![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/d2/105e5d58a457daf6f5b0fe0f00679be5.jpg)
冬になると中国の大気汚染がニュースになる。映像で見る北京は、視界が100mもない濃霧のような状態である。この汚染物質に含まれるPM2.5は、微小物質で、マスクを通して体内に取り込まれる。身体に悪影響を及ぼす。気象庁はこのPM2.5の飛来情報を発表している。かつては黄砂が飛来して、晴れても曇りのようで気持ちが悪かったが、この黄砂のなかにもPM2.5が含まれている。
冬の北京の大気汚染の原因は、暖房のためにたく質の悪い石炭である。石炭を粉にして練炭が作られるが、これからも同じようなばい煙を排出する。加えて急速に増えている自動車の排気ガスも大きな原因であるらしい。大気汚染の対策として、曜日を決めて末尾を偶数と奇数を走らせる日として、車両の走行を半減することも実行されている。
このような大気汚染は日本でも過去にあったし、西洋の大国イギリスのロンドンでも見られた。明治33年(1900)にロンドンに留学した夏目漱石は、翌年の正月ロンドンの様子を日記に書き残している。
「倫敦ノ町ヲ散歩シテ試ミニ痰ヲ吐キテ見ヨ。真黒ナル塊リノ出ズルニ驚クベシ。何百万ノ市民ハ此煤煙ト此塵埃ヲ呼吸シテ毎日彼等ノ肺臓ヲ染メツツアルナリ。我ナガラ鼻ヲカミ痰ヲスルトキハ気ノヒケル程気味悪キナリ」(日記1月4日)
ヴィクトリア女王はこの年に没するが、産業革命をなし終え、世界の盟主として繁栄を極めた。国力が急カーブで上昇していくとき、その国は大気汚染に苦しめられる。しかし時代が進んでくると、この大気汚染は一国の範囲を超えて地球全体の汚染の問題となっていく。