うために衆議院を解散することが求められます。

麻生首相が「解散は適切な時期を選んで、私が決断します」と強調していますが、党利党略のために解散時期を決定することは許されないので、できるだけ早く解散することが必要です。

国会中継、テレビ番組で与野党の議員の解散に対する意見を聞いていると、自分の利益のために解散を行うことが見え見えで、もっと憲法の規定に基づいた正当な理由を主張して解散を求める(又は求めない)ことが与野党の議員に要求されます。




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コメント (1)
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