矢部宏冶「日本はなぜ戦争ができる国になったのか」を読みました。
「戦争になったら日本軍は米軍の指揮下に入るという密約がある」というショッキングな言葉から始まるこの本は、日本人の大半の人が知らない(因みに超エリート官僚や政治家も知らない、日米合同委員会のメンバーだけ知っている)日米密約について情報公開で得られた(残念ながら米国で公開されたものです)資料を基に分かりやすく説明してあります。
1952年7月と1954年2月に当時の吉田首相が口頭で結んだこの密約が、その後の自衛隊の創設から今回の安保法制の成立にまでつながる、日本の軍事的一体化の法的根拠となっています。
今までは、日本とその周辺だけの話でしたが、今回成立した安保法制で地理的制約が削除されたので、戦争が必要と米軍司令部が判断したら自衛隊は世界中どこでも米軍の指揮下に入って戦えるようになりました。
この本には、「六本木ヘリポートから闇の世界へ」「ふたつの密約(基地の密約と式の密約)」「ふたつの戦後世界(ダレスVS.マッカーサー)」「最後の秘密・日本はなぜ戦争を止められないのか」「私たちは、何を選択すべきなのか」について分かりやすく書かれています。
最高裁砂川判決で、日米安保条約が合憲か違憲かは、統治行為論により裁判所は判断しないと判示しました。
これには、3人の裁判官が重大な意義をとなえていました。
「もし条約について憲法判断できないとすれば、他国とのあいだで憲法に違反する条約を結ぶことにより、憲法改正の手続きをとることなく、容易に憲法を改正するのと同じ結果が得られるようになり、はなはだしく不当なことになる」と強調していました。
「憲法96条の定める国民の承認による改正手続きによらず、条約によって憲法改正と同じ目的を達成できることになり、理論上、三権分立の原則をそこね、基本的人権の保障に反する変更もできることになる。日本国憲法は、はたしてこのような結論を認めているのだろうか」とも述べている。
当時の裁判官の恐れが、昨年の安保法制審議で現実のものとなったのです。
つまり、日米安全保障協議委員会で日米の外務・防衛担当4大臣が協定を結んでしまえば、国民の意思に関係なく実質的な憲法改正を行って、三権分立の原則を無視することも、国民の人権を弾圧することも、自由にできることになっています。
これは恐ろしいことですが、もう始まっているのです。
この本の最後の章で、私たちが何をすべきかについて、著者の意見が書かれています。
私も基本的に著者の意見に賛成ですが、国民全体がもっと危機感を持たないと密約破棄は難しいですね。
与党を支持する人も野党を支持する人も、この本に書かれたことをじっくり考えることをお勧めします。
米国で情報公開された資料の入手方法も書かれているので、この本の内容に疑問がある人は、自分で確かめるといいと思います。
事実を直視しないと将来に禍根を残すことになります。
しっかり考えましょう。
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「戦争になったら日本軍は米軍の指揮下に入るという密約がある」というショッキングな言葉から始まるこの本は、日本人の大半の人が知らない(因みに超エリート官僚や政治家も知らない、日米合同委員会のメンバーだけ知っている)日米密約について情報公開で得られた(残念ながら米国で公開されたものです)資料を基に分かりやすく説明してあります。
1952年7月と1954年2月に当時の吉田首相が口頭で結んだこの密約が、その後の自衛隊の創設から今回の安保法制の成立にまでつながる、日本の軍事的一体化の法的根拠となっています。
今までは、日本とその周辺だけの話でしたが、今回成立した安保法制で地理的制約が削除されたので、戦争が必要と米軍司令部が判断したら自衛隊は世界中どこでも米軍の指揮下に入って戦えるようになりました。
この本には、「六本木ヘリポートから闇の世界へ」「ふたつの密約(基地の密約と式の密約)」「ふたつの戦後世界(ダレスVS.マッカーサー)」「最後の秘密・日本はなぜ戦争を止められないのか」「私たちは、何を選択すべきなのか」について分かりやすく書かれています。
最高裁砂川判決で、日米安保条約が合憲か違憲かは、統治行為論により裁判所は判断しないと判示しました。
これには、3人の裁判官が重大な意義をとなえていました。
「もし条約について憲法判断できないとすれば、他国とのあいだで憲法に違反する条約を結ぶことにより、憲法改正の手続きをとることなく、容易に憲法を改正するのと同じ結果が得られるようになり、はなはだしく不当なことになる」と強調していました。
「憲法96条の定める国民の承認による改正手続きによらず、条約によって憲法改正と同じ目的を達成できることになり、理論上、三権分立の原則をそこね、基本的人権の保障に反する変更もできることになる。日本国憲法は、はたしてこのような結論を認めているのだろうか」とも述べている。
当時の裁判官の恐れが、昨年の安保法制審議で現実のものとなったのです。
つまり、日米安全保障協議委員会で日米の外務・防衛担当4大臣が協定を結んでしまえば、国民の意思に関係なく実質的な憲法改正を行って、三権分立の原則を無視することも、国民の人権を弾圧することも、自由にできることになっています。
これは恐ろしいことですが、もう始まっているのです。
この本の最後の章で、私たちが何をすべきかについて、著者の意見が書かれています。
私も基本的に著者の意見に賛成ですが、国民全体がもっと危機感を持たないと密約破棄は難しいですね。
与党を支持する人も野党を支持する人も、この本に書かれたことをじっくり考えることをお勧めします。
米国で情報公開された資料の入手方法も書かれているので、この本の内容に疑問がある人は、自分で確かめるといいと思います。
事実を直視しないと将来に禍根を残すことになります。
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