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山形市の鈴川地区にある沼の辺池は、灌漑用水が不足する鈴川地区の農家の悲願でできた貯水池である。昭和18年から5年の歳月をかけてできた竣工した大規模な池だ。周囲には桜を植え、事務所を作って、貸しボートを営業し、氷室という珍しい施設も作られた。私は昭和34年に山形に来たが、友人とボート遊びに来たことを懐かしく覚えている。当時のボート遊びには、近隣の学校の生徒たちや若者が大勢やってきて賑わっていた。今はその面影もなく、静かな水の辺に、釣りを楽しむ人々の憩いの場となっている。
元日にこの池の辺に行って見たが、10人ほどの釣り人が、それぞれの狙うポイントに散りばって無心に竿を振っていた。寒べらを狙うのだろうか、4℃くらいの気温のなかで、じっと水面を見ている姿からは、魚との駆け引きで楽しんでいる喜びが伝わってきた。池の辺に、結城健三の歌碑が建っていた。
山桜咲くときにして小鳥らも声ちりぢりに峡(かい)いづるべし
結城健三は、南陽市宮内に生まれた歌人であるが、北原白秋の「日々歌壇」に投稿して、入選の常連となった。山形で新聞記者をしながら歌を詠み続けた。