二月になった。一月が行くのはあっという間である。古語で如月と書いてきさらぎという。旧暦の2月のことであるから、加わる寒さにもう一枚重ねて着るから、衣更着(きさらぎ)とよぶようになったらしい。新暦では、大寒が終わり節分を明後日に控えている。2月の声を聞くと、陽ざしが少し強くなり、日が長くなったのを実感する。
粉ぐすりのうぐいすいろの二月かな 久保田万太郎
寒暖の激しいせいで引いた鼻かぜが少しよくなっている。年代は変わっても、風邪を引く季節は同じらしい。万太郎は粉ぐすりのうぐいす色を見出して、春隣りの2月を言い当てたが、今はそんな色の粉ぐすりはない。節分の撒く鬼やらいのでん六豆がうぐいす色だ。黒豆を後ろへめがけて撒いたのが初めらしい。ローマにも死霊を追い払う祭りがあって、こちらも黒豆を後ろへめがけて打った、と森鴎外は『追儺』のなかで書いている。