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常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

出処進退

2016年02月12日 | 日記


不倫を週刊誌に書かれた国会議員が議員を辞任する意向、という臨時ニュースが流れた。「政治家の出処進退は自ら決すべきである」ということが、政治家のスキャンダルの際によく言われる。出処進退とは、出て仕えると退いて野にいること、仕官ることしないことと意味に使われる。しかし、この言葉にはもっと深い意味がある。

中国の士大夫、科挙に受かって学問を収めたエリートは官途に仕えた。身につけた学問や知識を国政に生かすのは、士大夫にとっては理想の場所であった。しかし、時の権力者によっては、この道は必ずしも理想の場でないこともしばしばである。改革者、行動者として理想に立ち向かうとき、大きな壁にぶつかる。「こんな乱れた世を正そうなどとは、むきになることはない。いっそ世を捨て隠遁しよう」と進退のはざまで悩んだ。

孔子は弟子の顔回に言った。
「コレヲ用ウレバ行イ、コレヲ舎ツレバ蔵ル。唯、我ト爾トコレアルカナ。」(登用されれば力を発揮するが、認められぬときはじっと静観している。こういう境地にいられるのは、わたしとおまえぐらいのものだろうな)出処進退がいさぎよいことを、この話から「用舎行蔵」といわれる。スキャンダルを起こして、身を隠しあわよくばほとぼりの冷めるのを待つのを、進退がいさぎよかった、などと言ってはいけないのは、このことからも明らかだ。

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