あらきそばへほぼ1年半ぶりに行って来た。茅葺の店の屋根には、先日降った雪が消え残っている。玄関に掲げられた暖簾を潜って、見ると毎週水曜定休と張り紙がしてある。以前だと月に2回しか休みがなかったが、時世の流れか周一の休みができたようだ。壁の張り紙を見ると、旧習を見直したと断ってあった。花番の真弓さんが、私をみつけると、「ひさしいなあ」と声をかけてくれる。
この店に初めて来たのはいつごろか。多分、子どもたちが小学校に通っているころ、もう40年近くも前のころであったと思う。PTAの会合に出るようになって、ソバ通の人から山形のうまいそば店の話を聞き、何かの会の後に皆でこのソバ店へ行ったのが最初のような気がする。その後、亡くなった義兄に連れられて行ったのも記憶に残っている。
この写真の板そばは、うす盛で下が透けて見えるが、当時はうす盛でも下が見えるようなことはなかった。義兄が注文したのは厚盛であった。板の半分くらいまでびっしりと盛ったものだ。大食いの義兄はどんどん食べ、もっと食べろとさかんに勧める。江戸前の細切りに対抗して、あらきそばは太い田舎そばである。当時は年も若く、そばのおいしさも十分分かっていなかった。そのうえに、これでもかという盛りを前にして、そばを味わうどころではなかった。
それから、折りにふれてこの店に通うようになって、田舎ソバの豪快さや、新そばの甘さが分かるようになった。秋になってそばが収穫されるようになると、この店のそが食べたくなる。
日記・雑談 ブログランキングへ