曼珠沙華
2014年09月22日 | 花
彼岸の墓参りに行って来た。墓の脇の竹林に赤い曼珠沙華の花が咲いていた。もう30数年も前になるが、沼津で死んだ父の納骨に、お寺の墓に行ったとき、墓に行く畑中の道の脇に一面に曼珠沙華の花が咲いていたのを思い出す。この花は彼岸のころに咲くので、彼岸花とも言われる。マンジュシャゲというこの言葉は、何か神秘的な響きがある。もともとサンスクリット語で、天界に咲く花を意味するという。仏教の経典にめでたいことが起こる兆しとして、この赤い花が天から降る、と記してあるらしい。
しかし、この花が植えられたのは、毒を持つ草であるので、モグラや鼠が田の畦に穴を開けるのを防ぐ現実的な目的があった。また、その毒を利用して堕胎の薬としても使われてきた。北原白秋の詩に「曼珠沙華」がある。この詩の山田耕筰曲をつけて名曲が生まれた。
ごんしゃん ごんしゃん どこへゆく
赤いお墓の ひがんばな
きょうも手折りに 来たわいな
ごんしゃん ごんしゃん 何本か
地には七本 血のように
ちょうどあの児の 歳の数
ごんしゃんとは、良家の娘を呼んだものである。人知れず懐妊して、堕胎したが発狂して野をさまよった。その堕胎に用いたのが曼珠沙華であったのであろう。7本は、堕胎した子が生きていれば7歳である。白秋は、このごんしゃんの秘話を聞いて詩に詠んだ。
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