9月20日に登った祝瓶山は今シーズンの登頂ベストとなった。第一番には天候に恵まれたことだ。青空を突くような祝瓶の尖った山頂は、登山の醍醐味を象徴する魅力にあふれている。昨秋に登った秀峰、新潟湯沢の大源太山に少しも引けをとらない強烈な個性の山である。
祝瓶山は標高1417m、山形と新潟県境に聳える朝日連峰の最南端の山である。我々の取った登山ルートは長井の木地山ダムの奥にある祝瓶山荘から、ほぼ直登で頂上へ向かうコースである。桑住平の少し奥から頂上まで、水平距離で1600mであるが、この間の高度は800mという急登である。「一歩歩高こうして光景開く」とは、草場佩川が山行を詠んだ漢詩であるが、まさにこの詩のままの山行となった。
足元には登ってきた登山道の脇から、転げ落ちるような渓が見え、眼前の大玉山に続く朝日連峰の山並みが、それこそ一歩登るごとにその全容を少しづつ明らかにしていくのだ。朝日連峰の一部でありながら、独立峰のような山容ならではの光景が次々と眼前にくり広がっていく。この連休に日本アルプスで滑落事故が多発したが、この山を登って、一歩間違い体制を崩せば事故に繋がることを実感した。
今回のチームは最高齢のsさんと私、仲間に誘ったAさんとベテラン女性3名の構成である。特に怪我をした左膝の関節に人工骨を入れてなお山に登り続けるsさんへのリスペクトの感を一層強くした山行であった。6名の仲間は、滅多にない好条件のもとで満喫した登山への思いをそれぞれの胸に刻んだ。
足元に咲く季節のリンドウの濃い紫の花が、疲れた身体を癒してくれる。休憩の度に仲間から渡されるフルーツや甘いお菓子の味も忘れ難い。新人のAさんの感激は鮮烈で、「生きていてよかった」という名文句が、口をついて出た。
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