今年は申年ということもあって、復活した日光猿軍団へも盛況のようであった。猿に芸を仕込んで見せるという大道芸は、古い歴史を持っている。猿曳は、正月に、猿を曳いて家を回り、太鼓を打ちながら、仕込んだ猿の芸を見せて、祝儀をもらうことで収入を得ていた。
猿曳の猿に着せたる春着かな 幸田 露伴
露伴の時代にこんな句が詠まれているから、明治、大正、戦前の昭和まで続いた風俗であろう。猿に晴れ着を着せることで、猿への愛着のある猿曳師が人気があったのかもしれない。
猿はもとは日吉山王の神使いで神馬の口添いとして伴をするいう俗信があった。厩祈祷や疫病退散などで、猿が門つけにやってくることが、人々から歓迎されたらしい。この俗信がしだいに薄れて、猿に芸を見せて大衆を喜ばせる猿回し、猿使いなどの大道芸として続いていた。
日光猿軍団もこの流れを汲むものであったが、東日本大震災で従業員の多くが中国人であったため、放射能を恐れて帰国してしまい閉園を余儀なくされていた。復活した猿軍団が、今後も活気づいていくことを願う。