常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

白露

2015年09月08日 | 日記


秋雨前線が居座り、台風18号がこの前線を刺激して雨を降らせている。今日は、白露だが、露が植物を濡らす前に、たっぷりと雨が大地を濡らしている。唐の詩人杜甫は、この白露の日に月を見ながら、「露は今夜より白し、月は是れ故郷のごとく明らかなり」と詠んで、遠く故郷へ思いを馳せた。遠い昔日、私は故郷に帰って、旧友と親交を温めた。すでに夜が更け、月の夜道に露が降りていた。集まりのあった学校のあるところから4キロも、女性を含めた友人4人が、露に濡れながら家路を急ぐでもなく、話を続きをしながら帰った。あれは、白露の少し前の、8月の末のことであったように思う。

道は砂利を敷いた粗末なもので歩き難かった。だが若者たちは、そんなことも、月の光だけで街頭もない道を、気にすることもなく、歩いた。その少し前まで、学校に通いなれた道であった。少しだけ大人になって、酒も飲んだ。女の子は、故郷を離れたものの生活の様子に興味があるらしく、しきりに異郷のことを聞いてきた。そんな素朴な気持ちを果たしてどれほど理解したか、表面のことだけを答えたような気がする。家が貧乏であったから、学生生活といっても、苦学といっていい。若い食べ盛りでありながら、十分に食べることもできずに、学生運動の高揚のなかに身を投じていた。そんな話題を口にしても仕方がなく、友人たちの話に合わせて他愛もないことを話した。

コメント
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