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産土と書いてウブスナと読む。生まれた土地いう意味を持っている。人が生まれた土地には、ウブスナの神が居る。上田敏にウブスナの詩がある。
人の世に尊きものは
土の香ぞ、国の御魂ぞ。
偽りの市に住へば
産土(うぶすな)の神に離りて
生れたときの土の香。その感覚は、生まれたものの一生を規定する。今日、テレビでクロヒョウが生まれて、親が育児放棄したために、動物園の飼育係が親代わりになって育てるシーンが映された。生れたばかりのクロヒョウにとって、飼育係の人は親そのものであり、その園はウブスナである。
本居と書いてウブスナと読む。本居宣長も、日本紀に本居をウブスナと読んでいることを認め、その意味を、人の生れたる地なり、と述べている。故郷を離れ異郷に住む人々が、望郷の念にかられるのは、このウブスナによることがその主たる理由のように思える。人にせよ、野生の動物にせよ、生を受けたばかりの環境は、生きることの道を示す貴重なものである。