為せば成る なさねばならぬ何事も
成らぬは人の 為さぬなりけり 上杉 鷹山
この歌は米沢藩の名君、上杉鷹山が家臣に示した処世訓である。この名君に因んだイベントが、この週末に二つ催される。ひとつは、米沢市で開催される「なせばなる秋まつり」だ。この祭りには、鷹山公の時代に始まった棒杭市も開かれる。道端に棒と杭で作った簡単なブースを作って、そこに野菜などを置き、脇に料金を入れるビクなどを吊るしておくいわゆる無人販売所である。無人の料金を入れるビクから金を盗むものはもちろんなく、売れた商品の代金が一銭の間違いもなくいつもぴたりと合ったという。今でも、山形の山村には、リンゴやキノコの無人販売所が所々にあるが、こんな商いが成り立つのもこの時代からの伝統であろう。
アメリカのケネディ駐日大使が、きょうこの祭りを見に米沢市を訪れる。故ケネディ大統領は、藩政改革の名君上杉鷹山をリスペクトし、演説でしばしば鷹山に言及している。自助、互助、扶助の三助で藩政の危機を救った鷹山の思想に共感したケネディ大統領は、有名な就任演説で
国家があなた方に何をしてくれるかを求めるのではなく
あなた方が国家に対して何ができるかを自問して欲しい
という有名な言葉を述べた。ケネディ大使は、「なせばなる秋まつり」で父の尊敬した鷹山の行跡に触れ、どんなことを感じるのだろうか。
もう一つの催しは、明日山形市で開かれる「山形岳風会60周年記念誌吟まつり」である。詩吟まつりのメインは構成吟「最上川流域の歌人・賢人」だが、その冒頭で上杉鷹山が取り上げられる。処世訓とも言うべき、鷹山の歌が吟じられる。吟者は安食翔岳氏である。最上川の流域に生きて、己の意思を貫き、米沢藩に生きる人々の範を示した鷹山は、現代に生きる世界中人々の範であるとも言える。明日の詩吟まつりの成功を祈りながら、鷹山の行跡の思いを馳せる。
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