稲架と書いて「はさ」と読む。刈り取った稲を乾燥させるために、田に稲をかける装置である。写真のように一本の木に、上手に稲束を掛けていく方式もあれば、木を縦横に組んで稲を掛ける方法もある。雨から米を守り、風を通して乾燥をより早くする。コンバインで刈り取った稲をその場で脱穀する機械化が進んでいるが、稲架で自然乾燥させた米は食べた味が違う。農家ではもう稲架を立てなくなったが、自家用の米はこのように稲架に掛けて丁寧に自然乾燥させる。
杭稲架の幾千万や陸奥の雨 石塚 友二
稲刈りが始まると、桜の紅葉が始まる。紅葉した葉は、風もないのにはらはらと散っていく。落ち葉を踏みながら、朝の散歩をすると、季節の変わりが早いことに驚く。連日の猛暑にぐったりとしていてから、ひと月しかたっていない。
湿りたる落葉掃く音はじまりぬ 星野 立子
柿の実が色づきはじめると、柿紅葉が目をひく。紅、朱、黄をとりあわせて艶やかに紅葉するので、落ち葉を拾って料理の盛り付けの飾りにすると、食卓を一段と引き立てる。俳句の季語は、もう晩秋になっている。