常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

芽ぐむ

2016年02月24日 | 日記


空き地の草むらにフキノトウが花を開いていた。木々の芽ぐみもそろそろ話題になる時期である。ところで芽ぐという言葉だが、兼好法師の『徒然草』に、こんな記事がある。

「木の葉落つるも、まづ落ちて芽ぐむにあらず。下よりきざしつはつるに耐へずして落つるなり。」つまり、木の葉が落ちるのも、先に葉が落ちて、それから芽が出てふくらむのでなく、内部から芽がきざして出てくるのに耐えられなく葉が落ちる、と言っている。フキノトウの芽もまた、春に出るように思われているが、秋がふかまると葉が茂っているうちに、もう芽ぐんで成長している。フキノトウが葉を落とすことはないが、兼好法師の言葉に真実があるような気がする。気の早い山の仲間は、立ち枯れたフキの茎をかき分けてフキノトウをとり、お正月の料理の香りづけにする。

涙ぐむも芽ぐむと同じように、名詞にぐむをつけたことばである。「可哀そうで涙ぐんでしまった」などと使う。この用法から「ぐむ」は出そうになるという意味のようだ。涙ぐむは、涙が出そうになるだし、芽ぐむは芽が出そうになるという意味である。今週は、三寒四温の寒にあたるらしく、寒い日が続く。温かい日には、フキノトウやマンサク、イヌフグリを探しに野山を散策したい。
コメント
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