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秋刀魚がマグロと同じ値段とマスコミがこぞって報じたのは、ついひと月ほど前のことである。その後、秋刀魚の収穫はどうか、値段はどうかという報道は目に付かない。今日、妻が魚屋で秋刀魚の安売りに出会った。刺身にできるものが5尾で500円、一尾100円で売り出されていたので買って来た。漁のないとき値がはるのは当然である。そんな折に、秋刀魚がマグロ並みの値段だというのは事実かもしれないが、漁が回復すると秋刀魚は大衆魚だ。報道に惑わされることなく、旬の時期、つまりたくさん獲れる時期に買うのが賢い消費者ということだ。
秋刀魚はかつては七輪で煙をだしながら焼くの定番であったが、捌いて刺身で食べられるのも大きな魅力である。値段が安いうえその味は、けしてマグロに劣るものではない。取れたての魚を海岸に住んでいるように食べられるのは、やはり流通の至便性にあるのであろうか。とにかくありがたい限りだ。
落語に「目黒のサンマ」というのがある。鷹狩りに出かけた殿様が腹が空いたところで、サンマを焼くにおいがただよってきた。いかにも香ばしくおいしそうなのおいだ。「あれは何を焼くにおいじゃ」「サンマといって下々のものの食するもの。殿の口に合うようなものではありません」「いや、かまわぬ。余は腹が空いた。そのサンマというのを食ってみたい」供のものが仕入れてきたのは、炭火で寺か直焼きしたおんぼう焼きで、真っ黒に焦げて見かけが悪い。しかし、これを食べてみると、いかにもうまい。殿様はすっかりサンマが気に入ってしまった。
城へ帰った殿様は、サンマの味が忘れられない。「余はサンマを食したい。サンマを持て」とある昼時、食事のものに命じた。慌てたのはサンマなど使ったことのない賄い者たちである。油は殿の身体に悪いからとすっかり抜き、骨が喉に刺さってはいけないとこれも一本残らず抜いて供したが、いかにも不味い。「このサンマはどこで手に入れたか」「は、魚河岸でござりまする」
「うむ、サンマは目黒に限る」
今日食べた秋刀魚は、三陸沖で獲れたものである。
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