しもと結ふ 葛城山に 降る雪の 間なく時なく 思ほゆるかな 古今和歌集1070
千歳山の雪景色をモノクロームで見ていると、古今集のこんな歌を思い出した。この歌は「詞書」に、「古き倭舞の歌」とあるから、一時代前の万葉人心情を表わしたと言える。「しもと結ふ」というのは、刈った細い木枝を結うのがかづら、つまり蔓草で結うことから葛城山かかる枕詞である。歌の意味は、葛城山に降る雪のように、間なく時なくつまり絶えずあの人のことを思っている、ということである。相聞の民謡が踊りと一緒に歌われていたのであり、葛城山は人々に絶えず雪の降る山として人々の受け入れられていたのであった。
山形の民謡に、「花の山形、紅葉の天童、雪を眺むる尾花沢」というのがあるが、尾花沢は雪の名所として歌われている。これも約束事として豪雪の尾花沢という地があるが、他にも豪雪の地はたくさんあり、なぜ尾花沢という気もしないではない。だが、きのう尾花沢で降る雪を見て、あらためて雪の尾花沢の印象を強くした。大石田への分岐を過ぎて、尾花沢の集落に向かうと、それまで小雪だった空から、突然ボタン雪が降り始めた。その雪こそ、間なく時なく、降る感じそのままであり、千歳山はもちろん、葛城山の雪よりも古今集の雪の感じを表わしていた。
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