ベランダから、三吉山と葉山がきれいに見えている。先々週に登った山だが、毎日この山の様子が気になり、一番に見るのが習慣になっている。右肩の尖がりが三吉山で、平らな稜線を左へ歩き、少し起伏があるところが葉山である。稜線から葉山への上りは、見た目よりも勾配がきつい。上りは夢中で山頂へ上がるが、稜線への下りは、ちょっと不注意すると転がり落ちるような感じがする。この稜線の帰り道に、稜線からわが家が見えるかと目をこらすと、山形ガスの緑のタンクの左の方に、うっすらと見えた。
向日葵は金の油を身にあびて ゆらりと高し日のちひささよ 前田 夕暮
27年度の岳風会、優秀吟者コンクールの課題吟に、和歌の部にこの歌が選べれた。今年はこの吟題で、コンクールに挑戦する。もう10年もこのコンクールに挑戦しているが、一度も山形岳風会の予選すら通ったことがない。今年が最後と思いながら、まだ挑戦できることの幸せを感じるようになった。
前田夕暮の第三歌集「生きる日に」が刊行されたのは、大正3年のことである。この年、夕暮は31歳であり、結婚して長男を得ている。ゴッホなどの後期印象派の絵画の影響を受けて作歌した時代の歌で、向日葵を絵画的に捉らえている。この歌のなかで、金の油とは、ギラギラと照りつける太陽であるが、その向日葵の花は野にすっくと立って、日が小さく見えるほどの存在感を示している。
そんな絵画的な和歌を吟詠によって、聞く人へどのように伝えるか。なかなか難しいことである。