
この間、雨乞いの記事を書いたら、ようやく雨になった。雨が花の美しさを引き立てるが、紫陽花はその最たるものだろう。日差しが強いと干からびたように見える紫陽花の花だが、雨に濡れると紫がいちだんと濃くなっていかにも日本の風景に似つかわしい。ズッキーニが雨を喜んで収穫する実がぐんと大きくなった。土中のみみずも雨を喜んでいることだろう。
朝すでに砂にのたうつ蚯蚓またぐ 西東 三鬼
蚯蚓と書いてみみずと読ませるが、「目見ず」の名目読みだとする説が、夏目漱石の『我輩は猫である』に出てくる。朝散歩をしていて、アスファルトの上で蚯蚓がのたうつ姿を見かけることがある。これは、蚯蚓が日に照らされると身体を転がす習性があるらしい。小生物を細かく観察して書いたのは斉藤茂吉だ。
「その蚯蚓は日に照らされると体を転がす。しばらく匍ふうちにまた体を転がす。さういふ具合であるから、蚯蚓の行かふとする方角が少しも分からない。僕は土中に住む蚯蚓なら日に照らされれば苦しからう。そんなら本能的に湿り気のある物蔭にでも這入ればいいと思ふが、なかなかさういふことをしない。」茂吉の文章を読みながら、朝、アスファルトの上に蚯蚓の干からびた死骸があったことを思い出した。みみずは、こんな動作を繰り返しながら
強い太陽の暑熱で死んでいくのであろう。

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