常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

紫式部

2014年09月25日 | 万葉集


紫の色は奥ゆかしい。秋のキノコには紫シメジなどおいしいものがあるが、木の実で紫の実をつけるのは珍しい。この実に平安朝の紫式部の名をつけたのは、いかにも日本古来の伝統に根付いたものであると言えよう。紫草というものがある。古代ではこの草を栽培し、根を乾燥させて薬用にしたり、染料に用いた。紫の衣服を着用することは貴人であることの証でもあった。

あかねさす 紫野行き 標目行き 野守は見ずや 君が袖振る 額田王

紫野には、この大切な紫草が栽培されていた。そのために関係のない他人が入らないように標紐を張った。それが標目である。他人や動物の侵入を見張る番人である野守が目を光らせている。

この歌は標目がキーワードになっている。人妻である私に袖を振ったりして、野守も咎めて見ているわよ、と注意している。標目は、私が人妻であるので、気を寄せてはいけないという禁止と紫草の畑で入ってはいけないとの二つの意味がかけられている。

額田王の歌に返したのは、夫の天武天皇であった。

紫野の にほへる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに 我れ恋ひめやも 天武天皇

こんなユーモラスで恋の掛け合いを歌ったのは、初期万葉の特徴である。その歌のなかで、紫の色が持つ意味は、大きなものがあった。


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金木犀

2014年09月25日 | 


垣根の向こうで、秋の日に突然香るのは金木犀である。この花は枝中に金色に咲く前から香るので、その木がどこにあるのか、つい探すことになってしまう。今朝は、満開に花を咲かせたのでそのありかは瞭然となった。詩吟の先生の家の庭に金木犀の木があり、この季節に香りととも花を咲かせる。「今年も金木犀が咲きましたね。」と言うと、「匂いがきつくて」と奥さん。

飽きられてをり木犀が金こぼす 田川飛旅子

同じ種類に銀木犀がある。こちらは銀色の花を咲かせるが、花の時期はやや遅い。中国名では丹桂という。タワーカルストが群立し、絵のような景観で有名な桂林は、丹桂が林のように繁る土地である。金木犀の名所である畳彩山、カルストの奇観を呈する象鼻山は人気のヴューポイントである。まさに山水画の世界が眼前に広がる。

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