常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

時そば

2014年09月16日 | 日記


古典落語に「時そば」という傑作がある。戦後では6代目春風亭柳橋、5代目柳家小さん、5代目古今亭志ん生がこれをおはことした。時は江戸、夜鷹そばが夜中の九つ時の商いの場面である。このそばを食いにきた客が、16文のそば代金をごまかすのがこの話の肝だ。

代金をどうやってごまかしたか。客は出されたそばを、うまい、うまいと褒めちぎる。食べ終わって代金を払う段になる。一文銭を手に持った客が銭を数えながらそば屋に渡す。テンポ良く「ひい、ふう、みい、よう、いつ、むう、なな、やあ」と数えて、「今なん時だい」そば屋が「へい九つ」と答えると、すかさず「とう、じゅういち、じゅうに」と数えてまんまと一文ごまかしてしまう。

これを見ていた別の客が、この客のごまかし芸に感心して、真似を試みる。この客が寄ったそば屋は、器は欠け、汁もそばも極端にまずい。早々に、代金を払う段になる。「ひい、ふう、みい、よう、いつ、むう、なな、やあ」と数えて渡し、「今なん時だい」。そば屋が「へいよつ」客は「いつ、むう、なな、やあ、九つ、とお・・・」まずいそばを食べた挙句に、4文も多く払ったという落ちになっている。客がそば屋に寄った時間が11時ごろで、この時間は、四つであったことが、この話の仕掛けである。ごまかしに成功した客が、12時ころつまり九つに店に寄ったので
この落ちが成立している。


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