熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

軍学共同

2016-07-29 14:25:17 | Weblog
池内了さんの「科学者と戦争」を読みました。

この本のはじめに、「日本が集団的自衛権の行使を可能とし、同盟国の支援のために海外に自衛隊を送って武力を行使する道を開いた現在、自衛隊は堂々たる軍隊になったというべきでだろう。
安倍晋三首相が自衛隊を「わが軍」と呼んで名実ともに軍隊であることを世界に誇示したが、世界各国も日本国軍隊と認知していることは確かである。
したがって、自衛隊およびそれを管理・運営する防衛省を「軍」と呼び、防衛省と大学や研究機関の研究者との共同研究を「軍学共同」と呼ぶことに異論はないであろう。
本書は、政治の保守化・軍事化と軌を一にして軍学共同が急進展する日本の現状をレポートしたものである。」と書かれています。

「軍学共同」とは、耳慣れない言葉ですが、「産学共同」との対比から名付けられたものでしょうね。

「産学共同」である、企業と大学との共同研究については、私も知財コンサルで相談を受けて、アドバイスしていますし、セミナーで話したり、論文も作成しています。

「軍学共同」については、「武器輸出禁止三原則」が「防衛装備移転三原則」に衣替えした時から、気になっていました。

第二次世界大戦終了時からごく最近まで、日本においては公然たる「軍学共同」は行われてきませんでした。

これは、日本の科学者が伝統的に軍事研究を拒否してきたからです。

しかし、最近、防衛省が進めてきた「国内技術協力」には多くの大学・研究機関が参加しており、軍事研究実施へのハードルが低くなってきているのではないかと、危機感を強めています。

この本には、「科学者はなぜ軍事研究に従うのか」「科学者の戦争放棄のその後」「デュアルユース問題を考える」「軍事化した科学の末路」について、分かりやすく書かれています。

科学者が軍事研究にのめり込むのはそれなりの魅力があるからなのでしょうが、研究者としての自由を失う(防衛秘密として公表できない)空しさと引き換えに得た一瞬の満足ですね。

何が軍事研究かは、研究テーから判断することは難しく、また、研究は民生にも役立つデュアルユースの性質を有するため、軍事と非軍事とを分けることは困難です・

著者は、軍事研究を軍(防衛省、自衛隊)が資金を提供する共同研究と定義しています。

私もこの定義に賛成です。

基礎研究であっても、軍が資金を出す共同研究は、その成果を軍事目的に使用する意図は明らかですからね。

私は、この定義と、「研究目的が明らかに軍事目的である」、「研究成果は必ず公表する」を加えれば「軍学共同」は、かなりの確率で防げると思います。

大学、公的機関の研究者は、科学者の原点に立ち返って、軍事研究に協力しないというメッセージを発信して、それを実行に移して欲しいrと思います。







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