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今年は秋の訪れが早い。田の稲は色づき始め、穂が頭を垂れている。散歩の途中、ラジオを聴いていると、青森のリンゴも収穫の時期が早いそうで、農家の人々はその準備に気がせいているという話であった。
百人一首に天智天皇の歌として、秋の田の歌が入っている。秋の田を見ると、ついこの歌を思い出すのは、子どものころのカルタ遊びが古い記憶ととして体のなかに残っているからであろうか。歌のなかに直接稲穂が読み込まれているわけではないが、ありありと実った田の黄金色が思い浮かぶ。
秋の田のかりほの庵のとまをあらみわがころも手は露にぬれつつ 天智天皇
この時代の田は飛鳥にあった。庵は田で実った稲を鳥獣から護るための監視所として設けられた。苫はスゲ、カヤなどの草木を乾燥させて屋根を葺いた。その苫が隙間だらけで夜露が庵のなかに入ってくる。私の衣は露に濡れて、寒いことよと嘆いた歌である。時の天皇がこのような庵で稲を護るはずもないが、稲作りの農夫の見になって詠んだものであろうか。
1000年を超えるときを経て、秋の田の風景を見ることのできる不思議さを感じざるを得ない。苫の代わりに雀追いのテープが稲穂の上で踊る日も近い。
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