
今年は暖冬のため、ブログも梅の開花の記事で賑わっている。今朝はうす曇りで少し日がさしているが、小雪がちらついている。ベランダの梅の鉢にも雪が降りかかるが、つぼみは日に日にふくらんでいく。その生命力の神秘に目を奪われる。王維の詩に、寒梅を詠んだものがある。
君自故郷来 君は故郷よりき来たる
應知故郷事 まさに故郷の事を知るべし
来日綺牕前 来日 綺窓の前
寒梅着花未 寒梅 花を着けし未だしや
綺窓というのは、美しい飾りのある窓のことで、妻の部屋の窓を意味している。旅先の夫が故郷にいる妻を思いやっているのである。王維は与謝蕪村も愛した唐の詩人であるが、簡易な言葉づかいのなかに深い心遣いを詠嘆する。杜甫や李白の難解な詩は読むのに疲れるが、王維の詩はまっすぐに心に響いてくる。実に愛すべき詩人である。