温泉の玄関に白モクレンの花が咲いた。花芽のついた枝を切りとり、水の入った甕に投げ入れたものだ。室内の温かさで花芽は、甕に入れた翌日からふくらんでいった。5日ほど経って、花びらが顔を出し、1週間で満開になった。白モクレンは、春たけなわ庭で咲くと、もっと純白な花のような気がするが、切り取った枝のゆえか少し黄色みを帯びている。ものの本によると、白モクレンは葉が出る前に花を開く。漢名は辛夷とあるから、山にあるコブシの仲間に違いない。同じ仲間の暗紫色のモクレンは、その色から紫モクレンと呼ばれる。
白木蓮ひらくよすべて天に向き 野瀬 潤子