近所の家に植えてある枇杷の実が黄色の熟している。この実は、梅雨時に熟する。産毛に覆われた皮をむくと、果肉から甘い果汁が滴る。昔、戸建てに住んでいたころ、食べた枇杷の種を鉢に埋めておいたら、木の芽が出てきた。いわゆる実生である。娘が世話係になって、水をやって育てた。だんだんと大きくなったので、庭に移すと、土に根を張って大きくなった。2年ほど経って、花が咲き、三粒ほど実がなり、梅雨時に黄色く熟した。子どもたちは、その枇杷を食べて歓声を上げたことを今も覚えている。
枇杷黄なり空はあやめの花曇り 素堂
子どもたちが家を出てから、30年以上になる。もう家に帰ることもめったにないが、畑で作った野菜を送っている。ズッキーニが好きで、取れたての野菜は、やはり故郷の味。子どもや孫の喜ぶのを想像しながら畑の作業に精を出す。