熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

国際知財戦略セミナー

2010-07-15 14:39:23 | Weblog
早稲田大学知的財産法制研究センター(RCLIP)主催のセミナーに参加してきました。

「米国特許訴訟最新動向:ビルスキー最高裁判決の影響と不公正行為をめぐる大法廷審理」がテーマです。

1件目の講演は、「ソフトウエア・ビジネス方法の特許性:ビルスキー最高裁判決」についてです。

2010年6月28日朝、米国最高裁判所は、待ち望まれていたBilski対Kappos事件の判決を言い渡しました。

同裁判所は、Bilskiの消費リスクヘッジに関する特定のビジネス方法に特許性はないという米連邦巡回控訴裁判所の判決を支持しました。

しかしながら、「機械の使用または対象の変換基準」(machine-or-transformation test)が特許性に関する「唯一の基準」ではないと判示しました。
さらに、米国特許法は、ビジネス方法を特許権の保護対象から全面的に排除するものではないと明示的に判示しました。

その上で、同裁判所は、これまでの判例に依拠して、「特許性のない抽象的概念」であるとして原告らの特許を拒絶したのです。

この判決に対しては、結論に同意するが理由には疑問があるという見解が多数ですね。
私も同じ見解です。
特に、特許性の判断基準を「機械の使用または対象の変換基準」から「特許性のない抽象的概念」まで引き下げて、両者の間をグレーゾーンとしたことは、今後の実務に与える影響が大きいですね。

むしろ今回の判示事項を、単純に対象となる発明は、「特許性のない抽象的概念」に該当するから拒絶する、とした方が良かったのではと思います(そうすれば従来の基準を否定することにならない)。

今後のCAFCの判決に注目していかなければいけません。


2件目は、「不公正行為を中心とする特許権行使上の法律問題」です。
同一発明について異なる国に特許出願をした場合に、審査官への応答内容に齟齬があったときの権利行使上の問題です。

特に、米国で意図的な隠蔽等と判断されるかが問題となります。
実務的には重要な事項ですので、慎重に検討することが必要です。


今回のセミナーは、実務家として重要な内容で、大変参考になりました。

RCLIP主催のセミナーは、講師、講演内容ともに優れており、お勧めのセミナーです。

夏休み明けの10月からのセミナーが楽しみです。



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